[女性誌速攻レビュー]「an・an」6月26日号

「an・an」華やかな女子旅特集に垣間見た、「給湯室での悪口大会」っぽさ

2013/06/25 16:00
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「an・an」2013年6月26日号/マガジンハウス

 今号(6/19発売)の「an・an」(マガジンハウス)の特集は「女子旅」。国内旅行に的を絞って、旅に関するコラムやインタビュー、観光地のガイドが中心になっています。実は「an・an」が国内旅行をテーマにするのは、とても珍しいこと。2013年4月の「未体験ソウル」、2012年2月の「台湾に行ってキレイになる!」など、海外(特に韓国)は定期的に取り上げていますが、国内旅行はほとんど見かけません。スピリチュアル特集でパワースポットとして紹介されていたり、お取り寄せ特集で地方の食べ物がピックアップされているくらいでしょうか。しかし、ここにきて国内推しの特集に出た「an・an」、その真意を探りつつ、早速読んでみましょう!

<トピック>
◎北三陸を満喫する鉄道の旅。
◎“名古屋めし”食い倒れツアー!!
◎旅気分が味わえるエンタメ選

■『あまちゃん』ブームにちゃっかり乗る

 第1回から第61回までの平均視聴率19.5%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)、最高視聴率も22.2%に更新し、絶好調のNHK朝の連続テレビ小説『あまちゃん』。GWの1週間で、ロケ地の岩手県久慈市には、なんと11万人以上が訪れたとか。近畿日本ツーリストも「あまちゃんツアー」を企画し、テレビ系雑誌などでは次々に特集が組まれています。

 「その流れに乗り遅れてたまるか!」という「an・an」の意気込みを強く感じるのが、「北三陸“あまちゃん”ロケ地」企画。久慈駅名物うに弁当や、オープニングで流れる灯台、そして最後は「まめぶ汁」でシメ。ガイドブックのお手本のようなページづくり。じぇじぇじぇーと思いながらページをめくると、すぐに「“名古屋めし”食い倒れツアー!!」へ。シロノワールや味噌カツ、小倉トースト、そしてド定番のヨコイのあんかけスパ。


 悪いわけではありません。でも、あまりにも久慈特集がさらっとしています。『あまちゃん』ファンには物足りず、『あまちゃん』をよく知らない人にはスルーされてしまうのでは。「名古屋めし」企画についても同じことが言えます。

 そんな「どこを読んでも食い足りない感」は、特集全体を通しても同じです。「京都」「名古屋」「伊勢」とおなじみのスポットに挟むようにして、あまり知られていない場所やトピックを紹介する。よく言えばバランス感覚がいい、悪く言えば保守的で無難。SEX特集をはじめとする恋愛特集でも、一見過激、でもよく読むと「愛されるためにはどうすればいい?」が中心で、根本の部分は受身になりがちな「an・an」。国内旅行というテーマでは、その攻めきれない姿勢がいつもよりはっきりと現れてしまっています。

『an・an』