コラム
介護をめぐる親子・家族模様【第7話】

「母はお姫様」トンチンカンな介護をする夫兄弟に呆れる嫁のため息

2013/03/17 19:00
Photo by IAN Chen Flickr

 程度の差はあるが、男の子を育てている母親はみんなお姫様だ。「ママかわいい」「ママと結婚する」なんて言われた日には、「息子を産んでよかったー」と思う。もちろん、その息子はそんなことはすぐに忘れてしまうのだが、母親はいつまでも息子に一番愛されていると思っている。だから多くの嫁姑関係は、息子の愛の取り合いから始まる。一方、嫁の存在をものともせず、いつまでも相思相愛であり続ける母と息子もいる。年をとってもお姫様のままでいられる母は幸せだが、嫁はたまったもんじゃない。

<登場人物プロフィール>
大原 映子(52) 大阪在住。息子2人は社会人で、夫と2人暮らし。パート勤務
大原 俊也(58) 映子さんの夫。男ばかり3人兄弟の長男
大原 ミヨ子(85) 俊也さんの母。認知症の初期で、有料老人ホームに入居中
大原 達弘(88) 俊也さんの父。大阪で1人暮らし

■夫や義弟たちは「お母さんが大好き」

 大原さんは、この数カ月ほとんど毎週末夫の実家に通っている。1人で暮らす義父の様子を見て、家の片付けをするためだ。

「とにかく、物が多い家なんですわ。義母の何十年も前の洋服や着物。バッグや靴。引き出物の食器や寝具。主人は、義母のことが大好きやから、『お母さんの物は捨てるな』って言うけど、そんなの知らん。もう毎回行くたびにゴミ袋何袋分も捨ててます。私には別に義母が取っておいたものに何の執着もあらへんし」

 と、笑う。大原さんの義父母は、大原さんの夫や義弟たちが独立してからはずっと2人で暮らしていた。同じ大阪府内とはいえ、車で1時間以上かかる場所に住んでいたこともあり、行き来はそう頻繁ではなかった。夫の弟たちも関西に住んでいるが、みんな似たような状況だったという。といっても、それは嫁たちの話。息子たちは、たびたび両親の顔を見に帰っていた、と大原さん。

「いわゆる、昔の姑さんなんですわ。良妻賢母を絵に描いたような人やから、嫁にも要求することがすごく多い。そやから私だけやなくて、義弟たちのお嫁さんもお義母さんを煙たがっています。けど主人や義弟たちは、お母さん大好き。みんなお嫁さんがいい顔をしないから、自分たちだけ実家に帰ってお母さん孝行してたみたいですよ。まあ、そうしてくれるならこっちは楽やから、文句も言わんし。それでうまく行ってたんやけどね」

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