女の”のど”に迫る危機! 酒、タバコ、カラオケがブス声を作る
突然ですが、「のど」大切にしてますか? 気づくとデスクや電車で口をあけてボーッとしていませんか? のどは鼻と共に風邪や感染症のウイルスを防ぎ、声帯としての役割も持っている意外と大事な場所。また、声が魅力的な女性は外見がキレイな女性と同じほどモテるとも言われ、女性としては是が非でも守りたい器官。そんな大切なのどにとって、一番危険な季節が寒ーい冬です。外では冷たく乾燥した空気でカラカラになり、室内ではエアコンの乾燥した空気にさらされ、さらにはこれから始まる年末年始の飲み会で酷使されてしまうのです!
というわけで、東京ボイスクリニック品川耳鼻いんこう科院長の耳鼻咽喉科医・楠山敏行先生に、のどにとっての過酷な季節・冬の過ごし方について教えてもらいました。一年のウップンを晴らそうと暴飲に走る予定のみなさん! その代償は想像以上ですよ。翌日のお肌や体重を気にすることも大切ですが、のども気にしたほうがいいようですよ?
――たまに口で呼吸をしているようで、気づくと口内やのどが乾燥しているんです。口呼吸って見た目にもよくないですし。
楠山敏行医師(以下、楠山) そうですね。ただの癖であれば、口呼吸から鼻呼吸に努力次第で戻せると思います。閉じればいいわけですから。でも、口が空いていることに理由がある場合があるんです。鼻から口に回り込む部分に疾患があったりね。そういう人は、口を閉じると苦しくなるはずなので、異常がないか耳鼻咽喉科で診てもらってください。
健康面でも口呼吸はよくないですね。のどが潤っているときは、粘液線毛の輸送機能や抗菌作用、免疫タンパクが発達し、防御機能が正常に働き、ウイルスの繁殖を防ぐことができます。しかし、この季節、口呼吸では低温低湿度の空気を直接吸うことになります。それに対して鼻は、フィルターと加湿・加温の役割を果たしますから、のどの湿度と温度が適正に保たれる。鼻呼吸できていない人は気をつけてほしいですね。
――朝起きると口がカラカラに乾いているんです。夜の口呼吸対策ってありますか?
楠山 マスクをして寝ることをおすすめしています。そうすれば、たとえ口が開いていても乾燥は減りますから。寝るときのマスクってみなさん躊躇するんですけど、やってみると意外と嫌じゃないという人が多いですよ。いまは、保湿作用のあるマスクや立体マスクがありますから、そんなに抵抗はないでしょう。
――あと、アルコール好きの人って声がガラガラになっていますよね。「酒焼け」「酒でのどを潰した」なんて言葉もあるくらですから、やっぱり酒の飲みすぎは声によくないんでしょうか?
楠山 うーん、お酒が直接のどに悪いとは言えないんですよね。のどが痛くなるのは、酔っ払うことでたくさんしゃべるからだと思いますよ。タバコは吸っていませんか? 中高年の女性にしゃがれた低い声の人がいますけど、あれはお酒ではなくタバコが原因なんですよ。タバコを何十年も吸っていると声帯が低温火傷になり、ニコチンによる害も加わって、声帯が全体的にむくんでしまう。これを「ポリープ様声帯」というんですが、なぜか男性にはあまり起きない。男性はタバコを吸うとガンになりやすく、女性は「ポリープ様声帯」になる人が多いんです。
――え、じゃあ「酒やけ」というものはないんですね! 声帯の低温火傷の兆候って若い頃から出るんでしょうか?
楠山 いえ、毎日20本を20年間ぐらい吸わないと出ないです。若い頃には気づかなくて、「声が枯れてきたな」と思ったときにはもう遅いということになりますね。
――年末にカラオケに行く予定なんですが、カラオケものどによくないですか?
楠山 カラオケボックスは悪い条件が揃っているんですよ。乾燥、密閉という空間だし、タバコを吸う場合もある。歌い続けるのも、のどにはよくない。歌うときの呼吸は必ず口呼吸ですし。それに大音量でうるさいので、話し声も自然と大きくなってしまう。のどにはよくない条件ばかりです。1曲終わったら必ず水を飲む、連続して歌わないことを頭に入れておくといいですね。
――休む間もなく歌い続ける「ひとりカラオケ」をする女性も多いですが。
楠山 声帯のことを考えるとよくないですね(笑)。
――普段生活している中で、のどに負担をかけている話し方ってありますか?
楠山 のどから思いきり声を出すような、迫力のある話し方をする人いますよね。「硬起声」と言うんですが、そういう人はのどを傷めやすいです。でも、いつもその声で過ごしているわけですから、基本的には大丈夫なんだと思います。それよりも、風邪をひいてのどの潤いが足りてないときに、無理にいつも通りの声を出そうとするほうが良くないです。皮ふに傷ができたら、触らないように安静にしますよね。それと同じで、のども出来る限り使わないほうがいいんです。声帯って高速回転していて、男性で1秒に100回転、女性は230回転している。女性が男性より1オクターブ高いのは、約2倍速く回転してるから。それぐらい女性はのどをよく使っているんですよ。風邪でのどが痛んでいるときは、無理しないで休ませてください。
――とりあえず飴をなめとけば安心、みたいな感覚があるんですが効果あるんでしょうか?
楠山 飴はのどにいいんですよ。口の中になにかを含むことで刺激になり、唾液が増えますから。それと、やはり鼻呼吸とうがいですね。うがいは乾燥を防ぐ意味で非常に有効なので、一日何度でもやってください。ヨード系のうがい薬を毎日使う方がいますが、健康な状態ののどに使っても意味はありません。のどに炎症を起こしているときに使うと効果があるものなんですよ。普通の水でうがいをするほうが効果的ですよ。
楠山敏行(くすやま・としゆき)
慶應義塾大学医学部卒業後、聖母病院耳鼻咽喉科医長、国際医療福祉大学東京ボイスセンター副所長などを経て、2010年1月「東京ボイスクリニック品川耳鼻いんこう科」開設。歌手など声のプロへの診察・指導、子どもからお年寄りまで幅広い患者への声の専門医として活躍中。
アタイの声はすでにダミ声
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