80年代「なかよし」のクッキングレシピ集の“カワイイ”クオリティが超絶☆
少女だった頃、心をときめかせてくれた少女マンガ雑誌……と、その横にいつも一緒にいた「ふろく」という名の相棒。そばにいるのが当たり前だったから気付けなかった、あの頃の「ふろく」の魅力を、「昭和的ガーリー文化研究所」所長のゆかしなもん(通称・ゆかしな)がお届け☆
80年代の「なかよし」(講談社)……。それは、ゆかしなにとっては、乙女の憧れ。近くにあるのに、決して手に入れることのできない、永遠の片思い雑誌なのである。
なぜって?? ゆかしなには3歳上の意地悪なクソ姉がおり、姉妹間で絶対的な権力を握っていた。普通の仲のいい姉妹なら、お互いの買ったまんがや雑誌は貸し借りし、文化を共有するのが「当たり前」……だよね!? しかし、あたしら姉妹は違った。姉からの「圧力」により、姉が好むマンガや音楽、雑誌etc……には、妹は触れてはいけない、姉が独占的に楽しむ! という暗黙のクソルールがあったのである! なんてドイヒーな!!! しかし、そんな極悪女の恐怖政治の下でも、ゆかしなちゃんはめげることなく、「なかよし」の本誌やふろくをそ~っと、しかし、しっかりと盗み見ていたのだ、鬼姉の居ぬ間に。表向き「りぼん少女」、「ちゃおっ子」を標榜していたゆかしなは、実はあの時からずっとずっと、「なかよし」のまんが作品のあまりのかわゆさ、ふろくのクオリティの高さに、人知れずメロメロになっていたのである。バカヤローッ!!!(意味不明)
そんなゆかしなの「なかよし」への求愛行動は、大人になってから突如、爆発する。少女の頃に、姉の机に置いてあった憧れの名作ふろくを入手するたび「……フッフッフッフッフ……ハーッハッハッハッハ!!!!!」と、どこかの影の総統みたいな高笑いが出てくるのだ。もうこれは、姉への復讐行為以外の、何物でもないのである。
前置きが長くなってスンマセン! 今回ご紹介したいのは、昭和の少女まんが雑誌ふろくの定番ともいえる、クッキングのレシピ集である。当然、御三家の「りぼん」(集英社)にも「ちゃお」(小学館)にもクッキングレシピ集という類のふろくはあって、それも十分可愛かったのであるが、「なかよし」のそれはあまりにもレベルが違いすぎたのである、まぶしいほどに……。
■「ちゃおっ子」のお菓子作りレベルは高い!?
こちらは「ちゃお」のふろく「クッキングカード」(昭和57年、58年)。イラストは佐香厚子先生。さすがは乙女の教科書『ミニレディー百科』を世に送り出した名門・小学館である。お菓子のイメージカットのスタイリングがやたら凝ってるし、レシピも難しい!! これ本当に小学生向けかよ!? 「ちゃおっ子」として求められる女子スキルは相当高かったようだ。惜しむらくは、折角のかわゆい佐香先生のイラストがほんの少ししか使われてないこと! 中身のレシピは別のイラストレーターが手掛けている(しかも、地味)。良くも悪くも、小学館ぽい真面目さがあるよね。
■『わんころべえ』のあべゆりこ先生が大活躍
こちらは「なかよし」のふろく「ENJOY COOKING」(年代不明)。表紙も中身のレシピのイラストも、贅沢なことに、すべてあべゆりこ先生(『わんころべえ』)が手掛けているのだ! しかもフルカラーで!!! さらに、レシピの監修がマドモアゼルいくこ先生というところに乙女心がスパークする。マドモアゼルいくこ先生のレシピはとにかく独創的で、ネーミングも含めてガーリーで可愛いのだ☆ 「あわーい片思いの味 ポーリン」とか「つめたーい失恋の味 ロンドココリン」など、お菓子の名前の前に必ずガーリーな形容詞が付くんだよ! さすが、としか言いようがない。と・き・め・く~!
■「なかよし」レシピの真骨頂だ!
そしてこちらは、「なかよし」レシピふろくの真骨頂ともいえる「Viva!Cooking24」(昭和55年)。「ファンタスティックイラストカード集」と名付けられたこちらもまた、イラスト集でありながら、お菓子や料理のレシピ集なのだ。料理の監修はもちろん、マドモアゼルいくこ先生! ちるる(高橋千鶴先生)のイラストの立派な紙ケースに、カードが12枚入っている。イラストレーターの布陣はあさぎり夕、あべゆりこ、いがらしゆみこ、佐藤まり子、たかなし(はあと)しずえ、高橋千鶴、原ちえこ、牧村ジュン(敬称略、五十音順)という、当時の「なかよし」人気を支えた、最強神8(エイト)だ~!!! 名前を列挙しただけで、おしっこちびりそう(え、尿漏れ?)。
表側のファンタスティックなイラストが、ちゃんとレシピのイメージと合っているし、8人の先生方の意地とプライドと個性を感じる夢のオールカラー・描き下ろし美麗イラストに、心がうち震える。レシピも、「トランプクッキー」とか「オレンジフラワーケーキ」とか「レインボードリンク」など、全部可愛いの~!! これこそが、ゆかしなが当時憎むほど恋い焦がれ、羨んでいた80年代「なかよし」の超絶「カワイイ」クオリティなのである。
「りぼん」のふろくは確かにシャレオツで、センスがよく、学校でも使えるほど実用的で、ゆかしなの満足度は高かった。だがしかし、この「これでもか!」というほどの「なかよし」のメルヘン、ロメンティック、ファンタジー、キラキラ、ゴージャスの合わせ技を、実は心の奥底で求めていたんだよ、あたいは!!!
当時欲しくて欲しくてたまらなかった、憧れの「なかよし」レシピふろくを30年以上ぶりに手にしたあたいは今、無敵なのだという気すらしている。長い間ずっと片思いしていた初恋が、ようやく実ったみたいな気持ち! これからもストーカーのように「なかよし」のふろくを追いかけ続けるぜ!!
ゆかしなもん
主に70~80年代の昭和ガーリーカルチャーを懐古&発信する「昭和的ガーリー文化研究所」所長。小学30年生でもある。2010年より、同名の武露愚(ブログ)をスタート。2012年5月、初のイベント『ゆかしなEXPO』を東京・東中野にて開催し、伝説の(?)ガーリー博覧会となる。