学校から事務所から見放された14歳、ジャニーズJr.としての大きな代償
下世話、醜聞、スキャンダル――。長く女性の”欲望”に応えてきた女性週刊誌を、伝説のスキャンダル雑誌「噂の真相」の元デスク神林広恵が、ぶった斬る!
第144回(9/21~25発売号より)
木嶋佳苗連続不審死事件と同時期に発覚し、類似事件として注目されていた鳥取“上田美由紀”連続不審死事件の公判が本日から始まった。75日という長期間の裁判員裁判、被告は窃盗などは認めているが殺人については否認、物証は乏しく起訴以外にも複数の不審死事案も存在する。さらに殺人については「同居男性が真犯人」と名指しするなど、注目の裁判だ。今後の展開を注視したい。
1位「ジャニーズJr.(14)学校内で先生殴って『逮捕』の一部始終」(「週刊女性」10月9日号)
2位「高嶋政伸 妻美元への“闘志”激白!『今が人生最大の勝負のとき――』」(「女性自身」10月9日号)
3位「スペシャルインタビュー 木村拓哉『カメレオンのようなあの人のこと』」(「女性セブン」10月4日号)
ジャニーズJr.衝撃の“事件”を報じたのが今週の『週女』である。9月14日、川越市の中学生(14)が暴行容疑で逮捕された。この中学生は校内の廊下で54歳の男性教諭と言い争いになり、もみ合いになった。その際、中学生は拳で教諭の胸を2回殴ったという。生徒や他教諭も集まり騒然となる中、ほどなく通報を受けた警察により中学生は暴行容疑で現行犯逮捕されたという。
この事件は大手新聞の地方紙版などで報じられたが、未成年だからもちろん匿名扱い。だが、「週女」は匿名少年が地元では有名なジャニーズJr.だとして、出演した番組画像を目伏せまでして掲載した。調べれば誰だかすぐわかる。ある程度特定されても仕方がない、というスタンスなのだろう。こっちは女性週刊誌だし、あっちはジャニーズだし。実際、中学生の年齢や所在地などから、ネットでは既に実名が特定されてしまっている。この1件はさまざまな問題が内含されていると思う。まずは“少年”だが“ジャニーズ”ということからしてややこしい。今回事件を起こした中学生は14歳。未成年は少年法が適用され、事件を起こした場合でも実名で報道されないのが基本だ。しかし一方で少年は大手芸能事務所に“所属”し、さまざまな活動をしている。テレビなど公の場への露出もある。
未成年でもちょっとは知られた芸能人――。こういう場合、扱いは難しい。さらに彼の扱いをより困難にしているのが「ジャニーズJr.」なる立場だ。Jr.はデビューしているわけでもなく、簡単に言えばアイドル予備軍、研修生である。デビューを目指し、レッスンを受ける。一方で先輩のバックで踊ったり、雑誌グラビアやテレビにだって出ることもある。だから “一応は芸能人”である。実に曖昧な存在だ。こうした曖昧な“芸能人”である未成年Jr.に対し、事務所は教育的配慮をするかというと全然しない。特に不祥事を起こしたJr.はいとも簡単に事務所から切り捨てられる。何のフォローもなくだ。
今回の事件に関してジャニーズ事務所は「かつてJr.として活動していた者のことを指しているようですが、今年6月以降は一切活動していませんし、事実関係も確認していません」とコメントした。まるで関係がなかったかのような冷たい対応だ。あまりの無責任ぶりに「3 カ月前までは活動してたんだろ!」と叫びたくなるほどに。このJr.中学生は自分が蒔いた種とはいえ14歳で学校から見放され、警察に売られて逮捕され、事務所にも捨てられ、実名まで晒されてしまったのだ。“ジャニーズJr.”“芸能人”としての代償は余りにも大きいといえる。
もうひとつは「週女」でも指摘されている学校の対応だ。暴行の内容は「教諭の胸を2回殴り、しかし怪我はなかった」という程度にもかかわらず、学校側はかなり早い段階で警察を呼んでいるのだ。「週女」では「以前から学校はその生徒の対応に困っていたのでしょう」という推測とともに「保護者の間でも(すぐに警察を呼ぶのは)安易すぎないかという声が聞こえる」と記されている。おっしゃるとおりだ。
