夫に期待せず、自らの努力でイライラ解消! 「VERY」の息苦しいポジティブさ
先月までは「妻だけED」だの「専業主婦問題」だのが誌面をにぎわせ、さながら「婦人公論」(中央公論新社)のようだった「VERY」(光文社)。しかし、今月は雰囲気がガラっと変わっています。育児書をみんなで回し読みしようという企画「子育てバイブルは回し読み」や、滝沢眞規子さんの連載「お受験の隣で、新聞読み始め」など、自己を啓発する内容が目立ちます。そんな今号の冒頭の特集は「いつだって“機嫌のいい奥さん”でいる秘訣」です。
<トピック>
◎いつだって“機嫌のいい奥さん”でいる秘訣
◎IKEDAN PRESIDENT
◎これが本物海男の、イケダンBBQ
■石田純一ですらイケダンにあらず!?
特集の冒頭には、いつも誌面上で笑顔を振りまいている滝沢眞規子さんが子どもを叱っている写真が掲載されています。この特集の言いたいことは、「険」や「イライラ」をどうなくすかということのようですが、滝沢さんは見事に「険」を表現していました。まさに「女優だな」と思わせる1枚です。写真の色調も暗く抑えられており、その「VERY」らしくなさは、なかなかのものです。素敵なママ像を謳う「VERY」が、本来ママたちが見せたがらない裏の顔に迫る……この特集からは、子どもを育てるママたちにとって、「機嫌よくいる」ということがいかに難しいのか、びしびしと伝わってきます。
その難しさが顕著に表れているのが、東尾理子さんの「イライラしない方法」。東尾さんは、「主人は手伝ってくれないのが当たり前だと思うこと」と語っています。もちろん、イライラの原因は人に期待しすぎることが原因の1つだと思うのですが、あの「女性にはとことん紳士的」なイメージで通してきた石田純一さんに対しても、あきらめが必要なのかと驚きました。「VERY」が持ち上げるイケダンなんてものは、幻想だとさえ思えてきます。これまで「VERY」が推奨してきた「イケダン」ってなんだったんでしょうか……。
ほかにも「VERY」は、「機嫌よくいられる服を選び、疲れて見えない美容ルールを持ち、ランニングや片づけ、靴磨き、アイロンかけなど、ストレス解消法を見つけて笑顔でいましょう」とイライラしないヒントを与えてくれるのですが、そのポジティブすぎる提案にげんなり。結局、夫に期待せず、自らの努力で無理やり笑顔になりましょうって、簡単にできるもんじゃありませんよ。
そんな中、この特集の冒頭に寄せられた瀧波ゆかりさんの書き下ろしエッセイ「我が家の“ケンケン”回避術」の中にあった 、不満やイライラを「自分の中だけで解決するのではなく、夫にちゃんと伝えてみる」という提案だけは、唯一「これならできそう」と納得。もちろん、個人差はあるでしょうけれども、1人で抱え込むよりは、ケンケンしないで笑顔になれるんじゃないかと思いました。