「アラフォーはステキ」というメッセージに隠された、「DRESS」の強烈な男目線
■「DRESS」大好物の体験談15本立て
「付き合っていた彼はいたけど、タイミングが合わず結婚はしませんでした」という15人の女性たちが、なぜ結婚に至らなかったのかを語る特集もありました。「夢を応援してくれなかった」「思わずプロポーズを断ってしまった」といような体験談が続きます。これは「シリーズコンフェッション」という連載なのですが、「DRESS」はこの「みんなの体験談」が大好きなのです。先月号でも「私のどん底体験」というテーマを取り扱っていましたが、人数を稼いでいる分、一人ひとりの話の内容が薄い。では何がしたい特集なのかというと、「DRESSな女たち」という女性像の構築なのでしょう。8月号は、また初心に戻って、必死に「DRESSな女たちはこうですよ」というアピールをしている印象です。
■「DRESSな女」アピールの裏に見えるもの
そしてラストは、「明日咲くための言葉の花束」という佐伯チズさんのインタビューがありました。彼女は著書も多いので、話の内容は何度も語り尽くされてきたことですが、左遷の憂き目に遭っても、自力で道を切り開いてきたところはとてもポジティブで、「仕事とはこうするものだ」という姿勢が見えて読み応えがありました。そしてここでも初っぱなから、チズさんの「アラサーとかアラフォーとかいう言葉で人を区別するのはいかがなものか。自分を縛るマイナスな言葉に踊らされるのは辞めた方がいい」という結論から入っています。
でも、これを読んで真っ先に思い出したのが、「DRESS」の創刊号なのです。自分で自覚するよりも先に、まわりから「アラフォーだ」「アラフォーだ」と言われてうんざりしているところに、たたみかけるように「アラフォーだけど、えいえいおー!」と声高に叫ばれて、傷口に塩を塗られた元凶は、紛れもない「DRESS」だったと思うのです。
プロテニスプレイヤーの伊達公子さんは、取材で年齢のことを言われる度に「また歳の話ですか」と少々ご立腹なのだと聞きます。確かに、彼女についての記事はいつでも年齢の話一色で、ほかの選手の記事には必ず書いてある相手選手のランキングのことや、得意なコートの話などが見当たりません。確かに、アラフォーになって、コートの上で1人戦うテニスという過酷なスポーツで活躍するのはすごいことだと思うけれど、ほかにも注目すべきことがあるはずなのです。彼女が怒るのも無理はないと思います。
こうしたことから見えるのは、「歳をとった女は、ただ枯れていくだけの淋しい動物である」という意識なのではないでしょうか。それに反発した「DRESS」が、「40代は楽しいよ!」とアピールを繰り返しているのですが、私にとって大きな違和感はそこなのです。