結婚前夜に性的虐待まで……海外セレブが語る毒親の実態
アメリカは日本と比べて児童虐待を厳しく取り締まっており、12歳以下の子どもに留守番をさせてはいけないという法律まである。しかし、それでも我が子に対して精神的、肉体的、性的虐待をする親は存在する。育児放棄(ネグレクト)されている被害児もたくさんいるという。
きらびやかな世界に生きるセレブスターはレッドカーペットで何の悩みもないような笑顔をふりまいているが、彼らの中にも実の親から受けた仕打ちに苦しみ続けている者がいる。今回は、親から虐待されたことをカミング・アウトし世間を驚かせた、親と不仲なセレブたちを紹介したい。
■マイケル・ジャクソン (父:ジョセフ・ジャクソン)
キング・オブ・ポップと呼ばれ、数々の伝説を作ったマイケル・ジャクソン(50歳没)が、子どものころに父親ジョセフ・ジャクソン(82歳)からベルトで殴られていたと激白したのは、1993年に受けたオプラ・ウィンフリーのインタビューだった。ジャクソン5時代に、ちゃんと練習できないと兄弟たちと共にベルトで殴られていたとのことで、父の姿を見ただけで嘔吐してしまうほど精神が蝕まれていたのだという。身体的虐待だけでなく「デカ鼻」とからかわれ続けたことで、それがひどいコンプレックスになったとのこと。父は最低の親であったと明かしている。
また、03年に受けたイギリス放送局のインタビューで、ジャクソン5時代、「ステップを間違えると父からベルトでぶたれた。兄弟に”マイケルのようにやれ!”ってハッパかけるのも精神的に苦痛だった」と激白。「ぶたれたのはベルトだけ?」と聞かれると、マイケルは手で顔を覆い、涙ぐみ、「何てこと聞くんだい……あぁ、ベルトだけじゃなかったよ」「母が『やめて! 死んじゃうわ! 殺しちゃうわ!』って叫んでいたことが、すごく記憶に残っているよ」と心から悲しそうに語った。
マイケルが、どれだけ父を憎んでいたかは、彼の死後明白になる。09年6月25日、急死した後に公開された遺言書には父の名はなく、最愛の母と3人の子どもたち、そして自身の財産を管理するために設立した財団「マイケル・ジャクソン・ファミリー・トラスト」に委ねると記載。憮然とした表情を見せた父親はその後、自分にも遺産を渡せと裁判を起こし、世間のひんしゅくを買った。
■リンジー・ローハン (父:マイケル・ローハン)
リンジー・ローハン(25歳)の父親マイケル・ローハン(51歳)は、90年に法廷侮辱罪で3年間服役したのを皮切りに、3回も刑務所生活を送っている絵に描いたようなダメ父。子役から女優へと成長し売れっ子になったリンジーのキャリアをマネジメントするのは身内ではなくプロの方がよい、とまともなことも言うのだが、父親らしい行動を何ひとつもしないため、リンジーから心底嫌われている。基本的に注目されることが好きな父親は、タブロイド相手にリンジーのプライベートなことをベラベラ話すため、09年にリンジーは父親に対する接近禁止令を裁判所に申請。大嫌いだと公言した。
だが、その翌年の10年4月。父はリンジーと一緒に暮らし始めた当時16歳の妹アリーが心配だとして、警察官を連れてリンジーのマンションに押しかけた。帰宅後、この騒ぎを知ったリンジーは激怒し、Twitterで父への不満をこうぶちまけた。
「元父が、悪魔提唱者のような元父が、私のマンションに警察を連れてやって来た。養育費は支払わない、タブロイド・レポーターと婚約する、あの人は本当に最低の人間」
「あの人、自分の名前をスペルすることもできないのよ。何でもドラッグのやり過ぎが原因らしいわ」
「ねぇ、一体、いつ終わりがくるの? 生まれてからずっと苦しめられているのよ。もううんざりだわ」
10年11月、リンジーは裁判官から命じられたリハビリ治療の一環で父と面会するようになり、父は「和解した」と上機嫌に。しかし、11年4月にリンジーを訪ねた時は居留守を使われ、「娘はコカイン中毒だ」「助けが必要だ」とメディアに向けてベラベラ話したことで再び絶縁されてしまったとのこと。父は11年10月に元婚約者へのDV騒ぎで逮捕され、その直後に心臓病の手術を受けるなどしているが、リンジーは無視を貫いている。
■マッケンジー・フィリップス (父:ママス&パパスのリーダー、ジョン・フィリップス)
人気ポップグループ「ママス&パパス」のリーダー、ジョン・フィリップス(65歳没)を父に持ち、子役として活躍していたマッケンジー・フィリップス(52歳)は、長年「理想の芸能人父娘」と見られていたが、実はとんでもない秘密があった。11歳の時に父親から勧められコカインに手を出したというマッケンジーは、19歳の時、父に薬を飲まされた上でレイプされ、その後10年間、近親相姦関係にあったのである。レイプされたのは、彼女が結婚する前夜だったとのこと。2009年に暴露本をリリースした直後、オプラ・ウィンフリーのインタビューに出演したマッケンジーは、「嫌で嫌でたまらなかったのに、そのうち近親相姦に合意するようになってしまった。ストックホルム症候群ってやつよね」と苦しそうに告白している。
10年間にわたり続いた近親相姦だが、彼女が妊娠したことで幕を閉じた。夫の子か父親の子か分からず苦しむ娘に父は「金をやるから中絶してこい」と告げ、2度と彼女に触れなかったという。
