女として優れていたい――「VERY」の主張を脅かす、ワーキングママという現実
これらのアンケート結果が、「お仕事ママと専業ママの二極化」「ワーママの新たな潮流」などと、パワーポイントを使ったプレゼンシート風に掲載されていました。今の「VERY」は、クリス・ウェブ佳子さんが連載で時事ネタを扱ったり、滝沢眞規子さんが新聞の読み方を紹介する連載を持ったりと、「お勉強したい! 頭がよくなりたい!」志向が強くなっているようですが、今回のプレゼンシート風の誌面構成を1つ取っても、そういった志向が見え隠れしています。
このプレゼンシートで印象的だったのが、「子育て、ライフスタイルに合わせて、お仕事ママと専業ママを行き来すればいい」といった「VERY」の見解。「お仕事ママ」と「専業ママ」は、相反するママのあり方だと思ってはいけない……ということでしょう。「(お仕事ママと専業ママに)橋をかけたのがVERYのママでした」ともあり、「VERY」が働くママのフロンティアになろうとしている気概を感じました。
ただ、これだけ生涯未婚率が上がり、アラフォーの未婚女性も増えている今、橋をかけて仲良く共存していくのはママ同士だけなのか……とも思ってしまいました。どれだけお勉強企画を増やし、視野を広めたところで、「VERY」の視野には、同年代の未婚女性は入っていないようです。
■今後はワーママ雑誌に転換?
今月は、自分らしく働きながらも子どものお受験を決意し、果敢に挑んだママたちを追った「ワーママのお受験事情」なるページも。アンケートにより、読者の5割がワーキングママであるとの結果も出たことで、今後もワーママ向きのページは増えていきそうな予感です。これまでも、「サロネーゼ」や「シロガネーゼ」や「イケダン」のように、率先してママたちの実情をくみとり、それを周知させて流行語にまで押し上げてきた「VERY」。今月のワーママ特集をきっかけに、世の中的にも「『VERY』世代のママは働いてる方がかっこいい」と意識が変わっていくことも十分に考えられます。
しかし、「VERY」が今後ワーママ推しに転換し、お勉強企画を連発したとして、「新学期にママ友に差をつけたい!」といった女同士の競争心を煽ったり、女としての自信を持っていたいという主張もそのまま続けるつもりなのでしょうか。「ママたちの夏休みビューティーチャレンジ!」に見られた今までの「VERY」らしさと、ワーママ特集のあまりの方向性の違いに、違和感を抱かずにはいられなかった今月号でした。
(芦沢芳子)