「アラフォーの出産はいいことずくめ」、「DRESS」が押し付ける救いなき妊娠出産論
働くシングル女性から「40代になると楽だ」という意見をよく耳にします。30代の頃にはさも義務のように与えられていた結婚や出産という選択肢がなくなり、周りからの重圧も流石に減ってくるからです。筆者も実際に40代になって、そのことを実感しました。いい意味でのあきらめがついて、焦りもなくなり、初めて「自分らしさ」を楽しめるようになってくるのです。今まで「DRESS」では、そうした「力の抜けた年代を楽しむ」ことを提案してきたのではないのでしょうか。しかしこの本誌企画は、その方向性とはまったく相容れない企画。今月号もまた、アラフォーに寄り添うように見せかけて、新たなプレッシャーを与えているようにすら思います。
■女子からオヤジへ、飛躍しすぎな「DRESS」な女たち
アラフォーに妊娠を押しつける企画があったかと思えば、「脱『女子』宣言! 私たち『オヤジョ』ですが、何か?」という、立ち飲み屋で飲んだり、エナジードリンクを常備したりと、ちょっとおっさん臭のする嗜好を持った女性たちを取り上げた企画もありました。これは、どう読めばいいのでしょう? 「オヤジョはかっこいいから、お前もなれよ」でしょうか。割と、どうでもいいです!
最近、「大人女子」とか「50代女子」とかいう、「いい歳してまだ若い子ぶるつもり?」みたいな気持ちの悪い言葉が横行しているけれど、だからといって、女子からいきなりオヤジに飛ばなくても……。普通に「女性」でいいじゃん、というか、わざわざ名前をつけなくてもいいじゃん、と思ってしまいました。週末にホームパーティを開くセレブな「DRESSな女」像は少々方向転換、ちょっと庶民的になってきたということなのでしょうか。
あとは、このところ珍回答を連発していて楽しみだった佐野元春さんの恋愛相談連載「街空ハ高ク晴レテ」が、「それは本人に聞けよ」とか「答えは『ポジティブになろう』しかないじゃん」みたいな質問連発で、回答も平板だったことが微妙にガッカリしてしまいました。
(増井涼子)