男の子、先輩、上司……意見を集約できず「steady.」OLがノイローゼ寸前!
今月の「steady.」、第一特集は「ヘアを変えなきゃ始まらない!! 2012☆みんなのイイネ!ヘア徹底調査」でした。いつも読者の声を大事にする「steady.」だけに、今回も読者代表の座談会があったのですが、OLというのはこうも周囲に配慮しないといけないものか……と心配になるほどでした。それでは早速、その座談会を見て行きましょう!
<トピック>
◎2012☆みんなの「イイネ!」ヘア徹底調査!
◎恋愛力向上レッスン
◎蝶々の「オヤジを制すものは上司を制す」
■中学校の規則みたい……
座談会では、「紗栄子さんみたいなしっかりめのカール、可愛くて私は好きだけど、オフィスではあわないですもんね」と一人がいうと、「ワンカールの内巻きが一番好感が持てると思います。ストレートより女性的だし、先輩や上司からの受けもいい」と無難なところに落とし込む。また誰かが「キツそうな性格に見えた黒髪ストレートの同僚が、いきなりブラウン系のボブにしてきたら、すごくやわらかい印象に変わって、話しかけやすくなりました」と体験談を話すと、「悪目立ちしないほうが、イメージよくてデキる女っぽく見えるし」とまとめるなど、とにかく中庸で変に目をつけられないことこそが、OLのセオリーであることが分かりました。
彼女たちがこういう考えに至るのは、やはり次のページに出てくるような「男のコ、先輩、上司」の意見がベースにあるわけです。では、どんなコメントが出ているかというと……。
「男のコ」たちの座談会では、「重すぎるぱっつん前髪はないわー」「真っ黒すぎてもちょっと……」と、突出した個性をとことん嫌っている様子です。また、女性の「先輩」方は、「きっちりしすぎない、強すぎない、ゆるパーマくらいが親近感あっていいですね」と、ゆるぼんやりしたオーダーをしながらも「自分の判断を大切にしてほしい」と個人の意志に委ねだしたりするので、どうしたらいいか分かりません。
そして「上司」の方は、「会社では髪型より仕事に気合を入れて」と言いつつも、「強いカールは、遊んでいて、仕事ができなさそうな印象です」「金髪は……キャバクラじゃないんだから」と、髪型で勝手に仕事や人を判断する始末。これじゃあ、みんなの意見を取り入れたい「steady.」OLたちは、余計に困ってしまうというものです。
■オヤジで飯食ってる蝶々さんが言うんだから、間違いない!
今月も恋愛に関する特集もありました。題して「恋愛力向上レッスン」。ここでも、人の意見を最大限に取り入れて、嫌われない、悪目立ちしたくない「steady.」OLたちをますます困らせるようなことが書いてあります。
「steady.」OLは、「VERY」「HERS」(いずれも光文社)読者のように、「ワタシが主体」という人種でなく、どちらかというと「ワタシは極力抑えて、集団の中でどううまく生きていけるか」が大切な人々。もちろん、最初からそうだったわけではなく、社会に出てから状況に合わせた結果そうなったのかもしれません。
そんな彼女たちにとって、一番の苦手は人と違うことをしたり主張すること。なのに、こと恋愛特集となると「男の子だって、選ぶなら依存心満々な女の子より自分をしっかりもっている女の子を選びます」「自分がどんな人間なのか、どんな生活がしたいのか、譲れないものは何なのかをしっかり知る」なんてアドバイスが載っているわけです。第一特集で、上司や先輩や男の子の意見を気にしていた彼女たちに、そんな勇気はあるのでしょうか。
と、今月も「steady.」OLのことを心配ばかりしてしまったワケですが、やっぱりエッセイストの蝶々さんは、いつでもそんな「steady.」読者の味方です。職場にまで風水のウンチクを持ち込むウザいオヤジに悩みを持つ読者に対して、「あなたがプンスカ注意したって、小じわが寄るだけで、仕方ないと思うんですよ」と、無駄な労力と主張を避けるようにアドバイス。その上、職場でカドがたたないように「<キャーすごい!><言ってるとおりにしたら、うまくいきました!>とよいしょな報告でもしてごらんなさい。一気に、あなたに激甘の、使える上司になるはずですよー」と、具体例を示してくれます。
主張をしたり、意見をしたら空気を乱して仕事がしにくいという会社の状況は一人のOLのがんばりではそうそう変えられないもの。そんな世の中を生き抜くには、やっぱり小悪魔な蝶々さんのように生きるのが一番賢い方法なんだなと思わずにはいられませんでした。
(芦沢芳子)
ぱっつん前髪、黒髪女がサイ女にはいますよ
【この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます】
・「steady.」読者の漠然とした悩みと、もやっとしたコラムで、雑誌全体がおかしな空気に
・男子目線のOL雑誌「steady.」に隠れていた、宝島社の”一本気”気質
・“かわいけりゃモテる”という「steady.」の考えが、逃げ腰男子を遠ざける