「普通の男」に何を求める? 結婚できない女たちに緊急提言!
30代、気づけば周囲も同級生も既婚者ばかり。「どうしてうちらの周りって普通のオトコがいないんだろう」「そうそう見た目とか普通でいいのにさ」と女子トークを繰り広げていた私のもとに、こんな本が届きました。『普通のダンナがなぜ見つからない?』(文藝春秋)というタイトルの新書。おそるおそるめくると、「『普通の人でいいのに……』の普通の人は、0.8%しかいない」「年収600万円以上の独身男性は3.5%」「35歳女性、5歳歳をとると、候補男性は3分の1に」といった、衝撃の見出しが並んでいるではありませんか。データを持ち出してここまで理論的に語られては、グウの音も出ない……。とはいえ、どうにも納得したくないことばかり。どういうことかと著者の西口敦さんに話を聞きに行ってきました。
――『普通のダンナがなぜ見つからない?』というタイトルが女性の心に突き刺さります。
西口 敦(以下、西口) 男性はこういう現実的なデータ分析を面白がってくれるんですが、女性の中には受け入れられない方もけっこういますね。女性にとってはかなりキツイ内容に思えるかもしれませんが、あえて申し上げてるのは、この状況を分かってもらわないといけないから。傷付けるのがかわいそうだからって、10年後に言ってもらいたいですか?
――いえ、一日でも早く言っていただきたいですが……。そもそも戦略コンサルタントだった西口さんが婚活ビジネスに転職したわけとは?
西口 婚活は、人間の心理そのものの割に未開拓で面白そうに見えたんです。なにより、一所懸命仕事をしていて前向きな女性たち、忙しくて結婚をなんとなく横に置いている女性が、あまりにも「結婚」に関する現実に気付いてないと感じたから。確かに今は仕事が楽しいだろうし、30年たっても「私はいい人生を送ってきた」って自分を納得させることは可能でしょう。
幸せの実感って、究極まで突き詰めてみると、最後は自分自身でどうとらえるか。そして、結婚して家族がいるほうが、「自分は幸せ」と感じやすいんです。ある調査ですが、未婚者よりも既婚者のほうが、幸せだと感じる率が16%も高かったんですよ。幸せか不幸せかって、実は自分でそう感じ取る”錯覚”なのかもしれない。でも、ずっと独身で貯金にいそしんで、年老いてからそのお金があることで幸せだと感じ取ること、多分できないと思います。それなら結婚したほうがいい、そして早く行動したほうが「幸せ」を実感できると思いますよ、ということなんです。
――まずはこの本のタイトルでもあり、独身女性が言いがちな「普通の男」はそもそも存在しないということについて。普通=確率50%として単純計算するだけでも、すべての要素が普通以上である男性は0.8%しかいない、という恐ろしい数字を出されていますが。
西口 よく女性は「普通の男でいいのに」って言うけど、それ以上を考えてないんですよね。”普通”という言葉で思考を止めてしまって、それ以上考えない。そこで、普通ってなんなのかを出してもらうと、みなさん口々に「普通に会話できなきゃ」「普通の年収」「普通にマザコンじゃない人」なんて言う。でも実のところ、男性ってマザコンが多いんですよ。だからといってそこで斬り捨てるのではなく、逆にマザコンのいいところを考えてみると?
――親を大切にしているんだから、奥さんや子どもも大切にしてくれるかも?
西口 そういうことです。そのように、リスクと思うところをいい方に考えてみれば、結婚相手の数というのは広がるんですよ。自分にとっての基準を具体化すれば、目標を定めやすくなるんです。
――女性のほのかな期待を裏切るような、「合コンは効率が悪い」という説、たしかに費用対効果を考えると無駄かもしれません。合コン後に反省会と称して女性だけであれこれ言い合うのも、よくないと?
