「こびとを捕まえたい」「サンタは絶対いる」という子どもにどう答える?
保育園を経営していると、子どもの言葉にギョッとすることがあります。
「こびとづかん」(編註:1)というキャラクターをご存じですか? 私は1度テレビで見たのですが、理科実験番組のような作りで、あたかも「こびと」が実在するようなナレーションと映像なので、信じる子どもがいてもおかしくありません。そう思っていた矢先、年中の園児が、「モモジリ(=こびとのキャラクター名)捕まえようよ!」と言って、いろんなものを駆使してしかけを作り始めました。しかけをして数十分してからまた見ると、しかけの位置が少しずれていたので(本当は1歳児が触って動かしただけ)、その間にモモジリが現れ、また隠れてしまったと思ったらしく、「ほら、さっきと場所が違っているよ。きっとモモジリが来たんだよ」とうれしそうに大声で報告し始めると、周りの子も「本当だ」と言ってざわざわ寄ってきたのでした。
サンタさんがいる・いないで議論しているなら、「サンタさんはフィンランドに住んでいてね……」と夢を持たせるのですが、「こびとづかん」はフィクションだということを教えなければいけません。確認のため「○○くんはモモジリがいると思うの?」と尋ねると、「いるに決まってんじゃん」とのお答え。その子は来年小学校を受験する子どもでもあるので、ここはちゃんとフィクションだと説明しないと! と思い、「モモジリはね、キャラなの」「ドラえもんやポケモンと一緒」と言うと、「ウソだよ、そんなの」とブツブツ言っていましたが、数日後その子どもの方から「こびとはいないよね」と言っていたので安心しましたよ。お母さんにも聞いたみたいです。
■仮面ライダーは「お仕事」だけど、獅子舞は……
子どもたちを観察していると、4歳頃には仮面ライダーや戦隊モノはお話だということを理解していて、「ファントム(悪者)の中は人間が入っているんだよね」などと言っています。東京ドームシティのシアターGロッソや、イベント会場で戦隊ショーを目の前でみた子どもが多いせいか、実在のタレントがアクションをしているとわかっている子は多いですね。うちの娘(年長)も同様ですが、ませているので、「ライダーはお仕事でやっているの」「ライダーが終わったら普通のテレビに出る仕事をするの」と言っていて、彼女の中で「戦隊やライダーは運動神経いいよね、だからお仕事がきたんだよ」と締めくくられていました。
ちなみに節分の鬼は3歳ぐらいまで信じていますが、信じていない5歳児であっても鬼の迫力に圧倒されて泣いてしまう子どももいます。去年の節分、保育園の豆まきとは別に近所の神社の節分を園児たちが見に行ったのですが、獅子舞に大泣きしてしまったので、中に入っていた女性が「人だよ」と顔を見せてくれたのでした。そこで獅子舞やなまはげ、鬼は伝説上の生き物で、中には人間が入っていることを学びました。
サンタに関しては、保育園に来るサンタは「サンタ屋さん」からの派遣で、クリスマスイブの夜中に家に来るサンタさんは「本物」なのだとか。3歳にもなると、「髭がニセモノ」「黒い髪が見えたからニセモノ」「外国人じゃないからニセモノ」と、観察力が出てきます。娘は「お母さんがサンタ屋さんに電話して呼んだんでしょ、サンタが来ない保育園なんて人気なくて潰れちゃうよね」としっかりとした考えを持っているようです。
私自身、子育てが初めてなので、サンタをいつまで信じさせていいのかわかりません。「いい子にしてないとサンタさん来ないよ」は、いつまで通用することやら。早く大人になってもらいたい半面、夢を持ってほしくもあります。ちなみに保護者で「鬼アプリ」(編註:2)を使っているのは2人で(3歳児の男女)、使用すると子どもは大泣きするそうです。効果があるのは3歳までなのかもしれないですね。
うちはスピリチュアル一家なので、娘は座敷わらしを信じています。というか、うちにいますから(笑)。
編註:1「こびとづかん」……なばたとしたかによる絵本作品、およびキャラクターグッズなど。
編註:2「鬼アプリ」……「鬼から電話」というスマートフォン向け無料アプリ。鬼が電話越しに親の言うことを聞くよう子どもを説得する。
角川慶子(かどかわ・けいこ)
1973年、東京都生まれ。「角川春樹事務所」会長・角川春樹氏の長女。自身も元アイドルという異色の肩書きに加えて、ビジュアル系バンド好きで、元バンギャルの”鬼畜ライター”としても活躍。2011年9月1日に「駒沢の森こども園」をオープンさせる。家庭では5歳の愛娘の子育てに奮闘中。