“入りは戸田で中盤から檀”、「CLASSY.」が伝授する“金麦キャラ”の使い分け
檀れいが演じる金麦妻派の男性いわく「いつもどんな時も“自分の絶対的な味方”でいてくれそう」(30歳・化粧品会社)、「昭和な感じで浮気とかしない良妻賢母っぽさがイイ!」(27歳・飲食関連会社)だそう。一方、檀と比べると影の薄い戸田恵梨香演じる金麦妻ですが、こちらは「友達に自慢したい、理想の彼女のイメージ」(30歳・不動産会社)だそう。「家事とかしなそうだけど、こっちがなんでもしてあげたくなる」(28歳・アパレル関連会社)といいますが、あのCMの戸田に、正直そこまで引きがあるとは思えないのですが……。
なにかと物議を醸しがちな金麦CMですが、サントリー宣伝部によれば「三歩下がってついてきてくれる古風なところもありながら、それだけではない少女のような可愛らしさや、ちょっとドジだったり、意外と天然でお茶目だったり……という面も。その絶妙なバランスが世の男性にウケている理由の一つではないでしょうか」とのこと。女性の間ではホラー扱いされることがほとんどな金麦妻ですが、男性たちにとってはあれこそが理想。そりゃ男女うまくいかないわけですわな。
この企画、さらに肝を冷やすのは「『金麦』CMから学ぶべきポイントを恋愛専門家が教えます」というページ。作家でカウンセラーの五百田達成氏が金麦キャラをどう日常生活に生かすべきかを指南しているのですが、これが相当面倒くさい。若干の狂気をはらんだ天然行動をそのままマネするのはもちろんNGで、まずは「『こういうのって檀れいっぽくない?』と小芝居風にやることで相手の男性の反応を見てみる」そう。小芝居風がポイントで、これだと相手にドン引きされても、なんとか笑いとしてゴマかせるのだとか。
五百田先生による悲しすぎるアドバイスは、これで終わりではありません。うまいこと道化になりすましても「最近の男性は目が肥えているというか情報過多で女性の演出をすぐ見抜いてしまう」ので、檀妻キャラと戸田妻キャラを上手に使い分けるのが肝だそう。「初対面では爽やかでみんなとわいわいはしゃいで一緒にいて楽しい女のコ、二人で初めて会う時にはちょっと天然で家庭的で案外、甲斐甲斐しい面を見せる。(中略)二つを使い分け、ギャップを身につけることができればどんなタイプの男性にも好感を持たれることができます」。ここまでくるといちいちつっこむのも野暮ってもんですが、とにかく“入りは戸田で中盤から檀”というフォーメーションがモテる秘訣であることをお伝えしておきます!
怒りながら絶望しながら時にヘラヘラ笑いながら、それでも読んでいると不思議な昂揚感に包まれてくるこの金麦ページ。これぞ女性誌というような、奥深さを感じました。女性誌がいつもいつでも女性の「味方」とは限らない。「CLASSY.」は突き放しと寄り添いの距離感が、ほんと気持ちがイイのですよ。金麦妻を「気持ち悪っ!」とすればまあまあ同性の共感は得られるでしょうが、そんなものは散々SNSで語り尽くされてるわけで、「男は金麦妻が好きらしいからマネしましょう」の方が女性誌らしくてワクワクしませんか? 金麦というオジサンたちが作り上げた理想と、その実オジサンたちの創造物である女性誌という世界が重なって、いろいろな意味で体の奥がアツくなった真夏の「CLASSY.」でございました。
(西澤千央)