カルチャー
[女性誌速攻レビュー]「DRESS」8月号

「アラフォーはステキ」というメッセージに隠された、「DRESS」の強烈な男目線

2013/07/04 16:00

 つまり「DRESS」は、一見、アラフォーのための、アラフォーを元気にするための雑誌というスタンスを取りながら、前提としては非常に男目線で、「歳をとった女は、ただ枯れていくだけの淋しい動物である」なのです。だから、必死になってアピールをしなくてはいけない、と思うのでしょう。もしかしたら、創刊号で多くの読者が感じた不満は、そこだったのかもしれません。

 「アラフォー楽しいよ!」「アラフォーステキだよ!」と声高に叫ばれる度に、私たちの耳には「世間からは枯れてるって思われてるけどね」という前提が一緒にクローズアップされて見えてしまうのです。

 誌面で「自然体に」「自分らしく」と謳うことも、暴力的な押しつけに感じます。自分らしく、自由になるのなら、価値観の提案も、世間の目も、なにもかもが不要のはず。つまり、誌面を構成する時に、そこに執着しなくてもよかったはずなのです。とはいっても、世間的には「枯れかかった動物」という意識が強いのも事実。そういう逆境にいて、強力なサポートを必要としている人もいるのかもしれませんが。

 と、「DRESS」の基本スタンスが見えたところで、もう1つ。「DRESS」の無茶ぶり企画「アラフォー的『テラコッタ肌』の作り方、癒し方」がおもしろかったのでお知らせします。テラコッタは素焼きの焼き物のことで、日に焼けた健康的な肌を指します。夏は日には焼かずに顔に濃いめのファンデを塗って、色黒になりましょうというこの企画。いやいや、顔に塗るだけじゃおかしいでしょ! っていうか全身塗るの? そんなにまでしてテラコッタになりたいか? リゾートでバカンスする前に全身色塗り? あいかわらず「DRESS」が要求する女性像は忙しくてなりません。

 そんな忙しい中、佐野元春さんが恋愛相談連載「街空ハ高ク晴レテ」で「女性からもらって嬉しかったもの」を聞かれて、「パン・ケースです」という謎の回答をしていたことも見所でした。
(増井涼子)

最終更新:2014/01/09 18:18
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