[TVツッコミ道場]

石橋貴明が絶賛、壇蜜のビジネス本的発言にみる「やりとりのセンス」

2013/04/18 16:00
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『エロスのお作法』(大和書房)

 今回ツッコませていただくのは、壇蜜が登場した『とんねるずのみなさんのおかげでした』(フジテレビ系)の「新・食わず嫌い王決定戦」(11日放送分)。

 急にメディア露出を高め、話題になってきた頃には、リア・ディゾンみたいな「企画モノ」の人かと思った。でも、葬儀会社に勤めていたことから、「仏壇」と、お供え物を意味する「蜜」という仏教に関する言葉から芸名を考えたという話や、各種インタビューなどから受ける印象は、けっこうな「キレ者」でもある。

 そして、この番組によって、その印象はますます強まった。登場するや、石橋貴明に超至近距離からじっとり見られつつも、まったく動じず、目線も逸らさず見返す壇蜜。石橋が絶賛していたポイントは「やりとりのセンスが抜群」という点だが、この日も存分に発揮されていた。たとえば……。

○スギちゃんに「自分の中で気に入らない部分ってあるんだぜ?」と問われると、一言。
「奥歯がインプラント」。これだけでも面白いのに、さらに「『奥歯見せろ』って言われたら恥ずかしくって」とふることで、「奥歯見せろ」「もっと見せろ~、もっと見せやがれ」(スギちゃん)というオイシイ流れを作っていた。

○「思わずセクシーだと感じてしまう男性の仕草」の答えは、「セカンドバッグの中から荒縄が出てくるとき」。

○麻雀をするという話の流れで、石橋に「負けたらどうする?」と聞かれ、こう返答。「負けたらやっぱり……脱衣?」


○「普段着ている洋服なども全部西友」「私から西友をとったら何も残らない」

○「前の彼はスティーブ・ジョブスに似てました。ギリシャ神話の話をしてくれました」

○加納典明が撮影する際、ソファで水着+M字開脚で「何か足りない」ということから、自分の財布からクレジットカードを出して股間にあてた。「カードリーディングされたので、一応、『ピッ』て言っておきました」

 落ち着いた態度や物静かな雰囲気、頭の回転の早さもさることながら、感心するのは、どのエピソードも返答も、ムダな情報を極限まで削ぎ落とし、まるでキャッチコピーのように短く強い言葉のみで紡がれていること。

 さらに強い印象だったのは、白目の分量が非常に多く、黒目をまったく動かさずに喋るところだ。グラビアの女性って、「童顔+巨乳」ジャンルでなくとも、一般的に黒目が大きくクリクリした瞳の人が多いと思うのだが、壇蜜はまったく違う。黒目を動かさず、端的な言葉で冷静に笑いを取る様子は、同性目線で見ると、「エロス」というよりも、むしろデキるビジネスマンの印象にも近い気がする。


「自分の意思は極力ないようにしています」
「女性が発想したエロスが男性の脳を刺激するって考えにくい」
「餅は餅屋で、男の人が発想したエロスが男の人の股間を熱くすると思う」

 ……思えばこうした発言も、ビジネス本の見出しみたいではある。最近本を出したばかりの壇蜜だが、今度はエロスに限らないビジネス理論も聞いてみたい気がした。
(田幸和歌子)

最終更新:2013/04/18 16:00
『エロスのお作法』
芸能界という会社では珍しい デキる中堅OL誕生