バラエティーの”楽”な作りを象徴している、『Oh! どや顔サミット』
今回ツッコませていただくのは、『Oh! どや顔サミット』(テレビ朝日系)。昨年4月から放送されている同番組、実は番組開始前の予告段階で、すでに「どうやって間を持たせるのだろう」と疑問だった。近年、バラエティー番組などで頻繁に使われる「どや顔(したり顔)」というフレーズ。おそらく企画段階で、タイトルに「いまどき」感を見込んでいたのだろうけれど……。
数十秒間の予告の「○○です!→ボタンを押して、カメラ目線でドヤ顔」×数名分という時点ですでに、なんだかおなかいっぱい。グダグダな内容も、とりあえず「ジャンガジャンガ」でつないでなんとかしてた、かつてのアンガールズのショートコントの拡大版なんてことはまさかないよね?
ここから楽しいことが始まりそうな気はさらさらしないなあと思っていたのだが、番組が始まってみたら、本当にその「まさか」が繰り返されていた。
笑いに対して比較的フェアで厳しい印象があるダウンタウン浜田雅功が、「この『○○です!→ボタンを押して、カメラ目線でドヤ顔』いうの、いります?」と番組開始前などに指摘しなかったのだろうか。それを言ったら終わってしまうからだろうか。
疑問ばかりが募っていたが、1月20日放送分の「美魔女コンテストグランプリ美へのこだわり」を見て、「なんだ、結局、『イチハチ』(TBS系)じゃないか」と合点がいった。大勢のセレブ(よく出るのはパチンコ成金の人とか?)たちに驚愕の私生活を明かしてもらい、ツッコむというお約束のスタイルは既視感たっぷり。違うのは、アシスタントが藤本美貴か片瀬那奈(+おっさん)かということぐらいで、いずれにしろたいした違いじゃない。驚愕セレブ以外はたぶんオネエ軍団が出たり、神経質すぎる人が出たりするんだろう。結局、いろいろ路線変更を繰り返しつつ到達する「いつものところ」の不思議。
ひな壇スタイルが定着している現代のバラエティー番組のスタイルにおいては「優秀なツッコミがひとりいれば、あとは素人やボケが大量にいるだけで間が持つ」なんてことがよく言われるけれど、「司会者兼優秀なツッコミ」浜田雅功さえいれば、丸投げOKで企画を練る必要なんてない、ということなのだろうか。それとも、制作サイドが口出しできないくらい、浜田が驚愕セレブ私生活ネタ好きなのだろうか。
いずれにしろ番組名に冠してしまった「どや顔」だけは、とりあえず出演者もスタッフも全員飽きていたとしても、外せないのだろう。あきらかに「蛇足のつなぎ」になっているように思えてならない。
(田幸和歌子)
片瀬那奈のブレイクのしなさはもはや異常現象
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