サイゾーウーマンカルチャー女性誌レビュー「美ST」に閉経B48登場! カルチャー [女性誌速攻レビュー]「美STORY」10月号 童貞よ、これが女だ! 「シワ」「閉経」「バツ1再婚」40女の現実を暴く「美ST」 2012/08/27 16:00 女性誌速攻レビュー美ST 『美ST』2012年10月号(光文社) 「美ST」10月号の表紙は中山美穂です。表紙も中のグラビアも破顔一笑、目の周りの笑いじわがかなり目立って“クシャ山美穂”って感じになっています。それをあえて修正せずに掲載してしまうところが、女性誌用語で言うところの“自然体”ってことなんでしょうね。確かに、それをよしとする雑誌もあることでしょう。しかし、これまで“SST(「美ST」の造語でシミ・シワ・たるみのこと)”を目の敵にしてきた「美ST」がそれをやるか!? と驚きました。アレアレ、もしかして、なんだかありそうじゃなーい? <トピック> ◎40代こそチャンス 「美・復活劇」はじまる! ◎賢い45歳は更年期を恐れない ◎検証「再婚する人は美しい」説を追う! ■ジブリアニメに出てきそう クシャ山路線は、特集「40代こそチャンス 『美・復活劇』はじまる!」でも続いていました。「女優たちの『食わず嫌い』美容で“あの頃の私”復活!」という企画ページで、斉藤慶子51歳、高田万由子41歳が登場し、若かりし頃から年代を追って写真を掲載しているのですが、それがまた「も、もしかして修正漏れ!?」と編集経験者なら冷や汗が出るくらいの“自然体”なんですよ。現在の斉藤慶子の深く刻まれたシワ! 高田万由子の産後写真のやつれ具合! こりゃ、自然体という名の妖怪です。というのは言い過ぎましたが(笑)、“現実”が織りなすファンタジックホラーに気を取られてしまって、肝心の美容情報がまったく頭に入りませんでした。 ……ってこれ、バカにしてるわけじゃなくて、ものすごく好意的に感じたんです。当然ながら一般女性の40代50代は、もっとひどいことがほとんどですもん。電車の窓から見えた老婆の霊にギョッとしたら、自分が映っていただけだった、なんてこと何度もありますよ。芸能人でもこうなのね、と思うと素直にホッとしたんです。この写真の掲載を許可した斉藤慶子と高田万由子にカンパイ! ■閉経B48の登場です! 上記の例も含めて、今号の「美ST」には、読者への歩み寄りを強く感じました。それを象徴する企画が、第2特集の「賢い45歳は更年期を恐れない」です。「更年期って実はよく知らないんだけど」という初歩的なところから解説しています。といっても、エストロゲンがうんたらという小難しい話ばかりではなく、子宮の形をキャラ化した「ホルモンヌちゃん」が登場するマンガで「閉経が早い人と遅い人の違いって?」「更年期のこと正しく知らなくても別に気にしなきゃいい?」といった素朴な疑問をぶつけたり、「45歳からは婦人科をかかりつけ医にすべき」とズバリ提言したり、構成がとても明快でわかりやすい。 さらに、読者代表の美魔女が、自らを「閉経B48」と名乗るエッセイスト・中村うさぎに、「先輩教えて、閉経はどのようにくるんですか?」と教えを乞う対談もあります。「閉経を迎えて一番不安なのが男性から女じゃないって思われそうなことなんですけど……」と不安がる美魔女に、 「あのさ~、男なんて適当に年齢ごまかしてもわからないのと一緒で、生理があるかないかなんて言わなきゃいいじゃん」 「閉経しちゃったほうが妊娠も怖がらずにバンバンSEXできるじゃん」 と答える中村うさぎ。医師とは違った型破りな回答に、「ババアになるのも捨てたもんじゃないな」と思わせられました。 ■美魔女の現実を垣間見た 「検証『再婚する人は美しい』説を追う!」も興味深い企画でした。初代美魔女グランプリの草間淑江さん、第2回グランプリの山田佳子さんはともにバツ1で、再婚しているのだそうです。今どきバツ1再婚なんて、どうということもないのかもしれませんが、筆者は美魔女のことを、勝手に「美人でチャラチャラして男に苦労してないんだろうな」と思い込んでいたので意外でした。そして、自分の醜いひがみ根性を思い知り恥ずかしくなりました。 女40代、誰でもシワがあるし、体調の不安も抱えているし、過去にいくつか失敗や苦労がある。それが当たり前なんですよね。それを否定するわけでなく、ちゃんと受け止めた上で、「美しく輝き続けていたい」と願って、コツコツ努力しているわけです。哀しくって愛おしくって美しいと思いませんか。そんな美魔女を「イタい」「コワい」なんて誰がバカにできましょうか。バカにする奴は、人生をわかってない奴。童貞よ、これが女だ。 今号はそのほかにも、「美ワキこそ女のたしなみ」「家庭外恋愛こそ私の“美薬”」など興味深いトピックが並んでいました。総じて言えるのは、アラフォーの“リアル”と、雑誌の中の“虚構”の距離感が絶妙ということです。リアルばかりじゃしみったれた雰囲気になってしまうし、虚構ばかりじゃしらけてしまう。半目で夢を見るような、濃すぎないところがいい。難点を言うなら、すべての企画を美容情報に結びつけなくてもいいのでは、と思いました。美容雑誌とはいえ、再婚や家庭外恋愛などのトピックにおいてまで、わざわざコスメ紹介をブチこまなくても……。強引な盛り込み方がおもしろいっちゃおもしろいですけどね。次号もアッと驚く型破りな「美ST」を期待します。 (亀井百合子) 最終更新:2012/08/27 16:00 Amazon 『美ST』 That is just the O・N・NA! 関連記事 若者に迎合する「美ST」に喝! “私”主義のババアのプライドを取り戻せ!「美ST」で男性編集長と女性ライターが混浴! そこで訴えたかったものとは「過度な若づくり=イタい」に気付いた「美ST」、新たな行き先はスピ!「美魔女」ビジネスの絶頂で、誌面の衰えを感じる「美ST」1月号カズを全面支援する三浦りさ子の決意が「美STORY」で明らかに 次の記事 ヘンリー王子のポルノ出演依頼 >