「MORE」男子座談会、「結婚に焦る女はみっともない」の幼稚過ぎる論拠
今号発売の11月28日、「MORE」(集英社)専属モデルとして4年目の篠田麻里子が念願の表紙を飾った記念すべきこの日、AKB48・増田有華がDA PUMPのISSAとのお泊まり愛をスクープされ、脱退を発表していました。麻里子様が「ゆっぱい」と名付ける程のナイスバディで将来を嘱望されていたのに、しかもお相手が平成の火野正平……。通常は女優かアーティストしか飾らない表紙に抜擢された篠田麻里子の8ページにわたる記念インタビューを、ぜひとも増田さんにも読んでいただきたかったです。アイドルという仕事とは何なのかを、考えさせられたはずでしょう。しかし相手がISSAとはね……。そんなわけで全AKBさん必読、ドライブする成り上がり魂“篠田麻里子イズム”から、さっそく拝見したいと思います。
<トピックス>
◎毎日がイベント! 12月の「女子力UPコーデ」112連発
◎モアだけに語る、篠田麻里子のSTRONG WORDS
◎カレに直撃!なんで結婚してくれないの?
■そろそろ会場に赤いバスタオルが舞うでしょう
かつて「MORE」の着回しページでは、カワイイOL(いわゆるスイーツ系)を演じることが多かった篠田麻里子。しかし九州オンナの熱い血は隠しきれないというか、「彼のことが気になって仕事で凡ミス……先輩に叱られちゃった(涙)」みたいなシチュエーションでは、がっつり浮きまくってしまうんですよね。現在そのジャンルはリアルスイーツみっこ(矢野未希子)に一任し、篠田さんは「MORE」内で新たな立ち位置を確立しようとしているのではないでしょうか。
というのも、長く「MORE」モデルをけん引してきた竹下玲奈が今号を機に卒業。「MORE」としては、竹下に代わる支柱を篠田麻里子に託したいのではないでしょうか。そんなこんなで今回の表紙及びロングインタビュー「モアだけに語る、篠田麻里子のSTRONG WORDS」と推測されます。
モデルを始めた4年前、まだまだ無名の存在だった彼女。「最初は、いろいろ驚いたし、悩みました。(中略)まずは、自分を自分で可愛いって思えないと、他人にも可愛いと思ってもらえないじゃないですか」と、「半泣きだった」初仕事の様子を振り返っています。「売れてないアイドルなんて、モデルとして使ってもらえるんだろうかっていうコンプレックスは常にあったから、もともと人見知りの性格なのに、よけいに閉じていた」など、麻里子様と呼ばれる現在からは想像もつかないネガティブワードが。
実際に「『アイドル出がモデルできるの?』ってカメラマンに言われたり」、本人いわく事務所パワーで出演させてもらったドラマでNGを連発し、「休憩中、ロケバスにいたら『あのシーンいらなくない?』『しかたないよ。あの子は出さなきゃならないから』ってスタッフの会話が聞こえてきて」……「芸能界の裏と表を見て」強くなったという篠田さん。例の「潰すつもりできてください」発言にも触れ、「ステージに上がれない子たちには、本気で悔しがって、自分も絶対にココに登ろうと思ってほしかった(中略)せっかく個性や才能を持っていても、選抜にもれてぷくぷく太ったりして、自分をダメにしちゃう子もいる」。「AKBは学校じゃないですから」男性が多く集まるような飲み会には行かない。誤解されるような場所には行かない。それもこれも「“篠田麻里子”の評判を大切にしたい」ため。「MORE」が仕掛ける“うっとり”の罠をかいくぐり、いつのまにか「婦人公論」(中央公論新社)化していた麻里子様インタビュー。ひとり根性の座り方が違うというか、だからこそ黒いウワサもさもありなんというか、すでに存在が矢沢の永ちゃんなんですね。「成り上がりOL麻里子」が「MORE」を席巻する日も近い……。
■なんかもう、論点がズレ過ぎていてね……
麻里子様のゴリゴリしたインタビューからものすごい振れ幅ですが、今月の読み物「カレに直撃!なんで結婚してくれないの?」を見てみましょう。タイトルだけでフェミな女性たちから総攻撃を受けそうです。結婚して“くれる”“くれない”という言い回しに、現代アラサー女性たちの結婚に対する立場の弱さが透けてみえます。
タイトルで投下された燃料が一気にファイヤーするのが、おなじみ「ホンネ座談会」。以前もこの「男子のホンネ座談会」とやらを紹介しましたが「おだんごヘアの高さはこれくらいがいい」だの「襟足はタイトより少し後れ毛がある方がいいけどボサボサはイヤだ」だの、男のこだわりという名の枝葉末節をズラズラと並べていた印象。しかし今回はテーマが“結婚”だけに、なかなか笑えない枝葉末節となっています。
「男は20代のうちは仕事に打ち込みたいと思っている人が多いんじゃない?僕は商社で働いているから海外転勤もあるし、結婚は30歳過ぎてからでいいと思ってる」「僕も結婚するなら30代がいいな。それは仕事が理由じゃなくて、仲のいい先輩から『男は30歳からモテる』と言われたから(笑)」などはまだかわいい方。「仲の良い男友達がほとんど結婚しない限り、結婚する気にならない」「男友達の影響は絶大。だからこそ、いくつになってもみんな独身なら一緒に遊んでいたい」「……ぶっちゃけると、不自由になるのがイヤ」というのがアラサー男性の本音のようです。
「妻に求めるのは『家事』と『癒し』」……臆面もなくそんな風に語ってしまう未婚男性の首を縦に振らせるために、「“家庭的な私”を演じて」「精神的な支えになれることをアピール」「(彼の)友達を大切にするスタンスを見せる」などのアドバイスを展開する「MORE」。まぁこの流れはいつものことですが、同じ年の彼女と付き合っていて「40になる前に結婚できればいい」なんて本気で言ってるとしたら、コイツら全員まとめて男塾送りですよね。時々「タレントでも40過ぎて子ども産んでる人いっぱいいるじゃん(だからお前も大丈夫だろ?)」的なこと言っている男性いるじゃないですか。結婚“してくれない”“してあげない”という上下関係を作り上げている要因に「出産年齢」問題が大きく横たわっていて、現実を知る側の女性だけが焦り、悶えているんだなとあらためて理解しました。
それを「結婚にメリットを感じないなんだよね。女性ならウェディングドレスが着られるとか、挙式、披露宴はこうしたいとか。寿退社だってありだし、楽しそうだなと思う。だから、女性たちは早くしたいのかもしれないね」「“結婚したい”とアピールされても、自分にメリットを感じないから“なんで結婚したいの!?”って思うだけ」とか、幼稚な論拠で“結婚に焦る女はみっともない”という風潮にもっていくこのやり口……“男の友情マジ大事”と一緒に宇宙の彼方に葬り去りたい産業廃棄物です。
「男=子ども」と決めつけるのも「女=スイーツ」くらい乱暴な括りですが、「男のホンネ」としてこうして抽出されるということは、悲しいかな現実なんでしょう。だからこそ麻里子様の「アタシは成り上がっていきたいの!」という叫びにも似た宣言が心に沁みます。男のホンネと女のホンネはどこまでいっても平行線、ならばどちらかが賢くやるしかない。既婚女性の必勝セオリーとして紹介されていた「毎週末、彼の家へ行き、掃除と洗濯をしてあげていた」っていうのも、笑えませんよね。結婚するまでより、してからの方が長いですから。緑の紙を挟まなければ。
(西澤千央)