[連載]安彦麻理絵のブスと女と人生と

AAAにはなく、TRFやglobeにはある”杉田かおるっ気”のエグみ

2011/01/09 18:44

　あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

　それにつけても……。

　昨年、2010年は「香川照之の当たり年だったのではないか？」と思う、私であった。1月早々からの大河ドラマでの、あの、逆毛を立てまくった髪型に、これでもかというほどのフケ、アカ、ダニやらシラミにまみれ、生まれてこのかた一度も歯磨きしたことのないような歯の（要するに超汚い）あの役、あれで世間の目を釘付けにして、主役の龍馬よりも人気をかっさらってたような気がする。そのせいかどうか知らないが、確か映画『あしたのジョー』では丹下段平役を手に入れたようだし。

　それにしたって、毎週毎週のくどい、大河でのあの演技。暮れになって、ようやく最終回がやってきてホッとしてたら、同じくNHKで『坂の上の雲』が始まって、そこにいたのは、またしても照之。ゲホゲホと布団の上で死に目を待ってる男の演技……。カサついた病人芝居の中にも香川照之らしいクドさがまぶしこめられていた。不精ヒゲに浴衣の胸元がはだけた状態で、咳き込む死に際の演技なんてセクシーですらあった。これから死ぬっつうのに。で。このドラマでも、ようやく死んだので、さぁこれでもう、香川照之を目にすることはないだろうと思っていたら……。

　2010年の紅白。福山雅治のコンサート会場に駆け付けたのが、なんと香川照之。ここまできて、暮れも押し迫った所にまたしても香川照之が登場。私は自分が、今年1年、香川照之から逃れられない運命にあることを悟った……。この人、ここまで来て、一体何するつもりなんだろう？　あっけにとられてTVの画面を見つめていたら、なんと伸びきった福山の髪の毛をハサミで断髪するという、またしても主役を食うようなパフォーマンスをやってのけていた。

　何なんだろう、一体……私の2010年は、「香川照之に始まって、香川照之で終わった」ような気がした……。なんで私、一年中、こんなに香川照之のこと気にし続けてたんだろう???　別に好きでもなんでもないのに、でも気になる、っていうのは役者として、多分すごい事なんでしょうね……。

　それにつけても、紅白のアンジェラ・アキ。歌う前に流れたVTRの映像を見て、この人、学校の先生でもよかったんじゃないかという気にすらなった。その位、熱いというか……どこだかの中学を訪れたアンジェラ・アキ、迎えに来てくれた生徒達を熱くハグ。音楽室でピアノを弾きながら歌うアンジェラの曲を聴いて、涙ぐむ生徒続出。そして、車座になってみんなで人生について語りあってたシーンでは、女子生徒の一人が「人生の全てに意味があるという事が分かったので、今は、悩みに出会えてよかったって思えるようになった」と、目を潤ませて語っているのには驚いた。だってまだそのトシで、そのセリフって早くねぇか?!

　そんなセリフをティーンエイジャーから引き出すアンジェラ・アキ、とんでもない女……ていうか、”3年B組アンジェラ先生”ってありだと思った。もし今、私が10代だったら、アンジェラ・アキを聞いて泣いてたのかなぁ??　一体どんなミュージシャンに夢中になってたんだろう？

　同じく、紅白に出たメンツで私が気になったのが、AAA。小室哲哉復帰曲とかで随分売れてるとのことだが……しかし、個人的にはAAAの曲を聴いていたら、

「あ～～～～、なんかモーレツにTRFとかglobeが聴きて～!!」

　と、なってしまった。これって私だけじゃないと思うのだが。なんていうか、AAAのメンバーは人間としてのクドさ、エグみ、臭み、コク、発酵具合が足りなさ過ぎる……TRFやglobeが放つ発酵臭がAAAからは臭ってこない……。いや、あんな若い頑張り屋さんみたいな子たちに、そんな「杉田かおるっ気」を求めてもしょうがないのは分かってるのだが。TRFやglobeのメンバーの放つ強烈な臭みをおまえらも出せよ!!　と、強制するのは酷な事かもしれないけれど。

　そんなわけで2011年、私もさらに、そんなエグみ、クドさ、コクの深い発酵の進んだ女になれるよう、頑張りたいと思います。