ここにも中学生のJr.としての立場が関係しているのではないだろうか。特にワルではなく真面目に登校していたというJr.。だが地元や学校では“特別”な存在なのは間違いない。華やかな世界も知った。先輩アイドルとも面識がある。14歳だから多少は勘違もするだろう。そんな生徒は教諭から見れば芸能界に片足を突っ込んでいる「チャラチャラしたガキ」だ。だから扱いに苦慮した。いじめ問題で次々と表面化する学校の事なかれ体質を見れば、芸能人という“異質”な生徒に教諭がきちんと対処できたとは思えない。同時に未成年を多く擁するジャニーズ事務所もしかり、である。
Jr.の今後を考えると暗澹とする。14歳の“普通の中学生”だったらやり直しも十分に効くはずだ。しかし“元Jr.”“元芸能人”という代償は大きい。未成年者を“商売”“商品”として使う芸能界。ならば彼らの今後や教育にそれなりの責任を持つことは、関係者の責務だと思う。(もし数年後、福くんや愛菜ちゃんが事件を起こしたらどうなるのだろうと想像してしまった。実名で報道されちゃうのかなぁ)
離婚訴訟が結審し、事態はいよいよ佳境に入った高嶋政伸の巻き返しがすごい。本日放映された『情報ライブ ミヤネ屋』(よみうりテレビ系)の取材では、豪雨の中ビニール傘をさした政伸がわざわざ立ち止まり丁寧に対応していた。また、先週「自身」が報じた「美元 自宅に招きいれた『次の男』」と題された記事は、案の定裁判所に証拠として提出した。まだまだ、やる気だ。離婚訴訟勃発当初は、これを無視していた「自身」だったが、政伸のやる気と同調するようにヒートアップ。今週の「自身」トップ記事も高嶋政伸だ!
といっても今週は目新しい話があるわけではない。先週の「美元の男」記事をおさらいした上で、「自身」が法廷に提出されたことを自慢、さらに政伸が先週の「自身」を2度も立ち読みする姿をキャッチして大喜び、そのまま政伸に直撃といった具合だ(直撃といってもどう見てもデキレースなのだが……)。しかも最初の質問はやはり先週号の「自身」について、という手前味噌ぶり。
政伸「長時間にわたって取材していただいたのでしょう? ご苦労さまです。ありがとうございました」
お礼まで言われ、感謝されたと鼻高々なのである。その後の取材は「“美元の男”が誰なのかは知らない」「5キロ痩せ、アゴのコブはほぼ完治した」「両親は元気」「控訴されれば裁判は続くので安心できない」「来年の連続ドラマのオファーが来ている」と一貫して政伸ペース、PRに始終したのだ。そういえば、美元側が裁判所に提出した政伸の自叙伝は光文社発行でしたね。1996年と古いので、全然忘れてました(笑)。そうでした。そうでした。美元のお陰で話題になったことですし、ここらでリニューアル出版でも――。
記事の内容は大した興味がなくても、どうしても引っかかるワンフレーズがあったりする。それがキムタクのインタビュー記事中に存在した。10月からスタートする月9ドラマ『PRICELESS~あるわけねぇだろ、んなもん!~』(フジテレビ系)に主演するキムタク。記事は番宣のためのインタビューだ。今回、キムタクは“極貧男”という役を演じるらしい。「セブン」はこんな疑問を持つ。これまで“かっこよく素敵”な役ばかりこなしてきたキムタクが、まさかの極貧男という役のオファーをどう受け止めたか? と。その質問に対するキムタクの答えがこうだ。
「驚きが2の、8が大丈夫?っていう。それを見たい人がいるのかな?って」
“まさか”の回答である。さらに砕いてわかりやすく書き換えるとこうだ。
「極貧なオレを見たい奴なんているの? 国民的アイドル、ヒーローの木村拓哉だよ」
素敵である。腐ってもキムタク。アイドルの自意識は永遠だ。