意味不明な数式に心がメロメロ~

理数知識で私を口説いて! 「ロマンチック理数ナイト」でトキメいて

2010/10/15 11:45
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 食欲の秋、読書の秋、運動の秋、失恋の秋。でも、秋と言ったら”ロマンチック”の季節ですよね。舞い散る枯れ葉、夕暮れどきの空、ほんのり色づき始めた草木……、ああロマンチック! 体内ロマンチック濃度をもっと上げたい、と飢える心のアンテナに引っかかったのが、「ロマンチック理数ナイト!~世界のあらゆる法則を、ロマンチックに説明してやるぜ。」。開催要項には「あなたの持ってる理数トーク、眠っていませんか?」「いつもチャラい文系野郎に合コンで負けてしまう、そんなあなたの悩みが消し飛ぶロマンチック理数イベント!」「理系知識をポエムに変えたい男子は這ってでもくるべし」と、アツく確信に満ちた文章が躍り、これはロマンチック間違いなしと踏み潜入してきました!

 このイベントを主催したのは、フリーマガジン「SCRAP」の発行や、「マジックショーからの脱出」「リアル脱出ゲーム」といったイベントを次々と成功させてきた京都のユニット、SCRAP。今回の企画の発端は、SCRAP主宰の加藤隆生さんが理数系の大学生と飲んでいたとき、専攻分野についての話をさせてみたところ、女の子たちが「おもしろ~い!」と盛り上がったことから、「これイベントにできるんじゃないか?」と思ったことがきっかけだそう。でも国文学科卒というド級の文系女子である私が、理数トークなんて理解できるのか……。っていうか、ロマンチックになれるのか?

 三連休の初日、雨の中ニフティが運営するイベントハウス「東京カルチャーカルチャー」に集いしメンツはなんと半分以上が女子。工業大学に通っていそうなメガネ男子ばかりではとの予想を覆す面々です。とはいえ、ここは理数ワールド。まだ心はアウェイです。

 加藤さんの司会により、イベントスタート。発表者はステージに上がり、制限時間5分以内で自分の好きな「理数系法則」をプレゼン、それを観客と審査員が「ロマンチックさ」「興味深さ」「エンタテイメントさ」に基づき審査をしていきます。審査委員長は劇団ヨーロッパ企画主宰、理数系脚本家の上田誠さん。「階差数列的に……」「階乗的な盛り上がりを!」と、早くも数学用語を使いこなし、会場をヒートアップさせていきます。やはり多数が理数系なのかと思いきや、なんと半数近くが文系だと判明。なんだよ、みんなノリで盛り上がってんじゃん! 静かに心で同盟を結びました。

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学会で慣れているのか、プレゼンする姿も堂に入ってます。


 トップバッターは、メガネをかけたザッツ理数系大学生。お題は「多世界解釈の話」……すでに分かりません。そんな彼がいきなりのクリーンヒットを放ちます。

「みなさんの体は分子から成っています。そして分子は原子から成っています。原子は中性子や陽子……そして僕が大好きで大好きでしょうがない、電子からできています!」
「僕たち理数系という星は、女性からは観測されにくい存在です」

 身振り手振りを使いながら電子が大好きだと告白する姿に、会場は大爆笑! 電子への愛の告白、理数系の星に気付いて欲しいというロマンチックなプレゼンに、電子の良さはわからないけど早くもウットリ……。で、でも多世界解釈ってなんだっけ?

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「玉置浩二」を理数の方式を用いて解く、という技で文系をも魅了したAR三兄弟。


 カルチャーシーンではすでに有名な、AR三兄弟も登場。白衣萌えの編集Nが登場前から「白衣ヤバイ、白衣にパーカのフードを出すのは卑怯ッスよ」と悶えていたように、理数系の武器=白衣をまとってプレゼンです。お題は「理系カルチャー」。理系と文系の人間が「玉置浩二」「尖閣諸島」といったワードを見た時の思考の違いを、AR(現実拡張)を使ってプレゼン。ロゴをPCカメラにかざすと映像が動く最先端技術ARはこの日一番のハイテクぶり。グラフ理論を応用し、複雑な情勢を見せている「尖閣諸島問題」をズバッと解決させてみせ、続いて「玉置浩二」を解こうとするもこれは解けず……。理数と時事ネタの合わせ技で会場を沸かせてくれました。これぞプロのお仕事!

 ラストを飾ったのは、一見するとスポーツ系さわやか営業マンという風貌の長野県よりお越しのH田さん。「3分クッキング~ラマヌジャンパイの作り方~」というお題の元、ラマヌジャンというパイを3分間で作ってくれるそうです。「材料はこちらで~す」とスクリーンに映し出されたのは……

 26390k 1103 k! 9801 2√2 (4k)! 396 Σ 長い棒と短い棒

「まずは9801の上に短い棒を置き、その上に2√2を置きます。そして右側には(4k)!です。そして396も4k乗し、こちら側に1103と26390kを置き、こちらをカッコでくくってください。こちらをΣでk=0から∞までじっくり焼いていただくと、ラマヌジャンのパイの完成でーす!」

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数字が羅列されてるだけなのに、会場は異様に盛り上がりヒートアップ。

 呑気な料理コーナーを装い、その実、インドの天才数学者ラマヌジャンが発見した円周率=パイの公式にまつわるプレゼンだったのです! 意味が分からず呆気にとられていると、画面上に()が浮かび上がり数式を囲み、そこから怒涛のごとく式が解かれていく鮮やかさに思わず私もウットリ&爆笑&歓喜の連続。いままで感じたことのない数式への快感をくすぐってみせた彼、ただものじゃない! おそらく、この日集いし理数男子諸兄にとって数式とはユーモアを披露するためのツールのひとつのはず。やだ、理数男子ってセンスある!

「理数男子が理屈っぽいのは、ひとつのことをコツコツ勉強しているという自信があるから。これまで理数男子は『どうせ分かってくれない』って語ろうとしなかったし、文系女子も『聞いても分かんない』って聞こうともしなかった。でもこうしてステージを用意したら、彼らの話ってすごくカッコよかったでしょう? このメンバーと合コンに行ったら、勝てる気しないですよ(SCRAP 加藤さん)」

 「数学者は一生かけてボスキャラを倒す冒険者のようなもの」と和田さんが口にしたように、彼らは真理を探究するインディ・ジョーンズなのかも!? 万が一、ただの理数系の講義でロマンチックさ皆無だったらどうしてくれよう……。そんな心配も懸念に終わり、「文系男子はさ、うんちくと評論ばかりで説得力ないんだよ、無駄にアツいし。事実に基づいた説得力と冴えたユーモアのある理系って魅力的だよね~!」と編集Nと語り合い、新たなロマンチック対象の発見にほくそ笑んだのでした。

東京カルチャーカルチャー
東京都江東区青海1丁目パレットタウン Zepp Tokyo2F

SCRAP

『ロマンチックウイルス ―ときめき感染症の女たち (集英社新書) 』

理数の星、観測しました!

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最終更新:2013/04/04 02:02