「母はお姫様」トンチンカンな介護をする夫兄弟に呆れる嫁のため息
程度の差はあるが、男の子を育てている母親はみんなお姫様だ。「ママかわいい」「ママと結婚する」なんて言われた日には、「息子を産んでよかったー」と思う。もちろん、その息子はそんなことはすぐに忘れてしまうのだが、母親はいつまでも息子に一番愛されていると思っている。だから多くの嫁姑関係は、息子の愛の取り合いから始まる。一方、嫁の存在をものともせず、いつまでも相思相愛であり続ける母と息子もいる。年をとってもお姫様のままでいられる母は幸せだが、嫁はたまったもんじゃない。
<登場人物プロフィール>
大原 映子(52) 大阪在住。息子2人は社会人で、夫と2人暮らし。パート勤務
大原 俊也(58) 映子さんの夫。男ばかり3人兄弟の長男
大原 ミヨ子(85) 俊也さんの母。認知症の初期で、有料老人ホームに入居中
大原 達弘(88) 俊也さんの父。大阪で1人暮らし
■夫や義弟たちは「お母さんが大好き」
大原さんは、この数カ月ほとんど毎週末夫の実家に通っている。1人で暮らす義父の様子を見て、家の片付けをするためだ。
「とにかく、物が多い家なんですわ。義母の何十年も前の洋服や着物。バッグや靴。引き出物の食器や寝具。主人は、義母のことが大好きやから、『お母さんの物は捨てるな』って言うけど、そんなの知らん。もう毎回行くたびにゴミ袋何袋分も捨ててます。私には別に義母が取っておいたものに何の執着もあらへんし」
と、笑う。大原さんの義父母は、大原さんの夫や義弟たちが独立してからはずっと2人で暮らしていた。同じ大阪府内とはいえ、車で1時間以上かかる場所に住んでいたこともあり、行き来はそう頻繁ではなかった。夫の弟たちも関西に住んでいるが、みんな似たような状況だったという。といっても、それは嫁たちの話。息子たちは、たびたび両親の顔を見に帰っていた、と大原さん。
「いわゆる、昔の姑さんなんですわ。良妻賢母を絵に描いたような人やから、嫁にも要求することがすごく多い。そやから私だけやなくて、義弟たちのお嫁さんもお義母さんを煙たがっています。けど主人や義弟たちは、お母さん大好き。みんなお嫁さんがいい顔をしないから、自分たちだけ実家に帰ってお母さん孝行してたみたいですよ。まあ、そうしてくれるならこっちは楽やから、文句も言わんし。それでうまく行ってたんやけどね」