カルチャー
[女性誌速攻レビュー]「an・an」2011年7月3日号

こじらせ女子メーカー「an・an」が、実体なき“モテるアラサー女子”を喧伝!

2013/07/02 19:00

■非モテには劇薬、恋愛指南書『ルールズ』

 で、出た! あの有名恋愛指南書『ルールズ』(ベストセラーズ)! 本作は「男は追いかけたくなるような女を愛する」「追いかけられる女になる」をコンセプトに、本当に愛してくれる人と出会うための「ルール」をまとめたベストセラー恋愛指南書。アメリカでの初版は1995年。日本版は97年に発売され、80万部を売り上げています。そして2013年春、満を持して『現代版ルールズ』(同)が登場。基本ルール(「週末の遊びの誘いは水曜日で締め切る」「自分から話しかけたり気のあるそぶりはしない」などなど)はそのままに、SNSなどに対するルールが追加されており、今号の「an・an」にも、SNSにまつわる恋愛の悩みへの『ルールズ』メソッドが紹介されています。

 例えば、Facebookに関するお悩み「Facebookのどの投稿にも必ず『いいね』を押してくる男性。メッセージでも頻繁にやりとり。私に気があるのかも? と思うけど、ちっとも誘ってこない」に対して、『ルールズ』は「毎回チャットに応じていることで、残念ですが彼はあなたにとってチャレンジではなくなってしまったのです。本来ならばあなたは人気者で忙しい女性なので、毎回彼のチャットに応じている時間はなかったはず」とバッサリ。チャットを断ち、それでも「彼が本当にあなたに興味があるのなら」デートに誘ってくるとアドバイスします。

 Twitterに関する悩みもあります。「飲み会で知り合った好みの男性のアカウントをこちらからフォロー。よくリプし合うようになって、二人で会ってみたいけど、彼からは誘ってこない」。Twitterを恋愛に生かそうとする発想にもビックリしますが、回答はもっとビックリ。「そもそもあなたから彼をフォローしたのは間違いでした」! 愛されたければ、軽い気持ちでフォローしてはならない。とにかく「自分から相手にアクション」=「相手にとってチャレンジしたくなる女ではなくなってしまった」=「連絡を断て!」の構図を徹底しています。

 『ルールズ』を実践することで恋を叶える人はいます。でもそれは、受身になってもお誘いがくるような女性、もっと言えばお誘いが複数くるような女性。しかしこの雑誌は「an・an」で、しかも「大人の恋の育て方」特集です。「出会いがない!」と嘆き、参考に「an・an」を買うようなアラサーが、『ルールズ』を鵜呑みにして行動するのは非常に危険。非モテルートに直行しかねません。ルールにがんじがらめにならず、絶対に「こじらせない」と断言できる読者だけが、このページを読む資格があります。それにしても「いいね」もフォローも気軽に出来ない社会、息苦しすぎです……。

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