女を病ませる「結婚してもらえない」問題、菅野美穂が用いた“プチ圧力”のススメ
菅野夫妻の出会いは、映画『大奥~永遠』での共演がきっかけだった。堺は撮影中から熱心に菅野を口説いていたが、撮影に集中したい菅野はそれをスルー。映画の試写会イベントで再会し、再度堺の猛アプローチを受けた菅野は、「結婚前提なら」という条件をつけた。これが“プチ圧力”である。まだ付き合っていない女性に結婚を言いだされたら、たじろぐのが普通だが、堺はこれを了承。その結果がスピード婚へとつながった。菅野の勝負は、吉と出たのだ。
菅野の結婚生活は順調そうである。結婚後に発売された「InRed」(宝島社)のインタビューで「結婚が決まる時ってこういう感じなんだな」「腹をくくろうと思った」と語るなど、運命的な変化を好意的に受け止め、結婚について考えすぎだった独身時代の発言の片鱗は、一切ない。
菅野を見ていると、結婚は環境の変化を伴うもので、新生活に不安はあるだろうが、些細なことを気にしすぎてしまうというのは、実は新生活への不安ではく、相手への不信なのではと気付かされる。「交際しているのに結婚はしない」というのは女性への否定であり、女性は相手に対して100%の信頼を預けることができなくなる。「私をすべて受け入れてくれるわけではない」「完全に私の味方ではない」「いつかは裏切るかもしれない」という不信感が、考えすぎを生むのだ。しかし、好きだから結婚するという裏表のない、堺の100%の愛情に、菅野の「ゆがみ」はすっかり矯正されたようである。
堺雅人は現在、『半沢直樹』(TBS系)で主役を務めているが、視聴率は絶好調。菅野も仕事をセーブして、食事や私服の改造など夫を支える良妻ぶりが報道されている。堺のシンプルで直球な愛に、家族として、女性として役に立ちたいという一途な心で菅野が応えているのだ。
菅野を通して、結婚とは「好循環」であることがわかる。女優業にまい進する菅野が、夫に尽くす妻になることは、ある種の犠牲のように見えるかもしれないが、そこで夫に感謝されて絆が強くなることは、つまり「味方を作ること」ではないだろうか。そんな味方を得ることで、菅野は女優業にさらに精進できるとも考えられる。仕事を持つ女性こそ、結婚は有用なのである。
「自分を不安定にさせる恋愛が、本当に必要なのか?」だらだら交際を続ける女性は、菅野よろしくハイボールを飲みながら、胸に手を当てて考えることをオススメする。
仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ、フリーライター。2006年、自身のOL体験を元にしたエッセイ『もさ子の女たるもの』(宙出版)でデビュー。現在は、芸能人にまつわるコラムを週刊誌などで執筆中。気になるタレントは小島慶子。
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