ものすごく濃い怖い顔でボケまくる市村正親に、さんまが白旗を揚げた日
今回ツッコませていただくのは、市村正親が出演した、関東地方で6月23日に放送された『さんまのまんま』(フジテレビ系)。
さんまがトークをいかに楽しんでいるかは、「ヒャ~」とも「キャ~」とも「カ~」ともつかない、甲高い怪鳥のような音をさせる回数がバロメーターとなっているが、この日は冒頭から、この怪鳥の声を尋常でなく連発。不吉な予兆ではないかと思うくらい、怪鳥が大量に舞い降りまくっている叫びが響きわたっていた。
冒頭から超ハイテンションで、子育てについて語り、さんまに「私より年上なんですよ」と言われると「そうかな?(キョトン)」、「いくつ?」と問われると、「43(ニヤリ)」と、大幅にサバ読みをする市村。
お土産を取り出し、怖い顔で「手作りっ!(キッパリ)」と渡したソレは、「To Sanma」と書かれた出っ歯のカエルみたいな絵がデザインされた木のミニテーブルだった。
そこから市村は、息もつかせぬスピードで、畳み掛けるように「何これ? 何これ? あ! 『ミス・サイゴン』だ!」と言うと、赤いジャケットを取り出して羽織り、ノンストップで『ミス・サイゴン』の一場面を超ハイテンションで演じる。「お父さん、休みなはれ」と制止されるも、さんまに赤いジャケットを着せ、「やろうや! Wキャストやろうや!」と勧誘まで始める。さんまはたまらず何度も甲高い怪鳥の声を出しながら、ソファに倒れ込んでいた。
ショートメールのやりとりをしているという2人だが、市村は「メールアドレス教えてよ! 僕、子どもの写真送りたいから」とさんまに何度もせがみ、さらに話題が市村の子どもの顔から、本人の顔の話になると、「僕、人懐っこい顔をしてるでしょ?」と言い出す。その勢いは、すかさずさんまが「市村さん、けっこう怖い顔してますよ」とバッサリ切っていたほどだ。
60歳を超えてなお、仕事が増え続けているという話の際には、さんまが「(市村正親が立ちはだかっていることで)下(の人たち)からすると、邪魔でっせ」と言うと、市村は突然立ち上がり、後ろを振り返って「誰だ!?」と大絶叫。これにはまた、さんまが高い怪鳥の声を出して「テレビ見てる人、驚きますよ!」とツッコミを入れていた。
本来、どんなゲストが来ても、誰より積極的に細かいボケを入れ、誰より自ら笑いをとりにくるさんまが、押されっぱなしでツッコミを入れたり、軌道修正するというのは、めったに見られない光景である。
劇画調のものすごく濃い怖い顔で、舞台仕込みの大御所ならではの大きな身振り手振りを加えながら、マシンガントークでボケまくる市村正親は、ある意味、最強だ。
このテンションで「R‐1ぐらんぷり」などに出たら、勝てる芸人はいないんじゃないかと、本気で思うほどの面白さだった。
(田幸和歌子)