話題作は豊富だったもの、TBSの看板番組は終了! 来年のドラマはどうなる?
――今年もあまり明るいニュースがなかったテレビ業界。相も変わらず全体的には低視聴率を嘆く声が多かったものの、その中でも評価・視聴率の高い番組がありました。2011年のテレビ業界を、サイゾーウーマンが誇るテレビウォッチャー・太田サトル&田幸和歌子が振り返ります。
【ドラマ編】
田幸和歌子(以下、田) 2011年は、10月スタートのドラマが『家政婦のミタ』『妖怪人間ベム』(ともに日本テレビ系)、『謎解きはディナーのあとで』『私が恋愛できない理由』(フジテレビ系)など、高視聴率のものが多くて、数字的には久しぶりのドラマ当たり年だったよね。なかでも、一番話題だったのは『家政婦のミタ』。いちばん面白かったのはタイトルだと思うけどね。
太田サトル(以下、太) 予告がすべてで、本編は案外肩すかしも多かったし。でも、最終回の平均視聴率40.0%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)などはスゴイ。結局みんな”昼ドラ”が好きなんだなあと痛感したね。
田 松嶋菜々子の”視聴率女王”への返り咲きは、明るい話題。でも、30代以上の女性にとって「笑顔」「口角を上げること」がいかに重要かということをドラマを通じてひしひしと感じてしまった。まったく笑わないミタさんは、あの松嶋菜々子でも、ほうれい線がクッキリしていて、普段より老けて見えちゃうもんね。
太 ”キムタク神話崩壊”なんて言われていた『南極大陸』(TBS系)も、最終回の平均視聴率は22.0%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と、なんだかんだで及第点だよね。”腐ってもキムタク”かな。
田 結局、みんな見たいのは犬だったってことでしょ。犬の演技の評判がいちばん高かったし。1話目とラストを見られたら十分だったんじゃない?
太 シーズンものより3時間ドラマだったほうが良かったのかも。それに、『南極大陸』や『坂の上の雲』(NHK)など、国をかけての壮大なドラマみたいなものは、なかなか今の世の中ではウケないのかなという気もしたな。
田 前半の一番の話題作は『マルモのおきて』(フジテレビ系)。また、ドラマ界全体で見ると、TBSのご長寿看板ドラマ『渡る世間は鬼ばかり』『3年B組金八先生』『水戸黄門』が終わったことも大きな変化だよね。TBSは今後どうしていくんだろう? 実は過去の看板ドラマの再放送を夜に流してみたら、案外数字をとれそうな気もするけど。
太 TBSは看板ドラマを終了させても、『はなまるマーケット』や『王様のブランチ』などの情報バラエティーは好調らしいから、そっちで稼げるのかもね。
田 震災の影響もあって、2011年ドラマは「家族」「絆」がテーマになった作品が好調だったと言われているけど……。そうかな? と思う。『家政婦のミタ』も表向きは”家族再生モノ”らしいけど、そんな深みは感じないよね。どっちかというと、視聴者の興味はこけおどし的なところにあったと思う。
太 そう。もっと下衆な興味だよね。
田 世の中的にもっと”癒やし”みたいなのがウケるのかと思ったけど、フタを開けてみたら、こけおどし系のほかは、子どもが出てるとか、子どもが読むような原作のドラマ化だとか、あんまり頭を使わないで観られるものが多かった印象はあるよね。
太 そんななかで、子どもモノに見えて案外しっかりした内容だったのが『妖怪人間ベム』。
田 重い内容のためか、終盤は固定層に支えられている感じだったけど、アニメ版と違う角度で「妖怪から見る人間」にスポットをあてた悲しみの描き方は良かった。
太 アニメの実写化はさすがにもうネタが尽きたかと思っていたけど、視点を変えると、アレンジ次第で面白くなるものはまだまだありそう。今後は、過去に失敗したアニメ実写ドラマなども、新たに作り手や局を変えて再リメイク……なんてことも出てくるかも。
山岡久乃さんと藤岡琢也さんのころです
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