「結婚したかったらまず就活!」白河桃子が、「アンチ婚活」の女子大生に熱弁!
最近では、すっかり日常的な言葉となった、「婚活」。この言葉の生みの親ともいえるジャーナリスト・白河桃子さんが『女子と就活』(中央公論新社)を刊行した。『「婚活」時代』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『妊活バイブル』(講談社)、そして『女子と就活』の三部作を通して、白河さんが女性たちに訴えたいこととは何なのか。「婚活って何か怖い……」と語る現役女子大生3人を交えて、座談会を行った。
――白河さんは以前より、「女性の専業主婦希望」に対して警鐘を鳴らす著書を執筆されており、以前サイゾーウーマンでも、『専業主婦に、なりたい!?』(講談社)のインタビューでその辺りのことを語っていただきました。『女子と就活』でも、女子大生の専業主婦願望を指摘されていますが、女子大生のみなさんはいかがですか?
福島さん(以下、福島) 私は嫌ですね! 母は結婚して、仕事を辞めて専業主婦になり、今現在パートをしています。母自身も仕事を辞めて後悔していると言っていたんですが、反面教師というか(笑)、母とは違う生き方がしたいなぁと思っています。
林さん(以下、林) うちの母も専業主婦ですよ。私を産むまでは働いていたそうですが、出産後はパートにも出ていません。私は、絶対専業主婦がいいとか嫌とか、はっきり決めてはいません。「出産しても辞めたくない」と思える、好きな仕事に出会えるかで変わるかなぁ……と。今は、外国語を専攻しているので、語学を活かせる仕事がしたいと考えています。
小貫さん(以下、小貫) 私の母は歯科医で、出産してから1~2カ月で仕事に復帰しているんです。だから、私は子どもの頃、専業主婦という存在が身近じゃなくて、『クレヨンしんちゃん』(双葉社)の世界の中だけにいると思っていました。なので、今のところは出産後も働きたいと考えていて、そのために、業界や職種よりも、「出産後も仕事を続けられるか」ということを第一条件に会社を調べています。でも、そういう会社に入れなかったら、出産後に退職するということになってしまうかもしれません。
白河さん(以下、白河) 皆さん、しっかりしていらっしゃいますね。ご両親の世代では、家計を担うのはお父さんというケースが多いと思いますが、皆さんはどう思いますか?
福島 結婚相手の収入によると思うんですけど……。私はどうしても、お金で結婚を決めたくないんです。どんな相手とでも結婚できるように、自分が稼ぎたいです。選択肢は多いほどいいわけですし。それに、お金がないと離婚もできませんよね!
小貫 すごい(笑)。結婚する前から離婚のこと考えてるんだ。
福島 実際問題、そうでしょ。
林 私は、収入が旦那さんと私で半々くらいが理想かな。
福島 あの、白河さんといえば、「婚活」だと思うんですけど、私、どうも婚活という言葉に拒否反応というか恐怖を感じます。
小貫 私もです!
白河 婚活って何をやることだと思いますか?
福島 お見合い相談所とか、街コンとか。年収や職業だけで男の人を見たりして……。
小貫 テレビで時々見ますけど、取り上げ方に悪意がある気がします。「この人たち、嫁ぎ遅れちゃったから焦ってる」みたいな。
林 余ってしまった人たちが「結婚しなきゃ」と焦って、必死に相手を探していて。焦った相手だから、いい相手は見つからないんだろうなと思います。だから、私は婚活なんてしたくないです。
白河 面白い(笑)、婚活は怖いんですね! でも、婚活って言葉に拒否反応がある人も多いですよ。あのね、私が『女子と就活』を書いたのは、婚活と無関係ではないんです。30代で派遣社員で、婚活して養ってくれる男性と出会おうとする女性を見ていると、「親が元気なうちに何か資格を取ってくれればいいのに」って、まず思っちゃうんですよね。仕事というベースがちゃんとあると、選択肢が広がります。結婚という選択肢もいろいろと出てくるんです。出産できる年齢のリミットもあるし、仕事も嫌だし、不安定だから養ってほしい……そんないろいろなことが重なってから婚活しても、全てを求めてしまって、うまくいかないんですよ。そうした例をたくさん見ているので、「結婚したかったら、仕事をちゃんとしようね、そのためには就活だよ」と思って書きました。
福島 婚活ってそういう意味だったんですね。だったら納得できるかも。でも、甘くないものですね。結婚するのも。
小貫 そうそう、合コンに行っても、いい人とは出会えないですもんね(笑)。
――女子大生の皆さんは、この本を読んでどう思われました?
