コラム
角川慶子の「シロウトで保育園作りました」第33回

モンペ対策DVDに5万円、月刊誌掲載に7万円……保育園経営者を狙う営業電話

2013/01/05 16:00
「クリスマス会のスペシャルゲスト、小島よし
お」です。子どもにはスギちゃんや小島よしお
さんのような芸人がウケます

 今回は、まず年末最後のイベントであるクリスマス会を振り返ってみたいと思います。

 ハロウィンいい、クリスマスといい、イベントが超豪華なのはうちの保育園しかないと断言できますね。今年のクリスマス会は、料理研究家の藤野真紀子さんのおやつを食べてからのスタート。スペシャルゲストは「オッパッピー」で子どもに大人気、小島よしおさんに来てもらいました。小島さんとはお友達で、「いけます!」と二つ返事で来てくれました。感謝です。

 クリスマス会は保護者参加型イベント(仕事で参加できないご両親もいます)で、両親揃ってくる家庭が多いのも特徴です。クリスマス会のために半休を取ったり、仕事の調整をして参加しているのがわかっているので、角川保育園としてはド派手にやらないとね! 小島よしおさんは予想通りに親子で大盛り上がり!

 その後は藤野真紀子さんの食育トークです。いきなりセレブな空気に変わりましたが、突然の変化についてこられる子どもたちってすごいです。子どもたちにお菓子のグミを配って、おいしいグミも鼻をつまんで食べると味がよくわからないということを体験させ、人間は口だけではなく五感を使って食べているということを教えてくださいました。食育というと、農業体験や食材に関する知識を与えることと捉える人は多いのですが、「食べる」という行為そのものを教える基本的な視点は忘れられがち。保護者の方はみな熱心に聞いていて、私自身もタメになりました。

 その後、ダンスの先生とテレビ番組でおなじみの「ママモコモたいそう」「キッチンオーケストラ」を踊り、保護者たちも保育園の成果を見ることができ、喜んでいるようでした。ダンスの先生だってDVDとか出しているタレントですからね。考えれば考えるほどうちの園ってすごいよなあ。

 そしてサンタ登場! プレゼントを全員に配り終了です。終わったばかりなのに、2013年はどんな内容にしようかな? と考えてしまいますよ。小島よしおでハードルを上げちゃったので悩みます♪ 2012年も1年間無事に終えて本当によかったです。

■「お世話になってません」のひとことで迷惑電話を撃退

 昨年、面白かったことを振り返ると……。

 このコラムでボッタクリ「赤ちゃん泣き相撲」の話を書いたせいか、「財団法人」を名乗るあのダイレクトメールは来なくなりました(笑)。最近多いのが、「保護者のクレームをかわす方法DVD」ですね。価格が5万円のところ、年末までに購入すれば3万8,900円(高い!)みたいな感じで、どこの会社も価格に差はありません。うちの保育園は客筋がいいので問題ないのですが、モンペ(モンスターペアレント)に悩まされている保育園の園長や経営者は思わず購入してしまいそうな内容で、「クレームの返しは最初の言葉で決まる」「最後は思わず納得してしまう魔法の言葉」など、妙に気を引くものでした。取材費が出れば見てみたいですね。もしかすると、ポストに入っている宅配裏DVDと同じで、見たら裏モノじゃなかったみたいなオチかも。とにかく胡散臭いこと間違いなしですよ。

 またもや「経営者の取材をさせていただきたい」と大阪にある月刊誌Hというところから電話がありました。「何を見てお電話していますか?」と尋ねると、「地域のコミュニティサイトです」と言うだけで、私が角川書店創業者の孫とも知らず、ただやみくもに電話営業しているだけの出版社でした。「サイゾーウーマンのコラムがおもしろくて」と言えばまだマシですが、電話帳で上から順に電話しているようなところです。笑ってしまうのが、「どこで売っている雑誌ですか?」と聞くと、「銀行さんで『エコノミスト』の横に置いてあるような雑誌です」と言うではありませんか。最後まで話しを聞くと「掲載料7万円」とのこと。ですが、「経営者の取材」という言葉で、零細企業のおじさんとかは舞い上がってしまうのでしょうね。選ばれた社長だと思い込んでね。

 保育園を経営していて迷惑なのは、こういった営業電話です。こんなに繁盛すると思っていなかったので、電話を1回線しか引かなかったのが悪いのですが、保護者からの電話連絡も見学契約の予約も迷惑な営業電話も同じ電話に掛かってくるので、営業電話はとにかく早く切りたいのです。最近の対策として、「お世話になります」と向こうが言ったら、「お世話になりません」と言って、話を聞かないで電話を切ります。中には初めて電話をしているにもかかわらず、「お世話になっています」と言うバカがいるので、「お世話になっていません」と返すと、相手が動揺して向こうからガチャ切りすることを発見。1人だけ強者がいて、「これからお世話になります」と返してきた人がいたので、思わず、「いい切り返しするね、でもお世話になりません」と言って電話を切ったことがありました。同じ営業するなら、夜中にFAXで送ってくれる方が確実に見るし、不快にもならないのですが。

角川慶子(かどかわ・けいこ)
1973年、東京都生まれ。「角川春樹事務所」会長・角川春樹氏の長女。自身も元アイドルという異色の肩書きに加えて、ビジュアル系バンド好きで、元バンギャルの”鬼畜ライター”としても活躍。2011年9月1日に「駒沢の森こども園」をオープンさせる。家庭では4歳の愛娘の子育てに奮闘中。

最終更新:2013/01/05 16:00
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