『日本アカデミー賞』、『桐島』受賞は大手配給のヤラセ疑惑払拭のため!?
芸能界の恒例行事である『日本アカデミー賞』。第36回目の今年は、8カ月ぶりに沢尻エリカが公の場に姿を見せたり、樹木希林が「全身がん」と衝撃告白したりなど、大きな話題をさらっていった。ほかの登壇者も、司会を務めた井上真央を始め、阿部寛、吉永小百合ら豪華俳優陣が顔そろえた。
しかし例年疑問視されているのは、各賞の選考基準。「大手配給会社の作品しか賞を取らない」と、ネット上では毎回議論されている。
「アメリカ映画の祭典である『アカデミー賞』の日本版を謳っていますが、結局のところは東宝と松竹、東映による話題作りのキャッチボールみたいなもの。以前はここに、日活や角川の名前もありましたが、この2社はもはや最前線にはいませんからね。松竹にしても歌舞伎、東映も仮面ライダーで赤字を埋めているような状況で、東宝以外は映画で食えていないというのが映画界の現状でしょう」(芸能プロ関係者)
アカデミー賞協会のホームページを見ると、各賞の選考は協会会員による投票システムということがわかる。2011年度の会員数は3,991名となっているが、この会員には「業界関係者なら、ほぼ誰でもなれる」(同)という。
「一応さまざまな条件が規定にありますが、推薦さえもらえれば、そこまで難しくはありません。また協会員になると会費が年間2万ほど掛かるのですが、特典として映画館で料金を支払わずに鑑賞できるようになるんです。1本1,800円として、単純計算すれば12本以上見れば元が取れてしまうため、映画好きの芸能プロや制作会社の関係者は、喜んで会員になろうとします。しかし、それでも、受賞作はほぼ例年大手配給会社の作品になることから、組織票的な動きは当然あるはず。今年はショウゲートの『桐島、部活やめるってよ』が受賞しましたが、関係者からすれば、『たまにはこうした小規模の作品も入れておかないと』みたいな、わざとらしい意図も透けて見えますね」(同)
なお、本家アメリカの『アカデミー賞』との関係について、制作会社幹部は次のように語る。
「まったく関係ありませんよ。アメリカのアカデミー賞は相当硬派な賞で、かつては白人映画しか受賞させないなどの差別も存在しましたが、日本に比べればまったくのフェア。インディーズ系の作品が次々と賞を取るケースも多いです」
“出来レース”という部分は少なからず存在するようだが、ヤラセが嫌悪されるこの時代に、同賞は今後どうなっていくのだろうか。
「東宝にしても、日本アカデミー賞自体にもはや旨味も感じていないはず。賞を獲ったからといって、ヒットするとは限りませんし。今は、ヒット小説やドラマ作品を、テレビ局と組んで20億円という大金をかけて映画化し、50億円を儲けることが、商業的成功とされる時代ですからね。こうなってしまえば、日本アカデミー賞は何の権威もない、日本における“映画ビジネスの象徴”でしかありません」(前出幹部)
映画界に近い関係者ほど冷ややかな目を向けている同賞だが、しかし彼らにとっても登壇者たちの様子は見ものという。樹木は司会を本当に辞退してしまうのかなど、来年も豪華役者たちによるパフォーマンスには期待しておきたい。