サイゾーウーマンカルチャー女性誌レビュー「steady.」読者の漠然とした悩みと、もやっとしたコラムで、雑誌全体がおかしな空気に カルチャー [女性誌速攻レビュー]「steady.」1月号 「steady.」読者の漠然とした悩みと、もやっとしたコラムで、雑誌全体がおかしな空気に 2011/12/14 21:00 女性誌速攻レビューsteady. 「steady.」(宝島社)1月号 先月号で終了していた加藤夏希の連載ページですが、予告の通りまた別の内容でスタートしていました。題して「ナツキの大人手芸部」。今月はもうすぐお正月ということで、コラージュカレンダーの作り方を紹介。どうせ、2回目はニードルで人形を作るか、バレンタイン関連かなんかなのでしょうか。先月までと違っているのは、「今月のお仕事」というコラムがあり、そこでコスプレ写真を嬉々として掲載しているところに、加藤夏希のオタクの意地を感じました。 <トピック> ◎スペシャル インタビュー 綾瀬はるか ◎恋もコーデもすべらない 着回し31days ◎20代のうちにやるべきこと 石井竜也 ■優木まおみのテクが一番実効性がありそう なんとなく今月号の表紙を見て既視感があるなと思ったら、2011年12月号に続き、1カ月空けただけで、綾瀬はるかが再び表紙なんです。毎度のことですが、インタビュー部分の質問もぬるい。「その日の服は、前日に用意するタイプ?」「本当に元気いっぱい。そのパワーの源はなんなのでしょう?」とか……。いや、分かってるんですよ。ライターさんの技量とかそういう問題じゃなくて、この本はそういうコンセプトだということは。でも、これを読んでいる人たちが、ほんとうにそんな当たり障りのない会話をしながら毎日生きていると思うと……。 ただ今月は優木まおみの「恋もコーデもすべらない 着回し31days」という特集はちょっと見るところがありました。まず、優木の設定としては、商社の営業事務の5年目OLで、営業部の先輩(ヒゲメンで金子ノブアキ風。いかにも遊んでそう)に告白しようと思っているものの、幼なじみのてっぺい(小池徹平)とはいい感じ。 そして、今回の企画で新しいのが、コーディネートページにモテテクが一緒に紹介されていて、そのテクを一般男子50人がジャッジするという点。 その一部を紹介すると、「女らしい甘いコーデ」は「あまりにも男ウケを狙っていると引くかも」とジャッジ、「涙目で悩みごとを相談する」には「重すぎる内容の話をされたら、逆に引いてしまうかも」と答え、「女子っぽいカクテルしか飲まない」には「ホントにそういうお酒が好きなら別にいいけど、家で隠れて発泡酒とか飲んでいたら引くかも……」と。極め付けに「恋愛バイブルによると男子は天然なコが好きらしい。のでわざとドジッコアピール(笑)」という行動に出ると、また男子から「わざとらしいのはちょっと……。魂胆が見え見えな気がして、逆に引いてしまうかもしれません」などと、とにかく引かれまくっています。どうやら、商社で働く”まおみ”は、ドラマ『私が恋愛できない理由』(フジテレビ系)の大島優子か、映画『モテキ』の麻生久美子並みに重いOLのようです。 そしてこの”まおみ”、慣れてないにもほどがあるというか、「海外出張帰りの(ノブアキ似のヤリチン風の)先輩を待ち伏せ」という暴挙に出てしまいます。付き合ってもないのに! ま、この後はもちろん恋愛ドラマや少女マンガのセオリー通りに、幼なじみの”てっぺい”と仲良くなってめでたし、めでたし。なのですが、さっきまで引かれまくっていた”まおみ”のモテテクが「礼儀正しく挨拶する」だの、「相手の目をみつめる」だの「ごめんというよりありがとうが多い」だの、「いつも笑顔でいる」だの、基本的なポジティブシンキングになっているのもびっくりでした。 峰なゆかの『アラサーちゃん』(メディアファクトリー)には、「ダサいモテ技使いたくない…」というセリフがありましたが、”まおみ”のモテテクはダサいどころか、情弱にしか見えません! ほんとうの「まおみ」のテクはもっと巧妙なんだから! ■まず「悩んでる私」を演出できる環境に感謝したら? それにしても、「steady.」の悩みもぼんやりしていてよく見えてきません。本当に、「明日会社に着ていく服が気になる」とか「貯金しないといけないな」とか「彼氏ほしいな」とか、そんなぼんやりしたものだけなのでしょうか。 そんな中、サクっと新連載が始まっていました。「20代のうちにやるべきこと」というもので、その1回目はアーティストの石井竜也でした。なぜにこの人選? と考えるのも無駄な気もしますが、とりあえず石井は「バンド内でのケンカも、不思議となかったですね」「ヒット曲と同じものを一生懸命求めちゃう自分がいるのは、カッコ悪いよって」などと、過去の栄光と円満解散をさりげなくアピールしたのちに、「スランプになってモノが作れなくなるとか、そういうこともないんですよね。アイデアが爆発しちゃって、頭が痛くなるくらい」と芸術家を気取ります。その後、読者に向かって「悩むこと自体はね、ものすごく素晴らしいことなんですよ。それに気づいてない人が多い」「一回はひとりで床の目を見るくらいジーッと考えてみる。そういう時間も、人生には大事なことかなって思いますね」と、長年生きてきたにしては、誰にでも導けるようなところに落とし込んでいました。 実は、ゴマブッ子の連載でも、読者から「彼氏がウソつきなんです」という相談を受けるも具体例がなく「どんなウソかわからないので何とも言えないわね。あたしもどうしていいかわからないわ」とブッ子さんに切り捨てられていたのですが、前出の石井竜也も、「どんな悩みか分からないので、俺もどうしていいか分からないわ!」というのが正直なところだったのかもしれません。 本当は漠然としてるけど大きな悩みがあって、それをうまく言い表すことができないだけなのか、単に男子と「steady.」になりたいだけなのか、実は本当になんも考えてないのか……。毎回、「steady.」を読むと、そんなぼんやりした部分に悩まされます。 (芹沢芳子) 「Steady.」 バラエティーでやりちん告白してた石井竜也を、なぜおもしろく調理しないんだ!! 【この記事を読んだ人はこんな記事も読んでます】 ・“かわいけりゃモテる”という「steady.」の考えが、逃げ腰男子を遠ざける ・男子目線のOL雑誌「steady.」に隠れていた、宝島社の”一本気”気質 ・起用モデルや誌面作りから漂う……「steady.」は女性誌界の田中みな実! 最終更新:2011/12/14 21:00 次の記事 嵐の前の静けさ!? 赤坂のラーメン店に舞い降りた嵐メンバー >