小島慶子×辛酸なめ子特別対談(後編)

勝ち負けじゃなく無神経なだけ! 男性の扱いを間違える女子校育ち

2011/07/29 11:45
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お二人は女子校顔なんでしょうか?

(前編はこちら)

――女子校出身者は一瞬にして仲間(女子校育ち)を見分けるというのは本当でしょうか?

辛酸 美人なのにサバサバしてフェロモンを感じない人と会った時は、「もしかしたら女子校かしら?」って思います。女子アナの世界ではどうですか? アヤパン(高島彩)さんとか共学っぽいイメージがあるんですが……。

小島 人気のあるアナウンサーは共学出身の人が多いかもしれないですね。女子アナって男性優位社会に依存して一番得する職業なんですよ。基本的には男性優位社会を奨励しながら、なおかつその中で男性と同等かそれ以上の待遇を得ようとするんです。共学的な勘が求められる現場と言えますね。

辛酸 男性を立てつつ、裏で仕切るみたいな?

小島 賢くてかわいげがあって、男から見て邪魔でなく、女から見て憧れられる。ものすごく難しいバランスを本能的に取れる人が早いうちから人気を得るのだと思います。

――女子校育ちはそのバランスを取るのが苦手なわけですね。

辛酸 そもそも小学校までの無邪気な男性しか記憶になく、第二次性徴を知らないんです。恋愛しなれてない分、塾で目が合っただけで好きになるとか、妄想に走りがち。

小島 思春期という、男が最もめんどくさく変化していく過程を知らないんですよね。人間関係を結ぶヒナ型が、女性のそれなんです。男女平等だし、男に媚びる必要もないし、と。なので、完全に男性の取り扱いを間違ってしまうんです。

辛酸 普通にしゃべってるだけで「キツい」って言われますね。女子校は批判精神が発達するからどうしても人に対して厳しくなる。女子校の友達同士で集まると、お互いを傷付け合うような会話を平気でしています。大人の女性であれば、どれだけ夫や彼がバカなことをやったか話して笑い合うんです。もし男性が同席したら確実にEDになると思います。

――世間のイケダン信仰の真逆をいってますね。

小島 学習院はそこが少し違います。学習院の女子は就職するまでは「男女平等」を標榜しているのに、結婚して子どもが生まれると一気に母親世代の思想に引き戻されてしまうんです。それこそお受験や夫の勤め先といった道具で戦い始める、男性依存的価値観に。

――女子校ではフェミニズム感覚が育まれやすいのでしょうか。

小島 いや、それはそれでカッコ悪いと。

辛酸 フェミニズムって、共学的世界観の中の差別と闘うものじゃないですか?

小島 女子校育ちは男性に対して単に無神経なだけなんですよ。「男性に勝ってやる!」という思いじゃない。異性に対して「男か女か」という軸は最初から無くて、「仕事が出来るか/出来ないか」なんです。

――それは社会に出て、男性と仕事をすることによって変わりましたか?

小島 仕事を円滑に進ませるために、「プレイ」と思って男性を立てるといった超保守的な女性を演じたりはしますね。

辛酸 私も30代になってからようやくスカートやワンピ中心になりました。

小島 もっと若いうちに知っていればねえ。どんだけいい思いが出来たんだろ。

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――もしご自身に娘さんがいたら、女子校に入れたいと思いますか?

小島 その子の性格によると思います。活発で表現力が豊かだったら女子校かな。大人しくて人から手を差し伸べられるのを待つタイプだったら共学がいいと思います。

辛酸 早いうちから男女交際などを経験してしまうと、フェロモンが早くに枯れてしまう気がするので、そういう意味では女子校がいいですね。

――息子さんに男子校という選択肢は?

小島 『小島慶子 キラ☆キラ』(TBSラジオ)で共演してるライムスターの宇多丸さんが、巣鴨中高出身なんですけど、男子校の鬱屈ぶりがすごいんですよ。だから息子は絶対共学(笑)。

辛酸 男子校は一部の人には童貞をこじらせた感じの人もいますね。男子校出身の方で初めてのデートで女子とコンビニに入ったら、過呼吸で倒れた人がいるって聞いたことがあります。男子校は男子校で生きづらそうですね……。

【撮影協力:and people

小島慶子(こじま・けいこ)
1972年オーストラリア生まれ。東京都日野市育ち。元TBSアナウンサー。現在『小島慶子 キラ☆キラ』(TBSラジオ)のほか、『ゴロウ・デラックス』(TBS系)にも出演。

辛酸なめ子(しんさん・なめこ)
1974年東京都千代田区生まれ、埼玉県育ち。漫画家、コラムニスト。祖母、母、妹が全員女子校出身という宿縁の女子校一家に育ち、自然な流れで女子学院中学高校に進学、女子校ライフを満喫する。

『小島慶子 キラ☆キラ』(アスペクト)

熱狂的なファンを持つ、TBSラジオ『小島慶子 キラ☆キラ』を細部まで分析。各曜日パートナーへのインタビューやプロデューサー &チーフ・ディレクターのインタビューなど圧倒的なボリュームで番組の魅力に迫る。

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『女子アナ以前』(大和書房)

少女のころから女子アナ時代、育児、そして今に至るまで、考えてきたことを語った。

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『女子校育ち』(ちくまプリマー新書)

女子100%の濃密ワールドで洗礼を受けた彼女たちは、卒業後も独特のオーラを発し続ける。インタビュー、座談会、同窓会や文化祭潜入などもまじえ、知られざる生態をつまびらかにする。

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最終更新:2011/08/02 16:19
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