フラれる前にフッちゃう? 「steady.」の”ワンマン恋愛症候群”の正体
毎月、「steady.」読者が会社の同僚や先輩、上司や気になる男性社員といった全方位に気を使いすぎてヘトヘトになっているのではないかと心配しながらレビューしていますが、今月は春っぽいパステルカラーと花柄のオンパレードで、平和だな……と一安心。そう思いきや、今月号にはストレス発散法のページがありました。「steady.」読者がどんな風にストレス解消しているかをまずみてみましょう。
<トピック>
◎クチコミ39連発 みんなのストレス発散法!
◎リアルな悩みに答えます!心配ゼロの好感(はあと)社会人デビュー
◎脱出したい!! ワンマン恋愛症候群
■「2ちゃんで釣る」という回答が欲しいわ~
早速「クチコミ39連発 みんなのストレス発散法!」のページを開いてみましょう。ただ、いつも服装も髪型もぼんやり、悩みもぼんやりしていて人に強い印象を残したくない「steady.」読者のこと。ストレスをチャートで診断するのですが、それによって出てきた結果もぼんやりしたものに……。
「無色透明の人」=悟りを開いたかのような状態でストレスはまったくなし!
「緑の人」=今の自分に満足しているためストレスは少ない状態
「青の人」=理想と現実をしっかり判断し冷静な判断ができる状態
ときて、最後の「赤の人」はさぞストレスたまりまくりなのかと思いきや、「欲しいものがたくさんあってやる気に満ちた状態」。「steady.」読者には、ストレスの溜まっている人はいないんですか?
まるで”運動会の駆けっこはみんなでゴールしましょう”的なチャートは、「ストレスのレベルの優劣で人を判断しちゃいけないよ」という教えなのでしょうか? それとも「ストレスがいっぱい溜まってると、みんなに怖い人だと思われて嫌われちゃうかもしれないし、ストレスが溜まってるなんて、そんなネガティブなこと言ってたら、幸せは逃げちゃうよ!」ということなのでしょうか。
ストレスの自覚すら「悪目立ちしちゃう!」と心配してしまう「steady.」読者に、刺激的なストレス発散方法など必要ありません。趣味に没頭する、食べる、リラックスする、エネルギーで発散、買い物で発散……と、ぼんやりした発散方法が紹介されています。唯一おっと思った「八つ当たりで発散」ですが、それも「セルライトをつぶしながら叫んでみる」「プチプチした梱包材をまとめてつぶしまくる」「グチを紙に書き殴ってシュレッダーにかける」など、たいしてストレスの減らなそうな事例ばかり。最後に出てきた「大きめのぬいぐるみをボコボコなぐる」というのはちょっと怖い気もしましたが、きっと古いラブコメに出てくるヒロインみたいなものをイメージしているのでしょう。
読者の投稿による解消法も「編み物をする」「にゃんこと遊ぶ」「スイーツを食べる」と、なんだかストレスをいかにかわいく解消しているかという、ゆるい大喜利でも見せられたかのようで、逆に読み手がストレスを受けるような気がするのは筆者だけでしょうか。
■そもそも恋愛に何を求めてるんだろう?
春は「steady.」読者たちにとっても、出会いの季節。そんな人たちのために「心配ゼロの好感(はあと)社会人デビュー」というページもあります。「愛される新人OLはこうだった!」という文字も踊っていますが、「CLASSY.」(光文社)などに比べて、「愛されたい」という意志のレベルは微弱で、その分タイトルにもあるように「心配」のほうが大きい感じが誌面から漂ってきます。結果、コーディネートでもベージュや黒の無難なスーツを選んでしまい、かろうじて女子グループの末席には入れてもらえそうという地味さになってしまっています。でも、目立ってそこにも入れてもらえないよりは全然いいんでしょうね……。
このほか今月は日本全国の調査隊員が集結して地元ネタをレポートするという「ステディ.JAPAN47」という企画もスタート。47都道府県のレポーターの自己紹介が、「カフェが大好き」「青年海外協力隊に行ってきました」「趣味はネイルです」「スノボに夢中です!」と、絵に描いたような凡庸さのオンパレードで軽く衝撃を受けましたが、恋愛特集も気になるので、そちらを見てみましょう。
今月の恋愛特集は「脱出したい!! ワンマン恋愛症候群」というタイトル。なんでも、「今、短い付き合いばかりを繰り返す”ワンマン恋愛症候群”が急増中」なのだそうです。短い恋愛ばかりということは、もしや「steady.」ちゃんが悪い男のセフレにされてるのかしらと心配になりましたが、どうやら違うようです。アンケートによると、短い付き合いの別れ方で一番多いのは、「自分から別れをきりだす」ことだとか。「付き合ってもそんなに好きになれない」とか「ドキドキが持続しない」とか、「steady.」ちゃんはけっこう高飛車なんですね。でも「電話やメールしすぎて煙たがられる前に自分で別れます」という意見は、ちょっぴりリアルです。それを考えると、「付き合っても好きになれないとか言ってるけど、相手にその気がないのを感じて、自ら引いてるだけなんじゃないの?」と疑ってしまいます。
これに対し、読者の実録エピソードとして「将来を思い描ける人と付き合うように」「減点法の恋愛から加点法の恋愛にシフトしました」「恋愛に充実を求めず、自分の人生に生きがいを見つけて成長」と、なにやら自己啓発的なエピソードが並べられていましたが、ストレス解消法にしろ、恋愛のお悩み相談にしろ、本当に「steady.」には刺激的なアドバイスというのはご法度なんですね。今月も、「steady.」の心の叫びが見えずにモヤモヤしてしまいました。
(芦沢芳子)
「カフェが好き」って言う奴のナル率高すぎでしょ!
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