「Samurai ELO」ボーイズよ、まず舐めよう！　三十路ヤリマンからの進言

「短すぎるとモノ足りない」
「長すぎるとダルくなる…」

　男子高校生向けファッション雑誌「Samurai ELO」2013年1月号（インフォレスト）の、セックス特集ページの見出しです。これを見て、「読者層は多感な10代男性が中心だろうに、サオの長さをとやかく言うとは、なんと惨い仕打ちを……」と嘆いたのは私だけではないハズ！　短い・長いという言葉＝チン長を連想するのは、ヤリマン脳の宿命ですから。

　いや、サオの長さ自体は、実はヤリマンにとってはたいした重要事項ではありません。「ヤリマン＝巨根好き」というイメージが付きまといがちですが、短かろうと長かろうとサオはサオ！　対戦相手のチン長が、10センチだろうと20センチだろうと、ありがたく・おいしくいただくのが正しいヤリマンの姿でしょう。

　さて、チン長の話はこれくらいにして、セックス特集に話を戻します。ここでいわれる「短い・長い」は、サオの長さではなく「セックスの時間」のこと。なお、「セックスの時間」というのは、「挿入時間」のことではなく「総合時間」を指します。挿入至上主義のヤリマンとしては、ついピストン運動の耐久時間を思い浮かべてしまいますね。女性の中には、「イチャイチャしているだけで満足、いやイチャイチャしている方が楽しい」と主張するペッティング至上主義者もいます。むろん、ヤリマンとてキスやペッティングが嫌いなわけではありませんが、セックスの醍醐味といったらやはり挿入！　ですが、今回は敢えてキスやペッティングも含めた「ほどよい時間」について考えてみましょう。

　「Samurai ELO」によると、「理想のSEXとは46分間である！」とのこと。これに対して意見を求められたとしても、きっと私は困ってしまうでしょう。なぜなら、14年間のセックス人生で、時間をカウントしたことが1度たりともないからです。

　正直、想像すらつきません。ラブホは時計がないですよね。また、ケータイを時計やアラーム代わりにしている現代人が多いためか、自分の部屋だけでなく男性宅でセックスに至る時も時計がないことがほとんど。この環境下で、セックス時間を把握できている人の方が少ないのではないでしょうか？　

　とはいえ、お年頃のボーイズにとってセックスの総合時間は、気になるものなのでしょう。この背景には、早漏・遅漏に関する情報が浸透してきたことがあるのかもしれません。「早いと思われていたらみっともない！」「あまりにも（射精に至るまでが）遅いと、ユカニー（床オナニー）の常習者だと思われてしまう！」など、挿入時間にまつわる苦悩が、「待てよ、挿入時間だけでなく、セックス自体の総合時間も気にした方がいいかも」という結論に至ったと考えられます。気持ちはわかりますが、行為中にチラチラ時間を確認されるのも情緒に欠けるので、気にしすぎる必要はないかと思うのですが……。

　しかしまぁこれは、あくまでも私個人の意見。「Samurai ELO」には、「街の女の子に『理想のSEX時間』をきいた内訳」として、実に細やかな数字が、明確に記載されています。恐るべし、街の女の子！　仮に私が街頭アンケートを受けたとしても、「よくわかりません」としか答えられなかったでしょう。自分がどれくらい時間をかけているかわかっていないのに、理想の時間を語るなど不可能です。街の女の子たちが、理想の時間についてハキハキと答えているということは、日ごろのセックス時間もきちんと把握できているのでしょうね。大いにけっこうではありませんか。

　どのくらい細やかなデータなのか、順々に例を挙げていきましょう。まず、ド頭の「キス」にかけるべき時間は5分なのだそうです。内訳ですが、「ライトキス2分・ディープキス2分・周辺キス1分」とのこと。

　私個人の曖昧な記憶では、ライトキスの時間とディープキスの時間は、同等ではなかった気がします。ライトキスはほんの一瞬で、すぐさま口腔内に舌が侵入してくるパターンがほとんどでした。ですが、それはあくまでも私個人の経験値。そういえば女友達の何人かが、「たまに、小鳥の啄みのようなキスがやたら長いオトコがいて、なかなか舌を入れてこない！」とボヤいているのを聞いたことがありました。そういう男性は、おそらく「ライトキス4分・ディープキス1分」程度の内訳だったのかもしれません。

　「おっぱいタッチ」は5分。「ブラを外す」際は、「あせらずに両手で」と注意書きしているあたりが、ほほえましいですね。そう、手慣れたヤリチンを気取ってブラのホックを片手で外すことが、スキルの1つと勘違いしている男性もいますが、女性にとってはたいした問題ではありません。

　この後、3分の「おっぱいなめ」、5分の「アソコにタッチ」を経て、いよいよ「指入れ」です。指入れの理想時間は3分とのこと。ここでもまた、「イカせようとしつこいとウザがられる」と警鐘を鳴らしています。ごもっとも！　殿方があまりにも必死な場合は、女性はイッたふりをすると良いでしょう。全ての女性は女優ですから。

　「30秒でコンドームを装着」し、いざ挿入。「挿入後はキスしながら30秒ストップ」なのだそうです。「“挿れてすぐに射精”という悲劇も防げる」との注意書きに、なんともいえない悲哀を感じてしまいます。そこから、「ソフトピストン3分・ミディアムピストン8分・フルピストン3分」……いやはや、実に細かい。男性はタイヘンですね。そう思うと、セックスには敬意を持って臨まねばと、つくづく痛感させられます。そして、ここでもお決まりの注意書きが！　「全然イケない場合は足をピンと伸ばすとイケる」……男性が足をピンと伸ばしたら、己の膣トレを検討した方がいいかもしれません。

　後戯10分は置いといて、「そういえばクンニがないぞ？」と思ったら、ありました。「＋＠延長テクニック」として、「志の高いキミ」限定に、クンニが紹介されていたのです。まだセックス経験の浅いボーイズにとっては、クンニはだいぶハードルの高い行為ということなのでしょう。しかし、近い将来ヤリマンとお手合わせする日が来るかもしれません。その際、ごく当たり前の行為としてクンニに臨む方が、好印象であることは間違いなし。志を高く持って、果敢に挑戦していただきたいものですね。少年よ、大志を抱け。そしてクンニせよ。Boys, be ambitious. Carry out cunnilingus.

菊池美佳子（きくち・みかこ）
21歳で処女のままキャバ嬢デビュー。その後、数々のナイトワークとオトコのカラダを渡り歩き、ハケンOLを経てヤリマンライターへ転身。
ブログ「マンゴージュースと黒あわび」