デ・二ーロ、SNSで大人気のあのネコとツーショットで相好を崩す
9.11同時多発テロで傷ついたニューヨークの街に活気を取り戻そうと、ハリウッドの大御所俳優ロバート・デ・ニーロの呼びかけで始まったトライベッカ映画祭が、今年も華々しく開催されている。今年で第12回を迎える同映画祭は、世界各国の才能ある新人監督の作品が堪能できる国際的なインディペンデント映画祭。開催直前に行われた記者会見で、ロバートは映画祭にかける意気込みを熱く語ったのだが、彼が一番楽しみにしていた映画は『Lil Bub & Friendz』。共に映画祭を立ち上げたプロデューサーのジェーン・ローゼンタールから、「(主演ネコの)リル・バブとリル・ボブ(ロバートの愛称)は、絶対に会わないとね」と振られると、凛とした表情を崩し、「あぁ、もちろんさ」とニッコリし、ネコと会うことに期待を膨らませている様子が見て取れた。
ロバートが楽しみにしていたという『Lil Bub & Friendz』は、ネコのリル・バブと飼い主、そして、インターネットで人気のネコたちのドキュメンタリー映画。ロバートお気に入りのバブは、11年6月21日にインディアナ州で誕生した小さなネコである。
生後間もないバブに一目ぼれして譲り受けたという飼い主は、彼女のかわいらしさを多くの人に見てもらいたいと、2011年11月にバブの愛らしいビデオを動画共有サイト「YouTube」にアップ。「最高にかわいい!」と口コミで話題となった。飼い主は、「Lil Bub Tumblr」というブログも作っており、2012年5月に印刷会社「ジャックプリンツ」がオススメ写真としてバブがアイスクリームを舐めている画像を紹介したことで、ブレイクした。Facebookの公式サイトは、4カ月で4万人を超える「いいね!」を獲得。「BuzzFeed」「TheFW」「Vice」などの人気サイトや雑誌でも「癒やしのネコ」として紹介され、爆発的なヒットとなった。
バブがここまでブレイクしたのには大きな理由がある。彼女は、遺伝子の突然変異から、とてもユニークな外見を持っているのだ。エナメル色の大きな瞳が印象的なバブは、長い胴体なのに足は短く、全ての足に指を1本多く持ち、下顎の一部が欠け、歯が1本も生えてこないため常に舌を出しており、永遠に子猫サイズのままなのだという。奇形だという声もあるが、バブはとても健康で毎日元気に飛び回っており、他の子猫たちとは何も変わらない。人種差別や同性愛者差別など、マイノリティへの差別に敏感なアメリカ人は「普通でなくても、超かわいい!」「変わっていても、最高!」とバブを受け入れ、持ち上げ、ブレイクさせたのである。
バブの写真がプリントされたTシャツやポストカード、バッグなどを販売するオンラインストアも立ち上げられており、バブ・グッズは飛ぶように売れている。一部からは、金儲けするために、わざと多指症や小人症になるように交配したのではないかという疑いがかけられているが、バブを譲り受けた飼い主は「突然変異だ」と主張している。
米ゴシップ芸能サイト「TMZ」には、トライベッカ映画祭で撮影された、ロバートとバブのツーショット写真が掲載され、ペット好きでない人も癒やされるような温かい空気が感じられるもので、ネコ派を大喜びさせている。役づくりを徹底して行うことで知られる努力型の俳優であるロバートは、とてもガンコな性格の持ち主として有名。ちやほやされても自分のペースを崩さない個性的なネコのバブと、何か通じるものを感じているのかもしれない。世界的な名優が相好を崩す姿を収めた、貴重な写真となったようだ。