コラム
[連載]安彦麻理絵のブスと女と人生と

小型犬のキャピキャピ感、和犬や大型犬の絆感、犬選びに見る「女の本質」

2013/08/11 21:00

 数日後に我々は、高速に乗ってアクアマリンを経由して「叩き売りの売れ残り」に会いに行ったのだが……その日、私はひどい二日酔いであった。途中、道の駅で思いっきり豪快なゲロを吐き、一体自分は何をやってるんだろうという気分に陥った。

 柴犬のブリーダーさん宅は、東北出身の私もビックリするほどの山奥であった。東京から車で2時間かければ、こんなところまで来れるのかと驚いた。そのくらい「山中」であった。太郎は、実際会ってみたら、写真よりもとても可愛い人懐っこい顔をしていた。「売れ残り」にありがちな悲壮感がまるでない、やんちゃな子ども犬だった。そんな天真爛漫ぶりから、ブリーダーのおじさんが、売れ残りといえども随分と可愛がってたことがわかった。

 おじさんは、犬の話をすると止まらなくなるような、素朴な「犬大好きおじさん」であった。「ブリーダー」という人たちに対して、私は今まであまりいいイメージを持ってなかったけど、このおじさんだったら、なんか「間違いない」ような気がした。そしてその日はいったん帰宅して、夫と丸2日、ホントに飼う覚悟があるかどうか、もんのすごく悩んだ。悩んで悩んで悩み抜いて、そして夫の「飼おう」というツルの一声で、太郎はうちの子になった。

 さて。「女」と「犬」について。どうして自分は「小型犬」を選ばないんだろうと思った。どうして自分は、トイプードルやチワワのような、「カ~~ワイイイ~~~」と、キャピキャピしたくなる犬種を選ばないのか。そんな話を夫にしたら、夫がおもむろに「だってマリエちゃんって『鷹匠』に憧れるような女じゃん」と、言い放った。

 ……そうなのである。私はあの、腕に鷹を従えて狩りをする「鷹匠」が、ものすごく好きなのである。そしてそれだけでなく「マタギ」にも激しく憧れを抱いてたりする。鷹と鷹匠、マタギと狩猟犬が織りなす深い絆……KIZUNA……なんだかまるで長渕剛みたいだが、私はそういうキズナ系にめっぽう弱いのである。だから「アルムおんじとヨーゼフ」や、犬じゃないけど『子連れ狼』(双葉社)の「拝一刀(おがみいっとう)と息子・大五郎」のような、ああいう関係性に激しくシビレてしまうのだ。

 そんなふうだから、こういう性分の女が小型犬で満足できるハズもなく。小型犬を迷うことなくチョイスできる女は、きっと男の前で「キャピッ」とできる才能を持っていると思う。しかしそうじゃない女は……和犬やら大型犬、雑種を選んでしまう女ってどうなんだろう? 秋田犬をのしのし散歩させてるキャバっぽい女、なんて見たことがない。やはり「女の本質」って、選ぶ犬種にモロ表れるのではないか、と思う私であった。

最終更新:2019/05/21 16:24
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