カルチャー
[女性誌速攻レビュー]「steady.」2月号

ぽっちゃりさんの憧れ・磯山さやかが、「steady.」で見せたいじられモテ術

2013/01/20 19:00
「steady.」2013年2月号/宝島社

 「steady.」(宝島社)レビューで毎号注目してきた連載「石原さとみのAtoZ」。これまでは、各アルファベットにちなむテーマで、石原さん自身が語っていくという形式だったのですが、今月の「G」では、なんと占い師タレント・ゲッターズ飯田に占ってもらっています。いやぁ、自由なページですこと。

<トピック>
◎石原さとみのAtoZ「G」
◎着やせ着まわし31days
◎今年こそ結婚したーい!!

■アジアン・馬場園からぽっちゃり枠を奪取?

 今月号で驚いたといえば、着回しコーデに磯山さやかが登場ことでしょうか。「steady.」のぽっちゃり担当の専属モデルは、アジアン・馬場園梓だったはずですが、今月はその座を磯山に譲り、ファッションページではなく、お料理ページに登場するのみでした。

 なんでも、読者1000人アンケートで「みんなのコンプレックス」について尋ねたところ、「下半身が太い」「全体的にぽっちゃりしている」「下っ腹が出ている」というお悩みが多かったため、編集部が「それならぽっちゃり可愛い磯山さやかが適任」と、起用したのだとか。「っていうか、いいんですか磯山さん、そういう理由で……?」と、勝手に心配してしまいました。

 「steady.」読者の中に、どれだけのぽっちゃりさんがいるかはわかりませんけれど、おしゃれのお手本にするのは、本当のぽっちゃりではなくて、モデルと比べると確かに太めだけれど、一般社会ではどちらかというと標準体型の磯山さんくらいが、ちょうどいいということなのでしょう。確かに誌面を見ても、太っていることよりも、かわいらしさが際立っています。乙女心は複雑ですね。

 また、『ロンドンハーツ』(テレビ朝日系)で、そのまるまるとした体型を有吉弘行などから「イソえもん」といじられていますが、「steady.」誌上にもその蔑称はしっかり登場しています。注目すべきは、それが決して読者の目にマイナスではなく、魅力的に映るということ。いじられると、ほっぺをぷっくりふくらませて怒ったり、脚をバタバタさせて地団太を踏んだりと、昭和のラブコメディでしか見られないようなノスタルジックな反応を見せる磯山さん。そんな姿が、面白くて愛されているようです。もしかしたら磯山さんって、最強モテキャラなんじゃないかと思ってしまいました。

■「仕事ができる」のはモテか否か

 ぽっちゃりしていてイジられキャラだけど、同性にも安心感を与える上、異性からも実はまんざらではないという磯山さんが、今後「steady.」の目指す「勝ちキャラ」ではないかと思っていたところ、今月の蝶々さんの連載「なでしこの現代お作法指南」にも、関連するトピックがありました。

 今月は、「もっともっと!魅力的な女の子でいるための4つのなでしこ作法」が紹介されています。その4つとは「雰囲気美人」「ナチュラル女子力」「胆力&地道」「おとぼけ術」というものです。

 蝶々さんは「ルックスの細かいディテールとかダイエットとか、実はどうでもいいの」と断言し、「腹がしっかり据わってて、お仕事ができたり、男子や彼が弱ってるときに、うるさくないけど、さりげなくフォローできるような女性」こそ、この不安定な世の中で「上司も彼氏も、みんなから、もう手放せない存在」になれると語ります。これ、磯山さんモデルと言ってもいいのでは。

 「仕事ができる=モテる」は、これまでにも幾度となく言われてきましたが、男勝りの女のイメージもつきまとってしまうため、いまいち信ぴょう性のほどが疑わしいとされてきました。しかし、現在の「仕事ができる」とは、何も出世しているとか、仕事をバリバリこなしているとかではなく、協調性やコミュニケーション能力やおおらかさとも関わりがあるような気がするのです。なので、やはり、「仕事ができる=モテる」も、あながち間違いではないと思います。

 「steady.」は、特別な女の子ではなく、どこにでもいる普通の女の子をフィーチャーする雑誌。だからこそぽっちゃりさんのためにページを割く。今のところ、ぽっちゃりさんをここまでフィーチャーしている雑誌はありませんから、「steady.」は、ぽっちゃり胆力が特徴の雑誌……になっていくのでは。いや、でも女性誌においては、なかなかその決断は難しいかもしれませんね。

■「steady.」ちゃんが狙うべき結婚相手とは?

 今月は、「今年こそ結婚したーい!!」という読み物ページもありました。寺コン、スポーツコン、料理コン、農業コン、ねこ(猫)んかつ、鬼ごっこコン、オタクコン、恋する占いパーティなどを紹介し、さまざまな婚活事情が紹介されていました。が、なんか「マニュアル感」がぬぐえない。

 以前、筆者がとある女子大生と結婚について話をしていた際、「この世知辛い世の中で、結婚したい人は血眼なんだなぁ」と感じたことがありました。危機意識の高い今の女子大生は、主導権を自分で取って、選ばれるのではなく選ぶという意志を持ち、また気持ちや感情に流されるのではなく、結婚相手は条件やスペックで判断すると割り切っているよう子もいるようです。そんな割り切りを相手には見せずに、日々就職の採用担当のように男子をジャッジしていると語っていました。「若いのに何もそこまで……」と思うかもしれませんが、彼女たちは、選ぶ側でいられる期間が短いことを、よーく知っているんですね。

 そんな女子大生たちのお姉さん世代である「steady.」ちゃんが、OLになってから、「今年こそ結婚したーい!!」と男性をジャッジし始めたところで、「今さら? 何勘違いしてるの?」と思われてしまうのでしょうか。しかし、ジャッジされ疲れた男子たちを、「steady.」で学んだ胆力とおっとり力で救うというのも、結婚相手をゲットするための1つの手。ぜひそこを狙ってもらいたいものですが、「steady.」ちゃんのぼんやり具合を見るにつけ、「婚活していることに満足してしまい、ほかの女に出し抜かれるタイプ」なのではと思わずにはいられません。まぁ、そこがなんとも愛らしいんですけどね。
(芹沢芳子)

最終更新:2013/03/29 15:21
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