林 この本の最初に、「大企業に一般職として入って、結婚して専業主婦になって子どもを2人産みたい」っていう願望を、「頭の中、お花畑」とか「無理だ」って書かれてますよね。私は、そういう生き方は普通だと思っていたので、とても驚きました。もしこれが難しいなら、大企業に入ってバリバリ働いて、子どもを産んで少し仕事を辞めて、パートとかじゃなくて、正社員として復帰して男性と肩を並べて働くってもっと難しいですよね。そういう人って現実にいないんですか?
白河 現実にいなくもないですけど、正社員で復帰したいなら、若いうちに結婚・出産して、退職して3年以内、もしくは専門性が高い仕事なら大丈夫じゃないかな。ただ、みなさんは今いろんな意味で会社を選べますけど、その選択肢が出産後にあるかといえば、ないです。
林 そうなんですか……。
白河 大企業じゃなくて、中小企業に移って続ける人もいます。理解のある企業だったら、ライフワークバランス(仕事と生活の調和の意味)もいいですし。
福島 うちの母は自分が専業主婦で仕事に戻れなかったこともあるので、資格を取れっていいます。私も一瞬、資格を取ろうと思ったんですけど、止めました。この本には、「今の世の中は厳しいんだ」ということの根拠となる数字がいっぱい載ってるし、資格も持っていた方がいいと思うんですけど……。資格とか数字をクリアしていなくても、私は何とかなるというか、私は幸せを手に入れられるはずって、信じています。
白河 読んでみてそれぞれの結論でいいんですよ。裏付けとしてデータは必要ですが、データがすべてじゃないと私も思っているので。
小貫 私も、独身男性の年収分布図を見て、シビアだなぁと思いました。福島さんと同じで、収入に縛られて相手を選ぶことに抵抗がありますね。やっぱり私は、何があっても大丈夫な自分になれるよう、「出産後も仕事を続けられるかということを第一条件」の就活を頑張ろうと思いましたね。
――おそらく、結婚している女性が仕事を会社を辞める大きな原因の1つに、夫の転勤があると思いますが、皆さんが結婚したとして、夫が遠方に転勤になったらどうしますか?
福島 うーん。夫の年収とかもありますよね。仕事を辞めたら、何年か後に後悔するかもしれないし……でもやっぱり好きな旦那にならついていきます!
林 想像つかないですねぇ。どれくらい仕事が好きと言えるかもわからないし……。
小貫 夫の赴任地にある、自分の会社の支社に転勤させてもらうってことはできないんですか?
白河 会社によって、できることもあれば、できないこともあります。まず、全国支社がない会社もあります。あったとしても、会社には人事計画というものがあり、急に1人異動するから、今いる誰かを動かしてよとは言えないので。でも、今は制度が整いつつあり、以前よりもずっと働き続けやすくなりました。実は今は働き続けたい女性にとってすごく追い風なんです。政府が打ち出した、2020年までに女性の役職者を30%にするという目標があって、企業の本音はどうあれ、達成しないと体面に関わりますから、適性があると認められれば、「なりたくなくても」出世するのが、みなさんの世代なんです。係長はもちろん、課長やもっと上も狙えるんですよ。
林 そんな制度ができたんですね。全然知りませんでした。
白河 女性活用推進室、ダイバーシティ推進室がある会社に入って、制度を使わせてくださいと言ったり、相談したりすれば、企業は拒めないので調べてみるといいですよ。夫の転勤や留学に伴う休職制度がある会社もあります。一番いいのは、再雇用制度があるところなんですけどね。何年以内なら、戻れるとか。ただ、就活の際、こういった女の権利を人事担当者の前で振りかざすのは、やっぱり得策ではないです。本音と建前をうまく使い分けることが大切。まずは職場に必要な仕事のスキルを身につけ、応援したいと思われる人材になってくださいね。
福島 いろいろ気を遣わなくてはいけないことばかりで、女性は大変ですねぇ。
白河 大変ですよ。使えないオジサンを飼っておく余裕はあっても、女性はそうはいかないですから。
(後編につづく)
【プロフィール】
白河桃子(しらかわ・とうこ)
少子化ジャーナリスト、作家。東京都生まれ。慶応義塾大学文学部卒業。山田昌弘中央大学教授との共著「『婚活』時代」(ディスカヴァー・トゥエンティワン)が19万部のヒットとなり、「婚活」は2008年度新語・流行語大賞にノミネートされる。近著に、『妊活バイブル』(講談社)がある。
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