PC遠隔操作ウイルス事件で蒸し返された、エイベックスの消したい過去
4人が誤認逮捕され「真犯人」から警察を挑発する犯行声明が届いていた一連のPC遠隔操作ウイルス事件で、警視庁など4都府県警の合同捜査本部は10日、ネット掲示板に殺人予告を書き込んだとして、威力業務妨害の疑いで東京都江東区のIT関連会社社員・片山祐輔容疑者を逮捕した。
片山容疑者は、海外サーバーなどを経由させる匿名化ソフトを使って報道機関などに犯行声明メールを送り、捜査を撹乱。そのため、なかなか「真犯人」にたどり着かなかったが、今年1月5日、神奈川・藤沢市の江の島で「真犯人」のメール記載通り記憶媒体のマイクロSDカード入りの首輪をつけた猫が見つかり、付近の防犯カメラかに猫に近寄る男の姿と、移動に使ったとみられるバイクが映っていたため、片山容疑者が浮上。捜査本部は容疑者のネットへのアクセス記録を照合し、ようやく逮捕に至ったが、逮捕後には過去に犯した犯罪がクローズアップされた。
「片山容疑者は逮捕の数日前に都内の『猫カフェ』に立ち寄るなど、猫がかなり好きなようだった。逮捕のきっかけとなった猫のカードには、『以前事件に巻き込まれたせいで、無実にもかかわらず人生の大幅な軌道修正をさせられた』と動機めいた記載をしていたが、専門学校生時代の2005年に、レコード会社・エイベックスのキャラクター『のまネコ』の使用をめぐり、同社社員殺害を予告した罪などで逮捕され、1年6月の実刑判決を受けていました。逮捕された当時は別の姓でしたが、事件後、姓を現在の片山に変えて生活していました」(全国紙社会部記者)
すでにエイベックスにとっては消したい過去である“のまネコ騒動”だが、当時の片山容疑者を犯罪に駆り立てた衝動とは?
「05年8月にモルドバ出身3人組・O-Zone(オゾン)のアルバム『恋のマイアヒ』がオリコン・アルバムチャート1位となり、日本で“マイアヒ旋風”が巻き起こった。そのPVでは、2ちゃんに書き込まれていた、いわゆる・アスキーアートと呼ばれた猫のキャラ・モナーなどが楽しそうに踊っていました。これは、2ちゃんで誰かが制作したフラッシュ動画を修正したものですが、エイベックスはPVのキャラクターを基に商用キャラを作成。グッズではこのキャラクターを『のまネコ』として『(C)のまネコ製作委員会』という著作権表示をしていました。それに対し、ネットユーザーが『長年インターネットの共有財産として愛されてきたモナーを改竄、私物化して金儲けをしようとしている』と指摘し、大騒動に発展。10月に入ると、松浦勝人社長宅への放火をほのめかす文章が2ちゃんに書き込まれ、警察も動きました。結局、エイベックスはぬいぐるみなどの『のまネコグッズ』について、同社が受け取る契約になっているキャラクター使用料を一切受け取らないと発表し、騒動も収束しました」(スポーツ紙デスク)
片山容疑者は公園で野良無線LANに接続して書き込むなど念には念を入れていたようだが、2ちゃんに別の殺害予告を書き込んだとして逮捕されていた同年11月、“のまネコ騒動”渦中の一連の書き込みをしたことを供述。逮捕され実刑判決を受けた。
キャットフードのCMでおなじみのフレーズ「ねこまっしぐら」ではないが、片山容疑者は「ねこにまっしぐら」なおかげで、自らの人生を危険にさらしてしまったようだ。