『家族のうた』などドラマ界も苦戦続き……今年のズッコケ作品はコレ!
――2012年、テレビ業界は全体的に視聴率に苦しんでいる状況でしたが、中でも顕著だったのはドラマの数字。打ち切り作品も1つじゃなかった今年のドラマ事情を、サイゾーウーマンが誇るテレビウォッチャー・太田サトル&田幸和歌子が振り返っていきます!
太田サトル(以下、太) 2012年のドラマを振り返ってみると、結局平均視聴率の1位2位は『カーネーション』『梅ちゃん先生』と、NHK朝ドラが独占していたね。この2作品は対照的で、ファンがかぶっていないのが面白い。
田幸和歌子(以下、田) 好調だったのは、米倉涼子の『ドクターX~外科医・大門未知子~』。テレ朝と刑事モノとの相性の良さを感じたね。
太 逆に、3%台という驚異的な低視聴率を記録して8話で打ち切りになったオダギリジョーの『家族のうた』も、2012年。
田 なんだかずいぶん昔の気がするなぁ。
太 2011年に『家政婦のミタ』で最終回40%超え(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)の驚異的視聴率を記録した日テレ水曜夜10時の枠が、今年は『ダーティ・ママ!』(平均10.47%)、『クレオパトラな女たち』(7.70%、打ち切り)、『トッカン−特別国税徴収官−』(10.43%)、『東京全力少女』(7.6%)と、立て続けに不調だったことも話題だったよね。『家政婦のミタ』以降去ってしまった30%の人たちは、ミタさんの呪い?
田 その『東京全力少女』や、『Wの悲劇』(平均9.1%)によって、新たに“低視聴率女王”なんて不名誉な称号を与えられつつあるのが、武井咲。特徴的な声はともかく、どちらもドラマの内容は悪くないと思ったんだけど……。剛力彩芽とともに、「ゴリ押し」と言われる人たちが避けられた傾向が目立つ1年だった気もする
太 「ゴリ押し」で避けられたと思う番組と言えば、『ビューティフルレイン』(フジテレビ系)。「韓流ゴリ押し」と言われたフジテレビで、不買運動まで起こった花王一社提供枠だった影響も少しはあるかも。
田 芦田愛菜ちゃんを散々持ち上げていたマスコミが、手のひらを返したようにバッシングし始めると、世間もそれに同調して……。あらためて世間は怖いと思ったね
太 フジテレビが全体に苦戦した1年だったけど、時代とのズレを最も感じてしまったのが、向井理主演の『ハングリー!』。やたら「ロック」「ロック」言いたがる感じとか、登場人物、レストランの設定などはバブル期みたいだった
田 天海祐希主演の『カエルの王女さま』(フジテレビ系)も、ちょっと残念だったね。和製『glee/グリー』を狙ったのかもしれないけど、予定調和のベタな世界観と、感動とギャグの絶妙なバランスの寒さに、途中でついていけなくなっちゃった。天海祐希はカッコいいし、存在感あるのに、『演歌の女王』(日本テレビ系、2007年)とか、実はハズレも多いんだよね。ギャグ要素の強い時は外すのかな。
太 今年終盤で盛大にズッコけたのは、2夜連続で放送されたスペシャルドラマ『積木くずし 最終章』(フジテレビ系)。30年前にベストセラー&大ヒットドラマになった作品の完結編だけど、全部見終わって思ったのは、「結局、父親が諸悪の根源だったんじゃないか」ってこと。
田 それに、父親役を志村けんが演じていることにビックリしたんだけど、よーく見たら中村雅俊だったっていうのも、意外な事実だったよ。二人が似ているなんて、新発見!
太 ……。ともかく、一般の人がテレビの世界の裏事情などを知り、「ゴリ押し」などと言う時代。『カーネーション』など脚本が絶賛されるドラマは視聴率も評判も良かったわけだし、キャスティングありきのドラマ作りはそろそろ転換期にきているのかもね。