[連載]ヤリチン卒業!! 叶井俊太郎の子育て奮闘記

汚い銭湯と目のケガ……散々だけどこれも家族旅行の1つ!

2013/04/08 19:00
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(C)倉田真由美

 先日、横浜方面に久々に1泊旅行に行った時のこと。ホテルは温泉も大浴場もない普通のビジネスホテルだったのですが、ココが「大きいお風呂入る!」と言うので、フロントに教えてもらった徒歩5分の銭湯に行ってみました。オレも銭湯自体が超久々で期待も膨らんでいました。が! ここの銭湯はかなり年代もの、というか正直ボロボロで、入り口を見ただけで気が滅入った……。

 それでもココは妻くらたまと女湯に行き、オレは男湯に。番台に不機嫌そうなおばちゃんがいて、ロッカーを開けようとすると「あー、それ全部壊れてるから! 使えないよ!」と衝撃発言。「着替えはどこに?」と聞くと、ぶっきらぼうに「そのへんに置いといて!」。えぇ~? マジで? 盗まれたらどうすんの? と思いつつ、ほかの客の様子を見ていたら、汚いカゴが転がっててそこに服を入れてました。ちなみに客はよぼよぼのじいさん1人だけ! 仕方なくオレもその汚いカゴに服を入れてた時、ハッと気付いた! タオルやら石けんなど一式を持ってくるの忘れた! 女湯にいる妻に大声で「おーい、タオルとかあるか?」と聞くと、「貸してくれるよ」と言うので番台の不機嫌なおばちゃんに「タオル、貸してくれるんですか?」と聞くと、「ほらよ」と言って薄汚れた手ぬぐいを渡された。しかも臭い! ぞうきんの匂い! ついでに「石けんはあります?」とダメもとで聞いてみたら、「ない」だって。銭湯ってこんな感じだったっけ?

 石けんもシャンプーもひげ剃りもなく、あるのはぞうきんのような手ぬぐいだけ。「それで風呂に入って何すんの?」状態でしたが、とりあえず浴場へ。湯船は2つあったんですが、どちらも死ぬほど熱い! 熱湯ですよ、マジで! 足入れただけで飛び上がりそうでしたよ。結局、湯船にも入らず洗い場でお湯を体にかけて、3分ほどで終了です。だって着替えをそのままカゴに入れてる状況なわけで、誰かが入ってくると不安じゃないですか。財布を盗まれるかもしれないし。

 手ぬぐいで体を拭こうとしたけれども、臭すぎて拭けない! でもビショビショなので、泣く泣く拭きましたよ……。風呂入って逆に体が汚れたわ! 番台のおばちゃんに「タオルはどこに返せば?」と聞くと、「その辺に置いといて」。人が使ったタオルをそのまま脱衣場に置きっぱなしでいいのか! 脱衣場をよくよく見てみると、いくつかタオルや布切れが置いてあります。ここまで不潔な銭湯って珍しいんじゃないか? あり得ないね。オレは一刻も早くこの銭湯から出たい! 女湯に向かって「もう出るよ」と妻に呼びかけたけど、返事ないのでオレだけ先に外に出ました。銭湯の外には何もないただの道。しかもめちゃ寒い。妻とココが出てくるまで10分ほど待ちました。

 ようやく妻とココが出てきて、妻も「最悪だね、ここの銭湯!」。オレも「早くホテルに戻ろう」とココの靴を履かせてた時、いきなりオレの目に激痛が! 一瞬何が起こったのか理解できなかったが、あまりの痛さに路上にのたうち回りました。ココは「ごめんごめん!」と泣いてます。ココの靴を履かせていた時、ココがはしゃいで足を振りまわし、足の指のツメがオレの右目に入ったんです!! 

 ハンパじゃない激痛で立ち上がれなくて路上に座り込んでしまいました……。ココはずっと「父ちゃん大丈夫? うわーん! ごめんごめん!」と泣いてます。妻は何が起こったのかわからないようで、「どした? 大丈夫なの?」と声をかけてるが、オレはあまりの激痛で言葉が出ない。2~3分してようやく立ち上がると、右目が開かない! これはヤバいかもと一瞬慌てたものの、瞬きをするとなんとなく見えてきました。妻に「ココの足のツメが目に入ったみたい」と言うと、「何事かと思ったよ。で、大丈夫なの?」「まあ、今のところめちゃ痛いけどなんとかなるでしょ」とそのままホテルに戻りました。


 しばらくしたら目の痛みはなくなるだろうと思って、ホテルの風呂に入り直しましたよ。風呂上りも本やテレビを見ようとしても右目を開けると激痛。ココはケロッとしてはしゃぎ回ってるんですが、痛い上に目が見えないので、一緒に遊んであげる余裕もナシ。妻に「ココがヒマそうだから遊んであげな!」と言っても、ベッドでゴロゴロ本読んでるだけ! そんなわけでこの日は速攻で寝ました。

 寝れば治るでしょ、と思ったのが間違いで、翌朝起きてもまだ右目に激痛が走る! ようやく心配した妻が都内の救急病院に電話して眼科の先生がいるかを確認してくれました。慶應病院に眼科の先生がいてすぐに診てくれるというので、速攻でホテルをチェックアウトし、横浜から東京・信濃町の慶應病院へ。妻とココとは途中で別れて1人で病院へ向かったんですが、目がうまく開かないので歩きにくい。途中で限界になり、タクシーで病院に行きましたよ。

 病院で診てもらうと、右目の黒目部分に横に一本でかいキズがあったそう! 拡大した目の画像を見せてもらいましたが、相当でかいキズでしたね。先生は「黒目部分は目の視神経が集中してるので、このキズは痛い。よく我慢しましたね」と褒められるほど。10日ほどで治ると聞いて安心しました。薬をもらってそのままタクシーで帰宅。

 いや、目薬のおかげで、ちょっとは楽になりました。あまりの痛さにマジで失明するんじゃないかと思ってたので、ホント助かった! ちなみに相当な激痛でしたが、ココを怒る気持ちにはまったくならなかった。ココは悪気があったわけじゃないし、しょうがないですよね。3歳児の指のツメでも大人の男は倒せるってことだ。万が一、ココが犯罪の危機にあってもこのツメがあれば、ピンチから脱出できるな! そんなアホなことを考えているうちに、ちゃんと1週間後に完治しました。しかし、散々な旅行だったな。でも家族旅行は毎回楽しいわけではないし、何十年もたてば笑える思い出になるってことかも!

最終更新:2013/04/08 20:34
『突然、9歳の息子ができました。』
旅行の笑えるネタがあるほうが幸せな家族