コラム
[連載]安彦麻理絵のブスと女と人生と

小型犬のキャピキャピ感、和犬や大型犬の絆感、犬選びに見る「女の本質」

2013/08/11 21:00
(C)安彦麻理絵

 性懲りもなくまた犬を飼い始めた。9カ月のオスの柴犬である。ウチに来てまだ2週間たらず。次女・花子の弟分という事で「太郎」と命名。

 先住犬ペソ(雑種メス)が老衰で他界してから2年くらいたつ。晩年の介護は大変であった。病気で手術して3本脚だったせいもあり、トイレに立つのもひと苦労。性格も神経過敏になって噛み付き癖が出てくるし、まだらボケのせいか夜泣きにも振り回され……かかりつけの獣医に本気で安楽死を相談したくらいである。

 獣医は「安楽死をさせたっていう事で、結局心にものすごい罪悪感を抱えちゃった飼い主さんをいっぱい見てきた」と言って、「だから僕はあまりおすすめできない。犬にとっての精神安定剤になるお薬出しますから、もうちょっと頑張ってみませんか」と、私を諭した。私が「雑誌とか見ると、みんな素敵に楽しく犬と暮らしてるふうなのに、なんでウチはこうなんだろうって思っちゃうんですよ」と泣きついたら、彼は「あんなのはねぇ~~~」と、苦笑いをして「いいとこだけを見せてるわけで」と言い、そして断言した。

「生きてるってキレイごとだけじゃすまされないじゃないですか」

 結局ペソは、私と夫の目の前で、我々に看取られて息を引き取った。ものすごく悲しかったけれど、「自力で死んでくれてありがとう」というのが率直な感想だった。あのまま安楽死させていたら、多分我々夫婦はもう、犬を飼えなかったと思う。なので、そういう事を思うとペソには本当に「感謝」なのである。

 そんなわけで、太郎。あんだけペソで大変な目にあったにもかかわらず、また犬。近所のオバさんたちには「小さい子ども3人もいるのに、あなたってホンットたくましいわねぇ~~」と、あきれられた。チビ3匹の世話だけでも大変なのに、そこにまたしても、もう1匹投入。今までよりもさらに大変になるのは目に見えている。それなのになんでそういうことをやらかしてしまうのか。これはもう私の、逃れる事のできないサガである。「こんな状態、この先一体どうなるんだろう?」というコワいもの見たさと好奇心に、私は抗えないタチなのだ。

 太郎とはネット上で知り合った。千葉の山奥にある柴犬のブリーダーさんのHPで、夫が発見したのだ。9カ月の柴犬。ハッキリ言って「売れ残り」である。子犬だったら10万円以上する所を、コイツは「ワクチン込みで3万円」。叩き売りだ。何か問題でもあるのかと思ってブリーダーさんに電話で聞いてみたところ、「何も問題はない。たまたま売れ残ってしまっただけ」と言う。

 9カ月といったら、体はもう成犬とほぼ一緒である。ネット上での写真を見ると、顔つきが相当「雑」。おまけに鼻周りが黒いもんだから、柴犬というよりもまるで「野犬」みたいな風情である。「……これ、どうなのよ?」と私は躊躇したのだが、なぜか夫が「オレはこういう顔の犬が好きなんだ!!」と言って譲らない。

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