コラム
[連載]安彦麻理絵のブスと女と人生と

甘くて柔らかいもの好きの「ガキ舌」女から、「薬味なしに生きられない」女になること

2013/05/12 21:00
(C)安彦麻理絵

 ふと、無性に寿司が食いたくなり、駅前の回転寿司へ久し振りに行ってみた。20代の頃は、寿司なんてまったく食べたいとも思わなかったのに、この変わり様は何なのか。ナマの魚なんて全然好きでもなかったのに、今では胃袋や舌が、激しく刺身を求める。味覚が、ガキ舌から大人の舌に変わったという事なんだろうか。「中華料理が食べたい」という夫を無理矢理説き伏せ、銀行でお金をおろし(……なんだか食う気満々)、昼前に開店直後の回転寿司へ突入。

 私はいつも、ガリを大量に食べてしまう。食べ過ぎて目の周りが、ガリの辛みでカ~~~っとなるまで、バリバリとむさぼる。小皿にはいつもガリを山盛り。寿司屋でのガリのドカ食いは「無粋」だったりするのだろうか? 昼前の店内は、1人で食べに来てる客ばかりで、若い男、おっさん、オバさんが皆、黙々と寿司をつまんでいる。

「ビントロください」「シメサバ」「ウミホタルお待ち!!」

 などと、予定調和なやり取りがなされ、店の中は「呑気そのもの」という雰囲気であった。が、しかし。

 私が入店して10分くらいたった頃だろうか? その予定調和を一気に崩すような客がやってきた。

「いらっしゃいませ~~~!!」

 店のオバちゃんの威勢のいい声と共に現れたのは、あの、AKB48の問題児と言われる河西智美にそっくりな雰囲気の、茶髪で甘ったるい顔をした女の子2人組だった。男と同伴なら何とも思わないが、19、20くらいの「スイーツ大好き」みたいな女の子たちだけで回転寿司というのは、なんだか相当「ヘン」であった。地味な客層の中で、ものすごく浮いている。「もしかして、オシャレなパスタ屋と間違えてここに来ちゃったの??」と、聞きたくなるほどの違和感を振りまいている。

「席、ここ座ってね!!」

 店のオバちゃんが女の子たちを誘導。私の隣に彼女たちが着席した。

「水、飲む!? 持ってきたげようか!?」

 ……なんか知らんがオバちゃん、若い女の子たちにものすごく気を使ってる。

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