カルチャー
[女性誌速攻レビュー]「VERY」9月号

女として優れていたい――「VERY」の主張を脅かす、ワーキングママという現実

2013/08/28 22:00
「VERY」2013年9月号/光文社

 今月は夏休みということで、別冊付録がついている「VERY」(光文社)。タイトルは「ママたちの夏休みビューティーチャレンジ!」です。「夏休みの間にキレイになりましょう」といった特集はどんな雑誌にもありますが、そんなぬるいキャッチコピーには収まらないのが「VERY」のすごいところ。「二学期、久々にママたちと顔を合わせるのはまさに同窓会感覚。『何か変わった?』『キレイになった?』と思われたい。言われたいのがママの乙女ゴコロ」と、競争心を煽りまくります。

 気になるその内容は、「韓国美容めぐり」「まつエクデビュー」「美白」というごくごく普通の美容特集。しかしよく読んでみると、「秘密でいいことしてきちゃおう」「子どもの成長とともにママだってちょっぴり変身して2学期を迎えたい」と、やっぱり何かにつけて競争心を煽る煽る! 筆者は動悸・息切れをしてしまいましたが、「VERY」読者は、こういったキャッチコピー1つで、「よーし、やるぞー!」と奮起するものなのでしょうか?

<トピック>
◎ママたちの夏休みビューティーチャレンジ!
◎働くママの、幸せの時間
◎ワーママのお受験事情

■お仕事ママと専業ママに対する「VERY」の見解

 今月の第一特集は「働くママの幸せな時間」。タイトルの上に「欲張りな自分は嫌いですか?」「子どもに対して罪悪感はありますか?」というキャッチコピーが躍っています。これはつまり、「VERY」においてママが働くことは、すなわち「欲張りで罪悪感を得るもの」だったということです。今の御時世、驚きの考え方です。

 併せてこの特集には、「子どもへのしわ寄せに苦しくなることもある、経済的にもなんとかなるのに、なぜそこまで無理して働かなければいけないのか?」といったエクスキューズや、働くことへの罪悪感の理由を「親子の時間が減る」「子供の学校行事に参加できない」「子供の成長をしっかりみられない」とする読者アンケートの結果も紹介されており、「VERY」読者が、こと子どもに対して罪悪感を抱いていることがよくわかります。

 一方で、旦那さんに罪悪感を抱いている様子は見られません。それどころか、「旦那さんは、あなたが働くことに賛成?」という質問には、84.5%が賛成と回答しています。「妻に家のことをしっかり守ってほしいから、働きに出てほしくない」という旦那さんは、もはや絶滅危惧種なのかもしれません。もちろんそれは、不景気による家計状況によるところが大きいようで、「働く一番の目的は?」という質問の回答は、「将来への貯蓄など」が22.8%、「子供の教育費」が19.8%と、1位2位を占めていました。

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