西口 時間とお金を考えれば、合コンは無駄だと思いませんか? それでも合コンに行くなら、抜け駆けしないことには意味がないです。男は合コンで誰かひとり勝者を出そうとチームプレイができるけど、女性は「みんなで仲良く負けようね」っていうチームプレイになるから。これは、狩りをする男性と、共同体で家を守る女性の違いです。だから合コンをするなら、友人同士じゃないほうがいいですよ。チームメイトに気を遣わなくていいので。
――だからこそ、「別れ際にちょっとしたお菓子を渡す」といったベタなテクを使ってでも男性をゲットせよ、と書かれているわけですね。でも、そこまでして媚びたくないという女性は多いと思います、というかそんなことしたくないんです!
西口 その考えは捨てたほうがいいですよ。同性の「いい子ぶってる~」なんて目を気にしちゃ駄目です。ほとんどの女性がしたがらないからこそ、チャンスがある。男って単純だから、女性のそういう仕草を自分に都合よく解釈するんです。だからこそ、知り合いがいない場所でこういうベタテクを使うべきなんですよ。
――そこまで自分を捨てないといけないんですね……。
西口 なにもそこまで自分を追い込まなくてもいいんですよ(笑)。ベタなテクを使えば、相手は単純に喜んでくれる。別にそれは相手をダマくらかしてるわけじゃない。相手の喜びは自分に返ってくる、っていうシンプルな考え方。「私が下手に出なきゃいけないなんて」と思う必要はない。こうしたら相手は喜んでくれるし自分も幸せになれる、というふうに考えればいいだけですよ。
――年月と経験を重ねて凝り固まってしまった考えを改めて、素直になるべきなんですね……。西口さんの話を聞けば聞くほど自分の市場価値が見えません。
西口 じゃあ特別に、オーネットのマッチングシミュレーションをしてみましょうか。まずあなたの情報と相手への条件は?
――33歳、バツイチ独身です。喫煙飲酒ギャンブル一切しません。相手は、顔なんてなくてもいいぐらいなので、年齢は25~45歳までOKです。ただ、結婚生活はお金がかかることが分かったので、年収500万あるのが理想です!
西口 おっ、1,200人もヒットしましたよ。求める年収が高いけれど年上を許容しているので、必然的に40代の男性が多いですね。逆に20代~30代前半はほとんどいないでしょう。若い男性はやっぱり、離婚歴のある女性を敬遠するんですよ。どうですか、希望が持てそうですか? 編集Yさんもやってみましょうか。
編集Y 30歳、結婚歴なし。喫煙、飲酒はたしなむ程度。身長、学歴、結婚、年収も気にしません。ただ、若いほどいいので年下か、せめて同い年で。20歳から35歳が限度です!
西口 おっ、1,400人ぐらいヒットしましたよ。女性の喫煙を嫌がる男性って多いので、タバコをやめればもっと増えますよ。おふたりとも、譲れないポイントと譲ってもいいポイントがはっきりしてるのがいいですね。戦略を練りやすいと思いますよ。
結婚への姿勢の甘さをビシバシと指摘され現実に気付いた我々独身二人は、「まずは佐川急便のお兄さんに笑いかけるベタなテクニックを訓練してみよう」と一歩を踏み出す決意しました。とはいえ、ジャニーズは「今すぐやめたほうがいいです。芸能人に夢中になるのは、極論すれば不倫と同じなんですよ。時間が無駄だし、ゴールがないし、男性を見る目が無意味に肥えてしまうんです」という西口氏の帰り際の言葉が何よりの現実でした……。
西口 敦(にしぐちあつし)
1968年香川県生まれ。東京大学法学部卒業後、外資コンサルティングや金融業界を経て、少子化にストップをかけるべく結婚情報サービス最大手のオーネットのマーケティング部長に転身。婚活最前線での日々の気づきを記した「婚活ブログ ニッポンの婚活ビジネス最前線」が人気に。グロービス経営大学院客員准教授。
ジャニーズダメ!?
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