「DRESS」なアラフォーと読者の断絶止まらず、苦心の末の企画は「スピ」!?
■「働く女の体問題」の無意味な問診票
今号には、「働く女の体問題」という特集に、「あなたの月経痛は大丈夫?」というページがありました。要は「婦人科に行きましょう」ということを言いたいのだな、という内容でした。
このページには問診票がついていて、30問の質問に答えて質問ごとのポイントを加算、その合計点で、3つのリストのうち、どれが今の自分の状態に当てはまるのかがわかる作りになっています。しかしまぁ、これがすごいんです! リストは「10点以下の人」「10~25点の人」「25点以上の人」に分かれているですが、各質問のポイントはそれぞれ3点、5点、10点、20点。30問もあるので、点数を足していくと、あっという間に20点以上になってしまいます。これ、どう考えても点数配分おかしいでしょ。
しかもどんな結果になっても、結局提案されるのは「病院に行け」ということ。だったら、検診を受けることや、その内容、月経痛にひそむ疾病の可能性など、もっと掘り下げた方がためになるんじゃないでしょうか。アラフォーともなれば、そして女性誌を20年も読んでいれば、女性の身体についてはある程度の知識があるはず。ましてや「DRESS」は、「AERA」(朝日新聞出版)とコラボをしていることから、恐らく「AERA」読者層でもある、「キャリアがあってお金もある知的アラフォー層」を狙った雑誌。 無意味な問診票にスペースを取られて、読むべき内容が薄くなってしまった企画という印象ですが、そういう情報通の人たちが果たして満足できる濃さの内容なのかと、ちょっと疑問が湧きます。知的な記事は、「AERA」に譲る、というスタンスなのかもしれないけれども、あまりに読み物ページの底が浅い感が否めません。
■「DRESSな女」と現実とのギャップは「サンキャッチャー」で埋める?
40代という、「老い」の現実が重くのしかかってくるこの世代に、どう「夢」を売るかを模索している「DRESS」。創刊号でステキな40代像を提案し、先月号で40代に“集団行動”を提案した「DRESS」。そして今月号では、その矛先がスピリチュアルに向かったようです。
「“幸せ引力”を身につける!」では、幸せを引き寄せる方法の数々を紹介。考え方や行動、グッズ、パワースポットまで紹介してくれています。また「サンキャッチャーで開運ルームに衣替え」という企画では、幸運アイテムである「サンキャッチャー」というクリスタルを紹介し、さらには、スパイシーなメニューを「今宵は開運レストラン」というくくりで掲載。スピリチュアルの臭いがここそこに充満しています。
「恋に、仕事に、生き生きとアラフォーライフを楽しみましょう」とせっせと訴えてきた「DRESS」。「DRESSな女たち」という理想の女性像と、現実の女性とのギャップを、「ファッション誌としての夢」を与えつつ提供するにはどうしたらいいかとすり寄った結果が、スピリチュアルだったということでしょうか。まあ、成功者は特に験を担ぐ傾向にあるし、スピリチュアルは、いくつになっても好きな人は好きですからね。
そんなスピにひた走る「DRESS」ですが、佐野元春の恋愛相談連載「街空ハ高ク晴レテ」にはこんな一幕も。「仕事が忙しくてあまり相手を構う時間がありません。このままで結婚できるのでしょうか」という相談に、「結婚したいなら構ってあげてください」という相談よりも短い返答が、ちょっと投げやりムードだったことをお伝えしておきます!
(増井涼子)