サイゾーウーマンカルチャー女性誌レビュー「美ST」で男性編集長と女性ライターが混浴! カルチャー [女性誌速攻レビュー]「美ST」8月号 「美ST」で男性編集長と女性ライターが混浴! そこで訴えたかったものとは 2012/06/25 19:00 女性誌速攻レビュー美ST 「美ST」2012年8月号(光文社) 今月の「美ST」の表紙は水野美紀です。背中からのショットではありますが、見事な裸体を披露しています。実はこれ、先月号の「オンナが見たい、オンナノハダカ」特集のために撮影されていたものだそう。仕上がりを見たスタッフが大絶賛し、今月号の表紙+巻頭グラビアで掲載することにしたという説明文がありました。なんじゃそれ!? 水野美紀って今は肉体がウリのアクション女優でしょ。すでに映画でオールヌードになってるでしょ。それなのに、誌面ではビーチクを鉄筋みたいな腕でガッシリ隠してて、意外性も新鮮味もあまりありません。話題性で言ったら、「オンナノハダカ」特集のトップバッターに登場した山田花子のほうが上ではないでしょうか。妊婦ヌードでっせ、期間限定でっせ、吉本でっせ。それでも、表紙にはなれないとは……、やっぱり美は素材が9割なんでしょうか(涙目)。 <トピック> ◎お救いください 美貌主さま ◎特集1「ふうっお風呂デトックス!」 ◎キモチイイSEXが美人をつくる! ■坊ちゃんも苦労している、はず 「お救いください “美貌主<びぼうず>”さま」という企画ページが組まれています。「美貌主」とはイケメンの僧侶のことです。そういえば、3月に『坊主図鑑~お寺に行こう、お坊さんを愛でよう』(廣済堂出版)なんて本が出てましたね。坊主が一部でもてはやされているようです。青々と剃られた頭がエロい、袈裟がエロい、癒やされそう、悩みを聞いてほしい、など理由はさまざま。 それにしてもですね、ここに登場する坊さんたちは揃いも揃って、いろんな意味で色気を出し過ぎです。まず、経歴からして無駄にファッショナボーなんです。“大卒後役者をしていて30歳で実家にもどり僧侶に”“お寺カフェ店長”“インターネット寺院編集長”“元モヒカンのバンドマン”“ボクサー”“坊主バー店長”……、坊主もカタカナ職業の時代ですか。みんなキメ顔で写ってるし、頭も青くないオシャレ坊主っぽいし。「好きなことだけやっていたら、いつのまにかここにいました」的なセリフを今にも口にしそうな坊ちゃん坊主っぽいし! 誰よりも一番誠実そうに見えた僧侶は、7歳で母を亡くし、16歳で禅と出会い、「死の意味、生きる意味に答えをくれたのは禅だけでした」と語るドイツ人という皮肉。千年前には誰も予想できなかった事態であります! この手の企画で無邪気に「萌え~萌え~」と言っていられるのは女子高生くらいなもの。40年近く一生懸命生きてきた大人の女であれば、「宗教法人って税制が優遇されてるよね……」「いやいや、けっこう経営が厳しいと聞くよ」「跡取り息子が『寺のために頑張れ』と背中を押されて出てきたのかも」「ああ、どこも生き残りは大変だぁ~」とかなんとか、イケメンひとつとっても人生という名の哀しいストーリーをブワーッと紡いでしまいます。いや、だって逆にそういう事情がないと、坊主がこんなところに出てくるのおかしいもん。「美ST」の「ST]は「STORY」の「ST」! そこにしかるべきストーリーを欲するし、感じるわけですよ。 ■ある意味萌える、中年混浴接待 至るところに人生の悲哀を感じたり、「美魔女ってイタい?」と考え込んでみたり、「美ST」の「ST」部分でつまづきがちな「美ST」世代。若い頃のようにただひたすら「モテたい」「キレイになりたい」という一心で美容にどっぷり浸れません。「美ST」はあえてその「美ST」世代の特性を煽っているようにも見えます。そうでなければ、表紙に水野美紀を起用したり、カルーセル麻紀のインタビューは掲載したりしないでしょうし、特集1「ふうっお風呂デトックス!」に細川ふみえを登場させるようなこともしないはず。