女のシャンプーとは……残り香を嗅がせたい欲望が消えて思うこと
ところで以前、テレビのトーク番組で、アルピニストの野口健が、興味深い事を語っていた。それは。「命がけの登山の時に必ず持参するものは?」と司会者に聞かれ、彼は「女もののシャンプーです」と、答えていたのだ。
「女もののシャンプーを、小さいボトルに詰め替えてリュックに入れていきます」
……なぜ? 何ゆえ女もののシャンプーを……? 狐につままれたような顔の司会者に、野口健は、笑顔で、ちょっとテレながらこう言った。
「本当にキツくてどうしようもない時に、女もののシャンプーのにおいを嗅ぐと、うぉ~~~~ってヤル気が出るんですよ!!!」
……私の中で「野口健の好感度」が、一気に急上昇した。なんていうか「あまりにも無邪気でわかりやすい男らしさ」に、えらく感動してしまったのである。「竹を割ったようなポコチンっぷり」とでも言ったらいいのだろうか……こういう男は、どんな女でも「女扱い」しそうなの、で大変好感が持てる。
さて、こんなふうに「シャンプーの残り香」が、いかに重要かを熟知(?)してるはずの私だが、今現在使ってるものは、まったくの無香料である。鼻の穴おっぴろげて深呼吸しても、におい何もなし。持田製薬の「コラージュフルフル」という、頭がかゆくてしょうがない人向けの商品を絶賛愛用中なのである。本当は、もっと浮ついたシャンプー(「マシェリ」とか)を使いたいもんだと思ってるのだが、いかんせん、ああいうのはかゆくなりがちである。一時期、シャンプーの成分に過剰にこだわって、石けんで頭を洗ってた時期もあった。しかし当然、髪の毛バリバリ。何度トライしてもうまくいかず。それでその後は、オーガニック系のもの(「ジョンマスター・オーガニック」とかいろいろ)を使ってた時期もあったが、やはりなんとなくかゆくなる。
で、仕方なく、夫が1人で使っていた「コラージュフルフル」を、使ってみたところ……4~5日洗わずにほったらかしてみても、かゆくならない!! 最高!!(てゆうか、毎日洗えよって思われそうだが)とにかく子どもと一緒の風呂は、慌ただしくて全然ゆっくり入ってられない。だから、私がシャンプーに求める絶対ハズせない条件、それが「毎日洗わなくても、かゆくならない事」なのである。
……「コラージュフルフル」、名前は確かにトンチンカン。無香料で色気ゼロ。しかし今の私には、コイツの存在が本当にありがたい……ああ、思えば遠くへ来たもんだ。「恋コロン」から「フルフル」へ……色気づいて周りのオスに、髪の残り香を嗅がせたい時期もあったが、今じゃ実用性一本やりである。
ところで先日、元・夫と一緒に住んでる中学2年の長女が泊まりに来た。その時、たまたま家にあったDHCのシャンプーのサンプルを使わせたのだが。風呂上がりの、彼女の濡れそぼった髪の毛から、ふ~わりと甘酸っぱいフローラル系の香りが漂っている。まさに「女もののシャンプー」といった香り。「あああ……なんか、女……っつうか、娘盛りって感じだなぁ……」鼻の穴をフンガフンガさせながら、44歳の母は思ったのであった。