マッケンジーは、父が死ぬ間際にすべてを許したと言っているが、「父親は娘を守る存在なのに」「父親という立場を利用して、力を振りかざし、私を裏切った」と怒りに満ちた表情で父に対する嫌悪感をあらわにしている。
■マコーレー・カルキン (父: キット・カルキン)
映画『ホーム・アローン』(1990)が世界的ヒットとなり、10歳で億万長者となったマコーレー・カルキン(31歳)は、彼のマネジャーを務めていた元役者の父親キット・カルキン(67歳)のことが、物心ついたころから大嫌いだったと回想している。精神的・肉体的虐待で母と7人の子どもたちを支配していたが、95年に両親が破局し母親が親権裁判を起こしたことがきっかけで、マコーレーは父の呪縛から脱出しようと決意。マコーレーの稼いだ大金のうちの20%は両親が法的後継人として使えることになっており、この金で弁護士を雇い親権裁判を繰り広げていた。そんなふたりに嫌気がさした彼は、法廷後継人を信頼できる会計士に変更し、父親との縁を完全に断ち切ったのだ。
04年にトーク番組『ラリー・キング・ライブ』に出演したとき、「金や知名度が父を変えてしまったと伝えられているけど、それは違う。お金のないころから、彼はひどい父親だったんだ。人間性に問題があるんだよ。支配的で、子ども相手にちゃんと自分に従っているか試すというクズみたいなことも日常的にやっていた。僕は超売れっ子になり大金を稼ぐようになっても、自分の部屋どころかベッドさえ与えられなかった。兄弟と一緒にソファーで寝ていたんだよ。父は大きなベッドで、大きなテレビを見ていたのにね」と激白。「今は話すことも会うこともない。そんなことしたいと思わないしね。不幸な話だと思うけど、そんなもんなんだよ。絶縁はごく自然な成り行きなんだ」とも語っている。
マコーレーは06年に自叙伝『Junior』をリリースしているが、そこでも父への複雑な気持ちを綴っている。なお、父親は現在、長年友人だった女性と共にアリゾナ州に住んでいるが、マコーレーいわく「アリゾナにいるらしいってことしか知らない。どこに住んでいるかは分からないし、知りたいとも思わない」とのこと。
■ジュリアン・レノン (父:ジョン・レノン)
20世紀を代表する伝説的アーティスト、ジョン・レノン(40歳没)が最初の妻との間にもうけた第1子、ジュリアン・レノン(48歳)は、5歳の時に母と自分を捨てて、不倫相手のオノ・ヨーコへと走った父親を心底嫌っていると断言している。インタビューで、「17歳の時に彼は死んだけど、母と離婚した後は8回くらいしか会わなかった」「久しぶりに会えて、うれしくなってはしゃぐと、突然怒り出すんだ。今でもトラウマになっている。思い出して眠れなくなることもある」と言い、心に深い傷を負わされたと激白。
「アーティストとしては素晴らしいと思うけれど、父親としては尊敬しない。人間としてもね」
「母は離婚する時、父に”息子(ジュリアン)の洋服代、食事代、学費”だけを要求した。貧しくはなかったけれど、誰もがみな”キミは大金持ちだろう”って思っていて辛かった。何か成果をあげても、父のおかげだという風に見られて。自分が努力して手に入れたものも、すべて父の名前がついてくるんだ」
「父のファンから”君のお父さんは素晴らしい人だね”って言われると、本当に複雑な気持ちになるよ。父への怒りがこみ上げてくる。表には出さないけれどね。継父の方が、よほど父親らしかったよ」
ジュリアンは父がオノ・ヨーコと別れていた1年半の間交際していたメイ・パンの計らいで、親子らしい交流の場をもうけてもらったことがあった。この時のことは鮮明に覚えているそうで、幸せな思い出だと語っているが、父がメイと破局し、ヨーコと復縁した後はそんな機会もなくなってしまったという。
「世界中で仕事をして、クリエイティブで魅力的な人たちとの出会いがたくさんあって。だから父と母が別れてしまったんだって、理解はしているよ。あれだけの大スターなんだからいろいろと大変だったんだろうしね。それに、もう死んでいるし、許してはいるよ。でも、息子としては、どうしてもね……本当にやりきれない怒りがあるね」と悲しそうな眼差しで明かしている。
ほかにも、マネジャーを務めた母親を07年の母の日にクビにし、翌年再び採用したものの、またクビにした、R&B歌手のアッシャー。病気の弟の医療費、養育費として仕送りしていた金を、母が美容整形に使っていたことを知り裁判を起こした『ゴシップガール』のレイトン・ミースター。アイドル歌手としてブレイクした直後、「自分でキャリアをコントロールしたい」とマネジャーをしていた母と対立し、家出騒ぎまで起こした歌手のティファニー。母親らしいことは何一つしてくれなかったと激しい嫌悪感を抱いていることを明かし、母のことを殺す歌まで作っているエミネム、などなど。
なお、タブロイド誌にベラベラと話す母親に嫌気がさして絶縁し、ブラッド・ピットとの結婚式にも招待しなかったジェニファー・アニストンは、離婚をきっかけに母と和解。テレビ界のドンである父親の遺産をめぐり母親と激しく対立していたトリ・スペリングも出産を機に和解。最愛なる母を苦しめた父親を憎んでいたアンジェリーナ・ジョリーも和解したと伝えられているが、一部ではまだ子どもたちに会わせておらず、確執が続いていると伝えられている。
「親になっちゃいけない人」の無自覚さに絶望する
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