カルチャー
『シェアハウス わたしたちが他人と住む理由』著者インタビュー(後編)
「仕事と育児の両立は無理」シェアハウスが生んだ、20代女性の結婚・育児・老後
2013/07/14 18:00
――誰もやったことがない暮らし方を、これから模索していくということですね。
阿部 都内にある「かんかん森」というコレクティブハウスでは、これから介護が必要になるであろう80代の方が住んでいるそうです。住人がどこまで介護を担うのかもまだわからないけれど、「老後になっても一緒に住める」方法をトライしてみるとおっしゃっていましたね。
茂原 私の親が今60歳くらいなんですが、その世代の人たちは、今現在介護で苦労していたり、親が苦労しているのを見てきた世代です。だからなのか、子ども世代に面倒をかけさせないように、老人ホームに入りたい、という方が多い気がします。ただ、親世代は、貯金がありますからね。私たちは年金がもらえるかもわからないし、老人ホームにだって簡単に入れないかもしれない。だからもう、「他人様には迷惑をかけたくない」ではなく、苦労をシェアするという発想で、「他人に迷惑をかけられても、私だって迷惑をかけることもある」と意識を変えていく必要があるのではないか、と考えているわけです。
阿部 シェアハウスは一過性のブームで終わってほしくないですね。今は、一部の特殊な暮らし方として捉えられていますが、今後は、実家暮らしか、一人暮らしか、寮に入るか、シェアハウスにするかといった、普通の暮らし方の1つとして根付いていってくれれば。シェアハウスには、いろいろな可能性が秘められていると思います。
阿部珠恵(あべ・たまえ) 茂原奈央美(もはら・なおみ)
共に1985年生まれ。大学進学を機に上京、都内の企業に勤務し、会社の同期として出会う。2009年、茂原さん妹も含め、3人でシェアハウスを開始。
最終更新:2013/07/14 18:00