こじらせ女子メーカー「an・an」が、実体なき“モテるアラサー女子”を喧伝!
今号(6/26発売)の「an・an」(マガジンハウス)の特集は「大人の恋の育て方」。「アラサー女子必読」「プライドと思いこみを捨てれば、あなたの恋は必ずかなう」と表紙からすでに前のめりです。「アラサー×恋愛」というと、とにかく「結婚」の2文字がつきもの。ただし今回の特集では、「結婚相談所の進化」などのコーナーはあるものの、あまり結婚は重視されていません。重きを置かれているのはその前段階、「恋を始める」「恋を育てる」こと。つまり、「彼氏を作ろう」特集なわけです。
<トピック>
◎“アラサー女性はモテる”は事実だった!
◎『ルールズ』メソッドは本当に使えるの?
◎LINE&FBで恋を育てる優テクニック
■アラサーを肯定しているかと思いきや……
彼氏を作るためには現実を直視しなければダメということで、今回の特集全体を通して、「あなたは今のままで魅力的」「振り向いてもらえるように自分を磨こう」という現状肯定・自己肯定の言葉は少なめです。「出会えない」「好きになれない」「踏み出せない」「育てられない」から彼氏ができない、という悩みに、「相手に求める条件を減らせ」「不倫はするな」「自己分析ばっかりするな」「女友達の言うことを真に受けるな」「付き合う前にセックスするな」……ザ・正論が並びます。北方謙三ならすべてに「ソープに行け!」とコメントをつけるところですが、「an・an」は律儀に「ここがダメ」と指摘してくれます。
そんな厳しめの中に光り輝く「“アラサー女性はモテる”は事実だった!」のコーナー。「男性はアラサーを恋愛対象だと思っている!」「女性がいちばん輝いている年齢はアラサー!」「アラサー女性に片思いしたり付き合った男性は4割近く!」と小見出しが並び、一見アラサー読者に都合がよく、耳に優しそうですが、よーく読むとそうでもないんです。注目しなければならないのは6ptくらいの小さな文字で書かれた説明。
「しかし、『身近に魅力的なアラサー女性はいる?』との問いには、7割以上が『いない』と回答。男性たちは、“理想のアラサー女性像”を頭の中で作り上げて、合致する人を求めていることがわかります」
これ、もっと大きい字で書いておきましょうよ! この「アラサー女性は魅力的」というのは、綾瀬はるかや仲間由紀恵を指して「アラサーって、いいよね」と言っているにすぎないわけです。男女混合座談会「アラサー女性の魅力はココ!」でも、20代後半代表のイケメン会社経営者の自己紹介は「年上女性との交際経験はないものの、『年上が合う』と言われること多々」という。「……って、交際経験、ないんじゃん!」とズッコケてしまいました。行間から、「こういう意見もあるけど、現実も適度に見てね」というメッセージをひしひしと感じます。