カルチャー
[女性誌速攻レビュー]「日経ウーマン」9月号

恋愛とは結婚までの検証期間!? 「日経ウーマン」の利益重視な「正しい恋愛」

2013/08/16 16:00

■下着の色で、恋愛マインドは作れる?

 恋愛とは「女子力アップのエネルギー源」「女でいることを忘れないためのもの」という読者の意見に象徴されるように、やたらと「恋愛」と「女性らしさ」を結び付けたがるのも「日経ウーマン」の特徴です。「自分が女性だということを意識するだけで、“恋愛マインド”を保つことができます」といって、「スカートやワンピースで出かける」「下着は白かピンクを選ぶ」などのベタすぎるイメチェンを強いてきます。恋愛の副産物として女性らしさを手に入れるのか、それとも女性らしさを演出することで恋を引き寄せるのか……。いずれにせよ、働く女子にとって「恋愛」と「女性らしさ」は不可欠なものという結論に、どうしても持っていきたいようです。

 現代女性の“恋愛離れ”について語る章では「働く女性は、仕事や人間関係で強いストレスを感じていることも多い。恋愛よりも、心身を休めたり、自分を癒やしたりすることのほうが大切」と精神科医が分析しています。「でも、本当に恋愛したくないと考えている女性は少数派では?」と、ここでも恋愛をゴリ押し。さらに、「『女性は愛されたほうが幸せ』説を大検証」では、漫画家の瀧波ユカリが「女の生き方ご意見番」として登場し、「一緒にいて楽しいとか、なんとなく会いたいとか、そういう思いがあるのなら、それはまぎれもなく恋愛です」と断言しています。

 強いストレスや疲労を感じていて恋愛する余裕もない、自分にメリットのある人間関係を築きたいウーマン読者に対して、「本当は恋愛したいと思ってるはず」「女性らしくあるべき」と価値観を押しつける誌面構成に、疑問を感じざるを得ませんでした。

■恋の悩みに効く? 脳内幸子なる存在

 価値観の押しつけといえば、「不安いっぱい女子のための恋の始め方相談室」の珍解答ぶりもなかなかのものでした。

 自分の容姿に自信がなくて32年間彼氏がいないという相談者の木村さん。「幼い頃、家庭内暴力で女性が不幸になるドラマを見ていた影響」で、恋愛や結婚は女性を不幸にするというイメージがあるといいます。そんな暗いドラマだけじゃなくて、『ビーチボーイズ』とか『ロングバケーション』(いずれもフジテレビ系)とかも見てみたらよかったのに……。

 それでも「できれば恋をしたい」と語る木村さんに対して、回答者は、木村さんと同じ状況で悩む「幸子」という親友を頭の中にイメージして、その幸子にアドバイスをしてみることを提案します。回答者自身が自分の悩みを客観視するための方策なんでしょうが、木村さんと脳内幸子は同じことで悩んでいるわけで、木村さんが脳内幸子にアドバイスしたところで悩みが解決する気がしません。「私たち容姿もダメだし……能力もないし……」みたいなネガティブスパイラルに入らないんでしょうか。

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