まさかの大ヒットに関係者驚愕! 『タイバニ』は投げやり作品だった?
2011年4月からスタートし、約半年間全25話に渡りMBSほかで放送された『TIGER & BUNNY』、通称『タイバニ』。アニメが終了しても、同年11月の公式イベント『HERO AWARDS 2011』はチケット争奪戦で、オークションでは数十万円代で取引きされていた人気ぶり。アニメ誌にも大きく取り上げられ、表紙も常連、舞台化に今秋は劇場公開にと勢いはとどまるところを知らない。
関係者にとってはうれしいばかりのこの人気だが、制作陣、スポンサーともにここまで“当たる”作品になるとは全く予想していなかったという。力を入れて臨んだ前クールの『STAR DRIVER 輝きのタクト』(MBS・TBS系列)が大コケしていたことから、『タイバニ』への期待も低かったようだ。
「『STAR DRIVER』は豪華な声優陣を起用し、女性ファンが喜ぶようにキャラクター同士の絡みを入れたり、男性ファンを意識してセクシーな演出も取り入れ、さらにグッズ展開などの根回しにも相当力を入れていました。これだけポイントを押さえていれば間違いなく“当たる”と踏んでいたのに大コケで、関係者は嘆いていましたよ」(業界関係者)
そんな中始まった『タイバニ』は、制作費も低く、放送もUstream連動という変化球。ハナから制作会社のサンライズもスポンサーも全く期待していなかったという。
「ふたを開けてみたらまさかの大評判で、急遽グッズ展開を始めました。そんなアニメが始まっていたことすら社内的にも知られていなかった状態から、『とにかくなんでもいいからグッズを作れ』って状況に一変ですよ。『タイバニ』は当初、主人公と同年代の男性をターゲットにしていたんですが、実際始まったら、おじさんと新人のコンビに女性ファンが食いついたのも驚きでした。脚本家的には体育会系のノリの作品イメージだったんですが(笑)」(バンダイ関係者)
バンダイの通販サイトの「プレミアムバンダイ」では、女性客をターゲットとし、キャラクターのフィギュアはもちろんのこと、ケーキ付きのフィギュアや、バーナビーが相棒の虎徹のためにチャーハンを作りたいといった作中のエピソードをイメージ化した商品、人気キャラの2枚組の超特大ポスターなどを展開している。大手アニメショップの「アニメイト」でも、キャラクターをプリントしたシーツを発売し、1万円という価格ながらも完売してしまう人気ぶりだ。さらに2人をイメージした香水まで登場している。
また、このタイバニの人気の影響は、キャラクターデザインを担当した桂正和にまで飛び火している。
「2002年から連載されている桂の『ZETMAN』がこのタイミングでアニメ化されたり、『桂正和の世界展』まで開催されました。内容は、『ウイングマン』、『電影少女』、『I”s』の複製原画やカラーイラストなど昔の作品もありますが、タイバニの原画がメインなのは言うまでもありません。あらためてタイバニ人気の恩恵はすごいとしか言えません」(同)
全く期待されていなかった作品でありながら、一躍旬のアニメとなったタイバニ。計算ずくで製作費をかけて作った作品より、低コストで隙間で始まった作品がヒットすることはままあるが、今回の『タイバニ』ヒットもなかなかに示唆に富む出来事のようだ。
全方位に好かれようとすると失敗するよ
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