マネジャーも激怒!? ブリトニーの奇行を描いた『glee』が大不評
高校のグリー部(合唱部)を舞台に、熱血コーチと強烈な個性を放つ生徒たちが歌って踊りながら青春を謳歌する人気ミュージカル・ドラマ『glee/グリー』。熱狂的人気を誇るこの番組でカバーされる曲は放送後に売り上げが大幅にアップすることで知られ、音楽業界からも絶大なる支持を集めている。特定のアーティストの曲だけを使ったトリビュート・エピソードを制作することもあり、手厳しいことで知られるマドンナさえも満足させたクオリティーの高さが視聴者にも受けている。しかし、20日に放送されたブリトニー・スピアーズのトリビュー・エピソード第2弾には「やりすぎ」「ブリトニーをバカにしている」との声が多く上がっており、ブリトニーのマネジャーも激怒していると伝えられている。
番組でカバーした楽曲が毎週のように「The Billboard Hot 100」にチャートインする『glee/グリー』。若い世代のファンが多いことから、一昔前にヒットした楽曲のオリジナル・アーティストは新しい層のファンを獲得できることになり、その上、売り上げもイメージもアップするなど“いいことずくめ”だとされている。番組のクリエーター、ライアン・マーフィーは時事ネタをストーリーに組み入れることが多い。ゲイを公言している彼は、差別やいじめ問題にも敏感で、番組でゲイの男子生徒たちによるラブストーリーを描いたり、車椅子の男子や肥満体の女子の良さを引き出しカッコよく描いたり、マイノリティの強い味方だと言われてきた。
そんなライアンが、奇行からのマイナスイメージから抜け出せずにいたブリトニー・スピアーズに救いの手を差し伸べたのは2010年のこと。彼女がヒット・ソングを通して発してきたメッセージをストーリーに組み込んだトリビュー・エピソードを制作し、「Britney/Brittany」というタイトルで、シーズン2の第2話で放送したのだ。ポジティブに仕上がったこのエピソードには、ブリトニー本人もチョイ役でカメオ出演し、それまでの番組史上最高の視聴率をマーク。ブリトニーは大満足し、オンエア直後に「最高だった!」「こんな素晴らしいエピソードを作ってくれて、本当にありがとう」とツイート。Twitterで番組関係者に感謝の気持ちを述べた。
ライアンはブリトニーのことを「とってもスイート」だと絶賛し、「絶対にトリビュート・エピソードの続編を作る」と宣言。今年5月に放送局のFOXが、シーズン4でブリトニーのトリビュート・エピソードを再び放送すると発表し、ファンを大喜びさせた。
そのブリトニー・スピアーズ、トリビュート・エピソード第2弾「Britney 2.0」が、20日にオンエアされたのだが、2007年に彼女が離婚、親権問題などで精神崩壊していた様子を再現したシーンが次々と登場。バリカンで髪の毛を剃ったり、パパラッチに向かって傘を振りかざしながら攻撃するなど当時大きな話題となったブリトニーの奇行を、曲をカバーするヘザー・モリスが体当たりで演じており、視聴者に衝撃を与えた。
しかし、ブリトニーのファンが最も憤りを感じたのは、07年の『MTV Video Music Awards』で彼女がオープニングを務めたパフォーマンスを再現したシーンだった。このオープニングは、ブリトニーが締まりのないブヨブヨしたビキニ姿で、ダンサーたちの周りを口パクしながら手をひらひらさせてフラフラ歩くという目も当てられないもので、史上最悪のパフォーマンスだと当時酷評された。ブリトニーは、このイメージから抜け出すのにとても苦労している。そのパフォーマンスを、『glee/グリー』は再現しただけでなく、ブリトニーに扮したヘザーが、大きなソーダのボトルをラッパ飲みしたり、ジャンクフードを袋からボリボリ食べながらステージの上を練り歩くなど、ブリトニーの壊れっぷりを大げさに表現。ジャンクフードはブリトニーの大好物であるチーズ味のコーンスナック「チーズパフ」であり、「ブリトニーを笑い者にした」「屈辱的だ」という声がネットで飛び交っている。
米芸能サイト「Access Hollywood」は、ブリトニーのマネジャーが今回のエピソードの内容がこのようなものだとは一切知らされておらず、激怒していると報道。ブリトニーは現在、人気オーディション番組『Xファクター』の審査員を務めており、参加者に対して「ノー!」「ノー!」と厳しく評価し、大物スターぶりを発揮している。『glee/グリー』は、『X ファクター』放送直後に同じチャンネルでオンエアされるため、両番組を見た視聴者は審査員として意見するブリトニーを見た直後に、最悪だった頃のブリトニーを再現したドラマを見たことになる。今回のトリビュート・エピソードはブリトニーのイメージを汚したことになるため、マネジャーは激しい憤りを感じているのかもしれない。
(※これ以降、ネタばれ注意)
今回、ブリトニーの曲をカバーしたキャラクターは高校を卒業できず留年することになり、自暴自棄になるという設定。ブリトニーの曲を歌いながら、少しずつ自分を取り戻し、エピソードの終わりには「何が起こっても、見事復活を果たす、ブリトニーのようになるの!」とポジティブさを取り戻す。一応、ハッピーエンディングになっており、ブリトニーのことを、“あのひどい状態から見事カムバックした素晴らしい女性”として描いている。しかし、ファンの間では、「ほかは仕方ないとしても、チーズパフはやりすぎ」と批難の声が上がっているのだ。
ライアンは、『Xファクター』の審査員に就任し、再び大スターとして扱われるようになったブリトニーを見て、2007年の一連の騒動を笑える時が来たと思ったのかもしれない。放送局であるFOXは放送する前にエピソードをチェックしているはずであり、局もOKを出したということは、笑いネタとして行けると確信したからであろう。しかし、ブリトニーは、前回トリビュート・エピソードが放送された時と異なり、番組について一言もツイートしておらず、『glee/グリー』の「グ」の字も出していない。やはり、面白く思っていないのではないだろうか。
高視聴率番組とはいえ、一時に比べ、視聴率が下がっている『glee/グリー』。「Britney 2.0」が話題作りとなり、視聴者離れに歯止めをかけることができたのかどうかも気になるところである。