バスロマン→夫逮捕→離婚→へアヌードと泥沼をもがいてきたフーミンに「デトックス」を語られるなんて。抱えているものが重すぎて、毒素が抜けきらないうちに湯の底に沈みそうだよ、フーミン。 そんなフーミンに同情してしんみりしちゃう私たちに向かって、「もう一度、すべて忘れてお祭り騒ぎしようぜ!」と呼びかけているように感じられたのが、特集内のワンコーナー「一度は入りたい 絶景露天風呂で混浴ミュニケーション」というページです。クワバタオハラの小原正子が年下イケメン3人と混浴体験をしています。温泉地の混浴施設はたいがいオッサンかジイサンばかりなのに、イケメンに囲まれているというありえないこのシチュエーションは、完全に妄想着火型企画といえます。 まあ、それはそれでいいんですが、次のページでおかしな方向に! なんと「美ST」の男性編集長と女性ライター4人が、秘湯で混浴しているんです。びっくりです。想像してみてくださいよ。「取引先のお偉いオッサン、あるいは上司と山奥で混浴してみた」という企画。年下イケメン混浴に比べて現実的すぎるメンツに、罰ゲームのようなシチュエーション。たとえ相手のオッサンがイケメンだったとしても、これは喜べない。かなり気まずい。しかし、「そこを気まずいと思うようではいけない」と、このページは身を挺して力強く訴えているように思いました。「美ST」世代に足りないもの、それは何も考えないという勇気。考えずに飛べ! 落ちても飛べ! 行き先がなくても飛べ! とりあえず飛べ! そう20年前のあの頃のように……。そんなメッセージを勝手に受け取り感動しちゃいましたよ。いやでも、ありえないね、これは! ■美魔女が夫との営みを告白 「キモチイイSEXが美人をつくる!」という企画が掲載されていました。内容としては、おなじみの美人産婦人科医・宋美玄先生が登場して中年以降のSEXについて語ったりする、昨今よくある企画なのですが、驚いたのはTEAM美魔女のみなさんが実名&顔出しで夫とのSEXについて語っていること。これは「婦人公論」でもありません。「今、2歳年上の夫とは週2回のペースでSEXしています」「全身を愛撫しあったり、舐めあったり」と語り、白シーツを巻き付けたセミヌードを披露している美魔女(46歳)は、22歳、20歳、18歳の1女2男のお母さん。ここまで思い切った発言をするということは、性について子どもともオープンな関係なのでしょうか。ほかにも「最近セックスレス気味」「自分がイクよりも夫を喜ばすことが嬉しくて」など美魔女たちがセックスライフを赤裸々に告白しています。飛んでるな〜、美魔女たちも。 先月号までは「美魔女はコワい」発言で読者を不安にさせ物憂い方向に進んでいたように感じられた「美ST」ですが、今月はその不安もおおらかに受け止めつつ、読者に勇気と元気を与える方向にうまく転換してきたように思いました。と、考えると、表紙に山田花子ではなく水野美紀を起用した理由もよくわかるような気がします。芸能界の闇を見てきたであろう水野美紀がハダカになる。山田花子よりも意味が深いですよね。そして、坊主がキメ顔で雑誌に載る。細川ふみえがバスタオルを巻いてムーディ勝山といっしょに銭湯に入る。なんだか全部哀しいですよね。哀しいけど楽しい。楽しいけど哀しい。「美ST」的ワビサビの世界です。そうですよ、「美ST」はこうでなきゃ! (亀井百合子) 最終更新:2012/06/29 16:10 Amazon 「美ST」 うちのじいちゃんは、檀家総代でよそから坊さん連れてきた 関連記事 「過度な若づくり=イタい」に気付いた「美ST」、新たな行き先はスピ!「美ST」の美のベクトルがあっちこっちに! 「美魔女」という言葉が持つ意味言葉選びにより強迫観念が積もっていく、「美ST」の“輝かなきゃ病”「美ST」が出産・主婦ライフを強力プッシュ!「高齢出産は幸せホルモンが豊富」しょうもない実験のために海外9カ所を飛び回る! バブリー企画で攻める「美ST」 次の記事 “フロージョー”の娘が歌手に! >