サイゾーウーマンカルチャー女性誌レビュー「steady.」の1カ月コーデが涙ぐましい カルチャー [女性誌速攻レビュー]「steady.」6月号 好きな男のために1カ月を5枚のワンピで過ごす、「steady.」の涙ぐましい努力 2012/05/17 19:00 女性誌速攻レビューsteady. 「steady.」(宝島社)2012年6月号 毎月「steady.」を読むたびに、20代の専業主婦志向のことが頭に浮かびます。今月の連載コラム「辛酸なめ子の覗き見 OL妄想劇場」の冒頭でも、「このまま働き続けても顔が険しくなるだけだし……と、キリのいいところで結婚&専業主婦願望を持つ若い女性が増えていると聞きます」と書かれています。最近は、総合職OLながらも結婚を目指す「腰掛け総合職」なる人々も増えているとか。なぜこんなことを考えたかというと、「steady.」の1カ月コーディネートの主人公は総合職なのか派遣なのか? という疑問が湧いたからです。 <トピックス> ◎プチプラワンピ5枚で1カ月着回し ◎これからは“なでしこ”の時代です! ◎みんなの“結婚式”見せて! ■炎上二番手商法? 問題の1カ月コーディネートのページは、「プチプラワンピ5枚で1カ月着回し」というテーマで、フェミカジOLの加藤夏希が主人公。「フェミカジ」という言葉は5年以上前からあったようですが、ネットで検索してみてもまったく浸透してないみたいですね。“フェミニストのカジュアル”のようなイメージを持つからでしょうか。それはいいとして、主人公の設定プロフィールを見てみましょう。夏希は旅行代理店で働く26歳、国内旅行チームから韓国チームに異動したというで、ほぼ派遣ではないと見た方がよさそうですね。ただ、「派遣 異動」で検索してみるとまったくあり得ないことではないようですが、ここでは総合職を想定していると見る方が正しい気がします。 夏希には韓国チームに所属する奥山先輩という憧れの存在がいて、その奥山先輩がワンピ好きなので、「毎日ワンピースで過ごす」ために、プチプラワンピ5枚で1カ月を過ごすことに決めたようです。片思いの男性に好かれたいがために好みに近づくという姿勢だけでも涙ぐましい努力ですが、ワンピ5枚で乗り切ろうという姿勢がこれまた泣けてきます。憧れの奥山先輩はオラオラ系のようで、夏希がワンピで自転車をこいでいると「加藤、スカートで脚開いて自転車乗るな!」と言ったり、韓国チームの歓送迎会では「お前のこと、みんなでクールビューティ加藤って呼んでたんだぞ」と言っています。奥山先輩が「お前」と呼ぶキャラだったとは……予想通り過ぎ! 結局、夏希は韓国研修旅行で迷子になり、奥山先輩から「もう、これからお前は俺の側を離れるな(怒)」と言われて付き合うことになるのですが、1カ月コーデの中に「BIGBANGのライブに行った」「ひとりで冬ソナ祭り」をしたりと、韓国ステマな話題がたくさん。以前の「MORE」3月号(集英社)が韓流ゴリ押しステマと2ちゃんねるなどで話題になったことの二番煎じを狙っているの? と疑わずにいられませんでした(そんなに話題にならなさそうですけどね……)。 ■女のプライド=蝶々の芸 今月は「steady.」で連載中の蝶々が、新刊『なでしこの恋愛教科書』の広告を兼ねたインタビューページに登場しています。個人的に、毎月「steady.」を読んでいて何がいいかといえば、蝶々が実はリアルな女性の味方だと知ることができたこと。このインタビューでもいいことを言っています。 蝶々は会社員経験があるだけあって、想像だけで社会を語るマッチョな女性識者とは異なり、言葉にリアルが宿っています。「会社ってたくさんの変な慣習が残ってますよね」「こんなオヤジたちが支配している日本って終わってる」と現実も見ている。しかも、ランジェリーの仕事で男性社会体制にびっくりした時は「古い考え方の男性もどんどん巻き込んで、大きな動きにつなげていった」そうです。 これは会社員経験よりも、ホステス経験の方が生かされている気もしますが、男性社会に立ち向かうには、肩肘張って同等に主張するよりも、「柔よく剛を制す」的に女性らしさを生かしてオヤジをうまく利用する方が成功しやすい、ということを言いたいようです。「そんな女の武器を使うなんて!」という人もいるかとは思いますが、日本に生きる女性に有益な対処法のひとつではないかと思うのです。 ただ、「君はきっと一流の人になる」と言われ続け、「私と不倫したいのかなと思ってた」というくだりには、蝶々の女としてのプライドが見え隠れしていて、なんだか微笑ましく感じてしまいました。 もうすぐ6月、ジューンブライドということで、「みんなの“結婚式”見せて!」という特集もあります。このページ、たくさんの一般人カップルたちの結婚式の写真を“お借りして”構成しています。実際に結婚するためのノウハウやアドバイスがあるわけでもなく、単に結婚式の写真を見て幸せを妄想させたり、憧れを抱かせるだけの企画。「stedey.」と「結婚」の距離感はこんなに離れているのか! と驚愕せずにはいられませんでした。物事との距離感が曖昧で、現実に踏み出さないのが「steady.」らしいといえば「steady.」らしいのですが……。 (芦沢芳子) 「steady.」 奥山先輩を好きになれるメンタルが欲しいわ~ 【この記事を読んだ人はこんな記事も読んでます】 ・フラれる前にフッちゃう? 「steady.」の”ワンマン恋愛症候群”の正体 ・「steady.」読者の漠然とした悩みと、もやっとしたコラムで、雑誌全体がおかしな空気に ・男の子、先輩、上司……意見を集約できず「steady.」OLがノイローゼ寸前! 最終更新:2012/05/17 19:00 次の記事 「エイベックス下手すぎ」業界が苦笑 >